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リリス・サイナーの追憶  作者: Reght(リト)
第一章 少女の転生、神のゲーム
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越智悠馬というヒト科についての記述_Ⅰ



 最初に見た時、見惚れたのは仕方ないことだと、今俺は言い訳を語れるだろう。その言い訳には、主にアイツの容姿について自然と語ることになる。


 金色の混じった橙色の長髪。その長さは叡智(えいち)の量を表しているのだろうと思った。

 ビスクドールのように、まるで作られたものかと錯覚するような容姿。その美貌は偉大さを表しているのかと思った。

 それら全てを土台にし、一番に輝く金の目。これに、最も魅せられる。神の目と言われる、崇拝対象の両目。

 成績優秀。運動神経抜群。つまりは文武両道。

 だが、それじゃおさまらない。


 あの頭脳は優秀なんて言葉でおさまるようなものではなく。

 あの運動神経は抜群なんて言葉でおさまるようなものではなく。


 同じクラスに、しかも隣の席に、こんな、なんていうか、漫画に出てきそうな人に会えるなんて思わなかった。

 よろしく、と言われて出された手を素直に握れなかったのはしょうがなかったと思うんだ。



 美しすぎる、清楚そうな容姿に反し、アイツの性格はよく言えば堂々としていて、悪く言えば横暴だった。それでも、アイツの我儘を拒否するやつなんていなかった。当たり前だ。あの顔で、あの目。崇拝対象であり、その神秘的な雰囲気を纏うアイツに逆らうなんていない。一度は逆らっても、あの目に魅せられれば態度は百八十度変わる。


 自己紹介の時は本当に心臓が飛び出るかと思った。

 あの顔で笑い、あの目で皆を捉えて、あの声であまりにも普通に言ってのけたのもだから。


「私は樋代愛佳。出身は一陽(いちよう)小学校。まぁ、とりあえず、私には逆らわないでほしい。私は自分の快楽に邪魔するものは嫌いでね。そういう者は徹底的に排除するから」


 ニコリ、と蕩けるような笑みで言われたら、毒を吐かれたら、誰も邪魔する者はいない。

 それが当たり前のように、いや、実際それが当たり前で。アイツは不敵な笑みを浮かべると、以上だとイスに座った。


 立てば芍薬(しゃくやく)座れば牡丹歩く姿は百合の花。神の最高傑作と、誰かが言った。新聞にも載っていたその言葉は、皆知っている。


 朝は誰よりも早く来るし、授業の間は頬杖をして憂鬱に顔を歪める。ホームルームが終われば誰よりも早く帰るし、人に話を振られてもてきとうに相槌だけをしていたのを、俺は見ていた。

 だから、皆、思ってたんだ。

 コイツは、周りを見下しているのだろうと。

 分かっても、不満など漏らさない。そもそもの基準がおかしく、その姿を見られるだけで一生の幸運と言われるのだ。それは仕方がない。周りも見守る体制で保たれていた。


 そして一か月がたった時、アイツは教室で親友と言った二人と、楽しそうに話していた。クラスメイトの驚きの表情は、俺にはいやと言うほど伝わってきたもんだ。

 忍足秋名。一か月前に来た転校生。青色の髪を持つ、もちろんアイツには敵わなかったが、結構な美少女だった。その証に、次のランキングには二位に上がってきた。まぁ、思えば、あの顔だ。これも当たり前だろう。それまでなら、俺も普通に、今まで通り見守るだけで終わっていただろう。だが、問題は起きる。もう一人の親友が、男だったことだ。


 忍足夏名。俺らとか違うクラス、二組に在籍している。忍足サン、のイトコ、らしい。女のような顔していたから、制服を見た時にそれは驚いて、そして叫んだ。俺だけじゃない。その場にいたやつ全員が。

 その日から教室内はピリピリしていた。今まで手に届か居ないと思っていた存在を、汚されたような感覚。憧れの存在を取られたような気持ち。俺も、例外じゃない。

 嫉妬と羨望。忍足夏名に集まる視線の意味を、当の本人が知っているのか。それすらも、また一言も話したことのなかった俺には、謎ばかりだ。



初、越智くん視点!

つづきます。

何時も適当なところでやめてごめんなさい;;


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