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それでも、やっぱり君が好き。  作者: 水原琴葉(元・空野ことり)
Mission4 相手にカッコイイところを見せよう
17/18

ナンパ 2

 ・・・・・・・・・・・

 クラスにいる時のようなおちゃらけた雰囲気は影もなく。

 俺は、目の前の不良を睨んでいた。


 だが、こんがり焼けたトーストのような顔の色の男は、俺と反対に余裕のよっちゃんな笑み。……むかつく。

 軽く苛立ちを覚えながら、睨み続ける。

 

 ―――――あいつら、大丈夫かな……。

 

 そう思った時、男が動いた。

 やばい、来るか!?

 危険を感じて身構えたが、男はただ一歩踏み出しただけだった。何だか馬鹿にされたようで、またむかつく。

 

「……お前は、彼女達が好きなんだな」


 俺は答えない。

 このような質問は、答えないのが懸命だ。

 男は苦笑し、更なる質問を投げかけた。


「どっちが本命だ?」

 

 なぜこんな質問を―――――と思ってからはっとする。


 連中は、涼峰さんの名前しか出していなかった。茜も涼峰さんと一緒に連れて行かれそうだったが、茜はオマケだ。

 つまり、俺が敵か、敵ではないかを調べている―――――のだと思う。


「プライベートなんで、いくら先輩といっても教えられませんよ?」


 笑みを浮かべる俺の頬には、冷や汗が出ていた。

 そんな俺に、男がこっちにこい、という仕草をした。


「とりあえず一発、来いよ」


 馬鹿にされまくりなのが悔しくて、感情任せに拳を後ろへ引き、思いっ切り前に向ける。だが、俺の拳は男の手の平で止められていた。


 おい、マジかよ…。


「やっぱり、当たんねぇな。喧嘩やったことねぇだろ」


 答える代わりに舌打ちをする。

 ふっ、と笑ってから言う凛々しい不良のリーダー。


「そんなもんなくせに、よっぽど凛を守りたいようだな……」


「どうせ俺は喧嘩もろくにやったことの無いもやしっ子だ。悪いか?」


 ふと、低いうめき声が耳に入った。同時に、衣擦れの音や木の葉を踏んだような音が聞こえる。俺が退けた三人の雑魚キャラが意識を取り戻したようだ。

 状況は更に悪くなってしまった。カッコよく立ちながらも、俺の心の中では冷や汗が洪水を起こすほど分泌されていた。


 やべーよ俺! やっべーよ俺!!

 あのいけ好かない茶色の男は立ったままで俺を見つめている。あれ、俺の態度がいけなかったのかな……。


 そして、三人のヨロヨロとした男達は、気味の悪い笑みを浮かべながら俺をじりじりと追い詰めていく。キ、キモい……。


 あーぁ……。俺はもう終わりかもしれない……。でも、最期に好きな子を守れてよかったな……。って、カッコ良俺。


 もう既に、三人の雑魚キャラは俺のすぐそばまで迫っている。俺が死を覚悟した、その時。


「―――――やめろ」


 このイケメンボイスは、焼けた顔の男の声だ。俺と周りの三人が驚いて彼を見る。

 その表情からは何も読み取れない。

 眉毛ピアス男が、思わずというように戸惑って声を上げた。

 

「ゆ……祐吾(ユウゴ)……? ……どうしてだよ?」


「今日はもう戻るぞ。お前等だってケガしてんだろ?」


 優しさの含まれた言葉に、眉毛ピアス男が恥ずかしそうに唇を突き出し、耳の下あたりをポリポリかいた。


「まぁ、な」


 おいおい、不良の友情劇なんていいって……。

 三人は大人しく支持に従い、リーダーの元へ戻ってく―――――前に、ありがちな悪党の捨て台詞を吐いた。


「覚えてろよな、一年坊主!」


 本人達にとってはカッコイイのかもしれないけど、見てる側からしてみればかなりダサかった。リーダーさんでさえ苦笑いしている。

 こうして、涼峰さんと茜を襲った不良たちは、去っていった。ほっとして安堵の息を漏らす。


 と、立ち去ったはずの男の声が聞こえた。


「おい、一年生」


 このイケメンボイスは『祐吾』と呼ばれていた茶色いリーダーだ。緩んでいた筋肉が一気に縮み上がる。


「なっ、まだ何かあんのかよ……!?」


 顔を上げ、何度もした睨みをきかせる。だが、全く効果は無し。

 少し先に立つ凜とした顔の男は薄く微笑んで、自らの名を口にする。


「オレは羽柴祐吾(ハシバ ユウゴ)。お前は?」


 なぜ名前を聞いてくるのかと謎に思いつつ、俺も自分の名をぼそりと言った。


「……朝倉圭太」


 意地悪して小さな声で言ったのに、不思議と伝わっていたようだ。いや、不思議を通り越して怖い。

 羽柴は「じゃあな、圭太」と最後に声をかけると、今度こそ仲間達を引き連れて帰っていった。


 ここは、校舎の影で日陰になっていて、だいたいじめじめしている。そんな地面に、抵抗もなくドサリと座った。思わず、校舎の壁に背中を預けてしまう。


「……くそったれ」


 吐き出すように言う。

 色々な感情が溢れすぎて、若干混乱状態だ。気持ちが一つに定まっていない。

 生まれて初めてのケンカ、涼峰さんと茜が不良に絡まれたこと。たったの二つのことだけなのに、気持ちはそれ以上に多い。それと同時に、考えることも。


 あれ、俺って何しに来たんだっけ……。衝撃的すぎるものを見て、記憶が飛んだのかな。

 だんだんと閉じていく、俺の目の前の世界。

 そうだ、俺はあいつらのコ〇・コーラを買いに―――――。

 呆気無く、圭太の目の前は真っ暗になった。

 



 喧嘩シーンとかマジで初めてで、ドキドキしてしまいました………(*゜-゜*)

 これくらいで下手なので、アクションとか絶対無理ですね(笑)

 てゆうか、このシーン書くつもりがなかった…。けれど、こういうことでいろいろな体験が出来るので、やっばり計画通り行かなくてもいい時はいいですね。

 これからも『それでも、やっぱり君が好き。』をよろしくお願いします!


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