怪異の集まる街_Ⅲ
違和感三つ目――転生。
この単語が一番反応が強かった。右目の奥が焼けるようにズキズキズキズキズキ、あああああ、いたいいたいいたい痛いっていいい。
ひだりてのかんかくがなくなってきちゃったどうしようあは、どうしようもないしああははははははあははははははあはははは、あ、やばい、頭おかしくなってる。ははっ。
転生――神話のような歴史の授業で聞いたのは、〝神様人間説〟と言う本を紹介された時である。神様は元々人間で、常人から超人になるように膨大な知識と強大な体を作り、自らが神になるように仕向けた、と言う話だ。
歴史の終わるチャイムがなった。
ノート取ってない。授業聞いてない。さぁ教科書開こうか。五分で全てが覚えられるよ。
右目を抑えながら、髪のない後頭部をさらして出ていく本田を見ると、死体を見て「おお、またか。元気いいな」なんてほざいて教室から出て行った。
死体。違和感と同じくらいの大問題。まぁ、大問題って思ってるのは自分くらいだろうけど。
一言で表すならグロテスク。目にカッターが何本も刺されている。しかも両目に。刺さっているカッターの間に真新しい血がいっぱいついている。頭蓋骨は半分くらいなくなって、中身が見えていた。引っこ抜かれた舌が死体の左手あたりに落ちていて、しかし左手も、左手と表現するのはおかしいかもしれない。指は一本も繋がっていなく、指がありはずの場所は針が何本も刺されていて、目線を変えてみると黒色の糸がグチャグチャに縫われていた。死体はぬいぐるみ替わりか? それはそれはリサイクルでエコリズムだね。エコリズムってなんだ?
――――――――――――――――――あーあ、
「気持ち悪いねぇ……」
ダウト。そんなの微塵も思ってないさ。
だって、そういう世界だし?
人殺し当たり前。窃盗当たり前。暴行当たり前。強姦当たり前。退学当たり前。拷問当たり前。奴隷当たり前。神様当たり前。戦争当たり前。
何が起きても驚かない、愚かな人間の世界。
これだから、人間は大嫌いなんだ。
――――これだから、私は死にたがりなんだ。