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二章『鬼ヶ島』~壱

  これは室町中期に成立したと伝えられる『おぎじまる物語』二章『鬼ヶ島』を現代語訳したものである。

 おぎじまる物語は禁断の物語と言われ各地に飛散したとといわれているが、平成二六年夏の発掘調査でその一部が香川県高松市女木町の窟から発見された。これは先に紹介した一章と共に見つかったものである



二章『鬼ヶ島』~壱


時子が島に流れ着いてから、二月ほど過ぎた。これだけの期間捜索の手全くないのは不思議であるが、もう世間では死んだことになっているのだろうか。


ここの生活は穏やかだ。食事は質素であるが、採れたての海産物は京では味わうことのできないものであった。


それに鬼と呼ばれるものたちは皆よく働く。田畑での収穫、海での採集、皆喜んで行っていた。そして山の上で採れる石で楽器を作ることを何よりも楽しみにしていた。カンカンとなるこの石は、その大きさによって音色がかわる。その楽器の奏でられる夜の宴は今日も盛り上がっていた。


宴の途中、

「何故この島の鬼はそんなに働けるの?」

ジイに尋ねた。


「例え小さな島中ではあっても、気をたしかにに生きていけること。それが喜びとなっているからだ」


「この島を出たら鬼は生きていくことができない。島の外は毒気に満ち溢れている。毒気は鬼の正気を失わせ、そして身体を朽ち果てさせる。この島の中だけはそれがない。鬼にとっては大切な場所なのだ」



京では、鬼は人を襲い悪しき者だと言い伝えられ恐れられていた。何かよくないことがあれば鬼の仕業とされ、生贄を出さねば鬼が鎮まらぬとして、多くの人が鬼が来たという山に埋められた。


鬼は悪いものなの? 恐ろしいものなの?


答えを出すことができなかった。


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