表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それでも、やっぱり君が好き。  作者: 水原琴葉(元・空野ことり)
Mission1 相手のことを知ろう
6/18

嘘? 本当?

 最初こそ面倒くさそうな、嫌そうな顔をしていたが、俺が『何でも一回言うことを聞くから!!』と言い頼むと、即オーケーしてくれた。


 その時の飛びつきは凄かった……。すぐ反応して目をキラキラさせて……まるで待てを言われて餌を待ってる犬みたいだった。

 良かった、のだが……一体何をお願いされるのだろうか。


 そんなことはさておき、(早く忘れたい)すっかり上機嫌になったミナの方に体を向けて、ミナ、勇輝、俺の三人でミナの机を取り囲む。

 いつもは周りに人がいるミナは、何故か一人だったらしい。


 ミナは「んーっ」と宙を眺めながら人差し指を顎に当てた。


「あたし、凛ちゃんと同中だったんだけど……そこまで仲良くなかったかなぁ。たまに喋るくらいで」


「…………は?」


 一瞬固まった俺に、ミナははにかみながら慌ててぶんぶんと両手を振った。


「で、でもっ、圭太君のお願いだから頑張るし! 友達に聞いたりとかしてみるから何でも聞いて!」


 俺は立ち上がって振られていたミナの両手をきつく握った。


「サンキュー、ミナ! 頼りにしてるぜ!」



 いきなり手を握られてびっくりしたのか何なのか、ミナの顔がぼぅっと赤くなった。

 しばらく経って、ほんのりまだ紅みが残った顔で、ミナは悲しげに微笑えむ。


「ん。……楽しみにしててよ」



 ……? 何で悲しげな顔になったのだろうか。


 ふと思っていると、黙って俺達のやり取りを見ていた勇輝が、「良かったな」と小声で耳打ちした。


 ミナが何か喋りかけてきたけれど、俺の頭の中では脳内会議が始まっていて、今話すことは出来ない。




「今回の議題は『何を質問するか』!! 何か意見ある人は手を上げてくださーい」


 伊達眼鏡をかけた俺のチビ分身が司会となり、会議を進める。

 俺の脳内会議は、俺のミニ分身が沢山いて、意見を出し合い決めるというものだ。因みに脳内会議は人それぞれ違う。


 途端にあちらこちらで手が上がり、ざわざわと喋る声も大きくなってきた。


「ここはシンプルに好きな食べ物」

「誕生日とか」

「いや、住所がいいんじゃねーか?」

「住所知ってどうするつもりだっつーの。家行くのかよ」

「それともストーキングか?」


 もう既に会議ではなく討論会になっていた。

 十分に意見を出し、司会の後ろのホワイトボードに俺のミニ分身が一生懸命に文字を書いていた。


と、その時。



ピカーン



 会議室の天井に付けられている豆電球が眩しい光を出して光った。


「そうだ、あれが本当かを聞いてみなくちゃいけないんじゃないか!?」


 立ち上がって一人が言うと、周りも立ち上がって「そうだそうだー」と連呼する。


「よし、意見がまとまったぞー!」


 司会が言うと、俺は普通に、いつも喋るみたいに口を開いた。



「凛が男子嫌いって本当か?」


「……ぁ」



 その途端に急にミナが視線を逸らし、黙る。……え、聞いちゃいけないことだったのか……!?

 黙るミナと汗をだらだらと垂らす俺を見て、勇輝が慌ててミナに問いかけた。


「……ど、どうした?」


 ミナは近づいた勇輝の胸を手で押し、また、悲しげに、儚げに微笑んだ。


「大丈夫」



――――――刹那。



 勇輝が息を呑んだのが分かった。

 何かを察したような様子で、切なそうな表情で俺を見つめる。


 え? 何? どうなってんの? 

 全く話についてけねー……。


 ミナは振り絞るような掠れた声で俺を見ずに問の答えを告げた。




「本当、だよ。凛ちゃんは男子恐怖症」




 神様。

 漫画のように次々と壁が出てくる恋愛がしたい、って確かに言いました。


 けど、こんな巨大な壁。


 あまりにも高すぎないか!?



感想orアドバイス、お待ちしております。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ