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男ってどんな感じ?

 


「凛さ、男ってどういうイメージなの?」



 温かい春の日差しが降り注ぐお昼ごろ。

 県立大銘高等学校の屋上で俺達三人は、仲良くランチタイムを楽しんでいた。

 相変わらず凛――――――じゃなくて涼峰さんは俺と近付いてくれなくてチョー悲しい。心折れそう。

 なのに頑張っているこの俺に、誰かご褒美をくれないな。涼峰さんとか。


 小さな形の良い口をもぐもぐと動かしながら、涼峰さんは首を横に傾ける。

 ごくん、と音がしそうな感じで飲み込み、涼峰さんは小さな声で答えた。


「……えっと、不潔で、変態で、自分勝手で、嘘つきで、最低なやつかなっ」


 何故これはすらすらと言えるのか。

 

 つか俺そんな不潔かなぁ? 

 変態っつーのはちょっと、まぁあれだけど、自分勝手、嘘つき、最低なやつ……。あっはは、全部俺に当てはまってねーや! やったー!


 そんな事を思いながら、俺は二人の会話に口を挟んだ。


「いや、でも皆が皆そうだとは限らねぇし……そういう考えを持つのはやめた方がいいと思うけど」


 すると、涼峰さんはキッと睨んできて、茜は冷たい目で俺を攻撃してきた。精神的のね。


「男子はっ、そうなの……っ」


「凛の考えを否定するなんて……。振り向かせたいからって、そういう事を言うのは朝倉もやめた方がいいと思うけど」


 はいはい、なんかすいませんでしたね……。

 良く考えると、……涼峰さんに睨まれたの初めて。胸が痛い。しかも茜とか涼峰さんの信者かよ……。


 こいつらといると、なぜか俺のツッコミスキルが高くなっていっている。

 ついでに友達といる時とキャラかさが違くなってくる。もう一人の自分、みたいな。二重人格だったのかもしれない俺。


 心の中で突っ込みながら、黙々と弁当を食べる。


 まず、男に対してマイナスのイメージしか無いから、そこを何とか出来ねーかな……。


 話したいけど話しかけても無視されるので、仕方無く寂しいからポケットからスマホを取り出す。

 片手でパスワードを入力してロックを解除し、何となく画面を見つめる。


 何か面白そうなアプリ、ないかなー。


 こんな時にはアプリゲームをプレイするのが一番だ。

 今入れているアプリゲームは若干飽きたので、ストアで人気のアプリを見る。


 へー、自転車でジャンプしながらレースか……いいかもな。

 結構レビューもいいし。


 お、これもいい。

 変なゴリラみたいな怪物に追いかけられている、暗い青色の髪の男が様々なトラップを潜り抜け、お金を集める……こんな感じだろう。

  

 よし、インストールインストール。


 ぽち、とは音はしないが画面中のインストールボタンを押して、画面を縦にスクロールさせる。


 うわー、マジか。

 こんなもの、やる人いんのか?



 『イケメン宮殿♥秘密の約束 女性向け恋愛シミレーションゲーム』



 これの歴史バージョンもあった。

 

 恋愛シミレーションゲーム。

 恋愛、シミレーション、ゲーム……。

 

「おぉっ!?」

 

 さっきまで黙々と食べていた俺がいきなり叫んだから、二人はかなりビックリしたようだった。

 

 不快そうに、茜が冷たい目で睨む。


「……何」


「り――――――じゃない、涼峰さんっ、西洋風と日本風どっちが好きか!?」


 めっちゃビクッとされたが、俺は希望でいっぱいで心に傷は残らなかった。


「なっ……な、何です、か? きゅ、きゅう……に……っ」 


 怯えて茜の後ろに隠れてしまった涼峰さんも、可愛い。

 俺は得意げになってスマホの画面を見せながら、説明した。


「こんなアプリを見つけたんだ。これで男に接する練習になるんじゃないか?」


 茜が無言で俺からスマホを奪い取り、じぃっと画面を凝視した。

 何、と涼峰さんも俺のスマホを覗き込んでいた。


 やった、涼峰が俺のスマホを見てくれた。……なんて、それくらいで喜ぶ変態じゃないからな。


 茜はすぐに興味を無くしたように、画面から目を離して自分のお弁当を食べ始めた。

 残った涼峰さんは、悩んでいる表情でスマホをぎゅっと握る。


 ちょ、やめ、俺のスマホが壊れる。



「……やって、みる……っ。西、洋風……のっ」

 


 突然の言葉に、俺は瞬きを一回して涼峰さんを見た。


「やってみるって……この、アプリをか?」


 すると涼峰さんは口をへの字にして俺から目を逸らした。

 そして、再びお弁当を食べ始める。

 白い箸で掴まれた小さなウインナーが、涼峰の口に入った。


 どっちなーんだい!

 もしやるのだったら、気が変わらないうちにインストールしなければ。

 それより日本風より西洋風のが好きという事は、結婚式はウエディングドレスで決まりだ。


「分かった、インストールしたら渡す」


 画面をタップしながら言うとあまり見えない前の方で、涼峰さんが頷いたような気がした。


 すぐにインストールが終了し涼峰にスマホを預ける。

 見ると、お弁当はあと残り少しだった。

  

 やばい、俺も食べなくちゃ。


これはずっと書きたかったエピソードなので、かけてすっごく嬉しいです!!

感想待ってます……。

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