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リリス・サイナーの追憶  作者: Reght(リト)
第二章 二つの槍、エレジィゲーム
41/116

Prologue_Ⅱ




 真っ暗な空間の中、リリス・サイナーは顔を歪めていた。


 何かを悩むように腕を組み、秩序のない自分の世界でひたすらに悩み続けた。時には縦に一回転して見たり、床を作ってゴロゴロしてみたり。その姿は、本物のように人間じみている。


 かれこれ、世界の時間で言えば二週間ほど、彼女と言う一柱はずっと悩んでいた。


 何かを念じるように目を瞑ると、一つの面影が頭の中で完成され、しかし意味のないものだとすぐに消されてしまった。


 思い浮かんだのは、奇妙な姿の一つの人間。


 全ては暗色でまとめられている、道化気取りの反女王派。


 滑稽な狐面に体を隠した黒いマント。腰にはナイフを何本と予備し、肩には青い唐傘をかけている敵気取り。


 実際、狐面――ディエニーゴ・コンテンデレの率いる反女王派は、消そうと思えばいつでも消せるような底辺な神どもが集まり、小さな反抗を繰り返すだけの派閥だ。自身の反発など、他の狂信的な神々、特に自身の十二神将に命令さえすれば、一瞬で塵になるものを、ただ生かしているに過ぎない。


 だけど、簡単に終わらせてはつまらない。小さすぎて消す気にもならないし、消すとしても十分に利用してからにすべきだ。


 勿論、自分としてはもう利用している。彼らは気付かないうちに、自身の、最高神リリス・サイナーの、媒体として作っている少女体の、手のひらの上で踊っているのだ。一人でチェスをやって、駒は全て自分で動かしている気分は、錯覚でもなくただの事実。


 だが、その存在は今からやつ異端者たちのゲームの勝敗に、偏りが出来てしまうかもしれないのだ。

 それはそれで面白いが、しかし自身の計画に崩れが生じてしまうだろう。

 消すか消さないかの前に、ゲームをいつ始めるかにも、勝敗は傾いてしまうだろう。


 橙色の髪を持つ、自身に似た少女を思い浮かべる。


 また縦に一回転すると、また思考を始めた。


 日熊の〝槍〟たちも、まだこちら側に付くのか分からないしねえ。


 世界の女王は、退屈に顔を歪めた。


 今度その美貌に表れたのは、新しい玩具を見つけた、小さな子供の指。


 彼女は、少女体の心でこう思った。





 ――――それならば、神だけではなく、全てを巻き込んでしまおう。





 最高神リリス・サイナーの思惑を知る者は、いまだ誰もいない。



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