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風の神子  作者: 雪香
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女神の神子 2

シャロンとユングの年齢設定を記載していない…

シャロンは16歳

ユングは20歳です。

本編の最初を修正して、二人の年齢の記載をします。

「はい、そうです…」


静かにシャロンの声が響く。やはりそうでしたかと枢機卿の誰かが呟くが、ユングはシャロンをじっと見つめたまま言葉が出なかった。

女神の神子と言えば精霊たちの母である女神リーンの生まれ変わりとも言われる存在で、その体には神と同じく二つの性を持っている。

精霊の神子はこのヴェイグ大陸の各地にある町や村から、精霊と語り合える者を神子の候補として集められ、より能力が高い者が神子として大神殿で精霊に祈りを捧げる神子として選ばれる。シャロンが最初から女神の神子と分かっていれば、風の神子に選ばれるはずがないし、それこそシャロンが生まれた時に世界中に女神の神子が降臨した事が知らされるはずだ。


「しかしどうして知っておられるのです」


シャロンが秘密にしてきた事をどうしてエルンストたちが知っているのか、シャロンは疑問に思った。


「アトレが伝えてきた。もしかして…と」


「そうですか…確かに身に覚えがあります。誤魔化せていると思っていましたが、母になれる女性の感には負けますね」


シャロンが15歳になる年の初めに月の物が訪れた。

母から女性としての性が目覚める時があると幼い頃から言われていた。神殿の書物で人間の性の特徴が書かれた書物があったので、シャロンは自分にもいつかは訪れる事だと覚悟を決めて処の仕方も学んだ。

初めて来た時はだけはお腹の痛みにベッドから起き上がれず、体調を心配したアトレに医者を呼ぶと言われ断ったのだ。

その時から上手く誤魔化せていたと思っていたのだが、やはり女性として生きてきたアトレには誤魔化しきれていなかったのだ。


「なぜ黙っていたのですか?」


エルンストはシャロンが答えやすいように、幼子に言い聞かせる優しい口調で問う。

ここまで知られたのであれば全部話しをしないといけない。シャロンは覚悟を決め少しずつ今までの事を話し始めた。


「私が生まれた時に両親は私が女神の神子である事を知っていたそうです。神殿に女神の神子が生まれたと伝えに行く途中で、父は馬の前に飛び出した幼子を守った為に命を落としました。愛する夫を亡くした母は、私までも神殿に召されたのでは、生きていく気力がなくなると思ったそうです。そこで生まれた私は男の子として神殿から祝福を頂いたそうです。しかし、敬虔な信者である母は私と暮らしていくうちに、神への背徳となっているのではと悩むようになっていました。自分の息子が女神の神子だと告げるには、10年の年月は長すぎた様に感じたそうです。そこで私は母の心の重荷を取るために、精霊の神子の候補として神殿に来たのです。精霊の神子であれば次の神子が決まると神殿から下がる事ができます。そうなったらユング様と共に生きたいと願ったのです。母の罪に私の欲を被せてしまったのです」


「シャロン様の母がした事は本来なら許されない事です。しかし、夫を亡くした妻から子どもを取り上げるほど、大神殿は慈悲のない所ではありません。それに、わけ隔てなく全ての者に接する事が出来るお子に育ててくれた事に感謝を申し上げたい」


「有難うございます、大神官様。母にもこの事を伝えたいと思います。長年にわたり心の鬱積を取って差し上げる事ができます」


シャロンの言葉にエルンストを始め、ハイネルや枢機卿たちは大きく頷く。


「シャロン…いや…シャロン様…」


シャロンの想いがユングには嬉しかった。神殿を下りた神子はただの人として余生を生きる事が出来る。それが実現したならユングは残りの人生を、シャロンの為に生きようと思っていたのだ。

しかしシャロンは女神の神子としての役割を、生涯果たしていかなければいけない。

この大神殿の中で。

ユングの力のない声にシャロンは寂しそうな笑顔を向ける。ユングにはシャロンと呼んで欲しいのだ。しかし立場としてはユングよりシャロンの方が上で、自分が仕える精霊の母である女神の神子となると、無礼は許されない。


「シャロン様、ユング様、ここからが本題です」


エルンストが静かにまだ話しが終わっていない事を告げる。



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