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迷宮都市ホックリア、この町にはたくさんのハンター達が日々迷宮に挑み魔物と死闘を繰り広げている。
町の中心部にある大穴、魔物が蔓延る迷宮。その比較的浅い階層、通称「初心者コース」で二人のハンターが今まさに魔物と対峙していた。
現れた魔物はメガコッコという名で呼ばれる鶏のような魔物だ。鋭い爪で攻撃をする浅い階層に現れる比較的弱い魔物でその肉は串焼きにすると美味く、食用としても人気である。
「リモニカ、いけそうか?」
「…やってみます!」
リモニカと呼ばれた二人のうちの小さい方がメガコッコの前に躍り出てた。細く小柄な体型、肩辺りで切り揃えられた白に近い白金の髪、そして彼は少年なのだが、まるで美少女のような可愛らしい顔立ちをしていた。ハンターとしては頼りない感じである。
ショートダガーを構えるとメガコッコもリモニカを敵と認証したのかその鋭い目つきで睨む。じりじりと間合いを詰め、
「…ふッ!」
「…クエッ!」
同じタイミングで動いた少年と一匹の影が重なる。勝負は一瞬、ショートダガーと爪がキラリと光った。
「…クェ」
そして、ドサッという音と共に首から鮮血を撒き散らしながらメガコッコが倒れた。少年リモニカの勝利である。
「…っ!やった!初めて一人で倒したよ!ミオカ!」
思わず拳を握りしめ、少し興奮した様子でもう一人の、ミオカの方を向く。
「よくやった。一撃で仕留めるなんてすごいぞ。」
「えへへ」
えらいえらいとにこにこしながらリモニカの頭にぽんと手を置く。ミオカと呼ばれたこの人物、黒髪の長髪を後ろで束ね、切れ長の深い紫の瞳を持ち、リモニカに負けず劣らず端正な顔立ちで要するにイケメンである。
「今日はこれくらいにして帰るとしようか。リモニカ、頑張ったな。」
そう言いつつミオカは倒したメガコッコを回収し、ブラックボックスーーミオカが作り出した適当な異空間に放り込む。
「さあ、我が家へ帰ろうか。お腹減ったしな」
「僕、焼きメガコッコ作りますね!」
「ああ、そうだなーー」
ミオカは苦笑いをし、二人は迷宮を後にした。