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リリス・サイナーの追憶  作者: Reght(リト)
第三章 セプリアドゥー・ドゥーウェンの死想
98/116

epilogue_Ⅰ



 一つの和室に、白夜はいた。

 どこに行っていたのかと幼馴染に問われ、取り逃がした〝反女王派〟について返事すると、思いっきり殴られた。頭を狙ったその攻撃に、白夜はただ呆れるだけだ。呆れられた本人は人の話を聞いているのかと余計に怒ってしまったが。


 今まで怒鳴り声の響いていた部屋は、今では静かに、白夜の話し声だけが存在していた。電話越しに話す相手は、相変わらず質問攻めを繰り返す。取り敢えず黙り込み、無理し続けるとやっと静まった。

 誰にでも気さくなその性格は自身の師匠に似ていて好くが、少々煩いのが難点だ。



「それで、いつ顔を出すんだ? あんまり長いと、それまで隠し通す自信ねーよ?」

『一般人相手にその気弱は珍しいねえ。俺への態度は丸くならないのに、ちょっとショック受けたんだけど』

「一般人相手ならいつまでも隠し通せる自信あるぞ。〝二つの槍〟舐めてんじゃねえよ。俺が言ってんのはよ、愛佳だ。アイツなら知ろうと思えばいつでも心読むし」

『アハハ! 君でも女王の加護者なら弱気になるか。――まあ、その時はその時でいいじゃん? 出来るだけ隠しとくだけでいいよ、太刀打ちできるわけないしね。まあ、あの子本人が気付くまで、遊んでおくよ』



 電話越しの彼は自分が言った〝あの子〟のことを考えているのか、妙に声が弾んでいた。白夜はその言葉に、知り合いと既視感を感じた。そう言えば、アイツは落ち(・・)着いて(・・・)いたな(・・・)、と。



『――白夜?』

「あ? ああ、ちょっと考え事してた。ま、お前も程ほどにしておけよ。俺が面倒だし」

『ほいほーい。んじゃーね!』



 溜息を吐きたくなるような能天気な声に、思わず気分が沈む。鬱陶しいと思うと同時に、面倒くさいと思わせるこいつは最強だ。

 相手が電話を切ってしまう前、低い声で白夜が言った。

 その声は、誰もいない和室によく響く。












「じゃーな、癒しの神様さんよ」


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