表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リリス・サイナーの追憶  作者: Reght(リト)
第二章 二つの槍、エレジィゲーム
40/116

Prologue_Ⅰ




 大きな館の中、空気は殺伐としていた。


 その部屋には、三人の男がいた。その内の二人はまだ少年に近く、あと一人の中年の男を、半ば睨みつけている。


 一人の少年は、半純血の黒髪をウルフカットに切って、水色に近い空色の目を持っていた。祝福の子、と言われるその目を、今は難しく細めている。


 もう一人の少年は、綺麗な銀髪に、燃えるような赤目と半純血の少年と同じ空色の目を持っていた。忌と祝福のコントラスト。その目は、黒髪の少年とは真逆に、気だるげに細められている。


 中年の男は、二人の視線に、顔を歪める。強面だが、優しい雰囲気を持っている。

 黒髪の少年が、静まり返った空気の中、声を出した。



「どういうことですか? 二ヶ月間、何故黙っていたんですか」



 棘のある言葉に、中年の男は何も言えなくなる。ただ、黒髪の少年を申し訳なさそうに見ているだけだ。

 今度は、銀髪の少年が、殺伐とした空気を壊すように言った。



「ひなつ、お前、何もそこまで怒らなくてもいいじゃねえ? ケイさんだって、上から釘さされたら何も言えねえだろうよ」



 ケイと呼ばれた中年の男は、その言葉にほっと胸を撫で下ろした。


 よかった。二人がかりで言われると、流石に相手が出来なくなる。


 ケイは、強面の顔を無表情にこそしているが、心の中は相当に焦っている。目の前の黒髪の少年――ひなつも大概問題だが、二人よりまだいい。そう、ケイ――日熊恵一郎は思っていた。



「そもそも、教えるも何も、お前はもう会ってんだろうか、リリス・サイナーに」

「…………」

「………………もういいだろう。そういう事だ、もう愛神(いとがみ)中学校には転入の手続きは取ってある。明日から行けるようにしておけ」



 ほとんど準備などないが、心はまだ追いついていないだろう。


 そのことを踏まえて、恵一郎は二人に声をかけ、そそくさと部屋を出て行った。残されたのは二人の少年と、ひなつの少年の怒りと、静寂のみだった。



「んー、で、どうする? や、どうするもこうするもねえけどよ。こっちにも一応拒否権あるんだろ? でも、神の目持ってるぜ? しかもケイさんの名に泥塗るっていうのもなー」

「貴方は黙っていてください、白夜」



 近くにあったマフィンを手に取り、白夜と呼ばれた銀髪の少年も、こえー、と軽口で言いながら、部屋を出て行った。

 最後に残されたひなつは、手を強く握りながら、小さな声で呟く。



「――――――リリス、サイナー………。…………俺の、新しい主人……」



 その声は、その部屋の静寂と一緒に、流されて消えていった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
投票にて相手が決まります→「http://enq-maker.com/eDHyfqt」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ