Prologue_Ⅱ
彼女が妖艶な笑みを浮かべて、僕らの前に姿を見せたのは、百年ぶりだった気がする。
もう覚えていない、そもそも存在すらしているのか分からないが、自分の信用のない時間を、かろうじて信用してみれば、多分そのくらいだと思う。
久しぶりに会えた喜びを、どう表そうかと思っていたら、彼女は一言こう言った。
「久しぶりにゲームでもしないかね?」
彼女と話せるのなら、なんだっていいんだ。
そもそも、ゲームでもなんでも、勝負は君が勝ってしまうだろう?
「さて、今回はどうかな? 我にも予想がつかないんだ」
どういうこと?
神としての力が弱くなってるのかな?
でも、君はいつも通りのようだけど。
「ゲームを高度なものにしたんだ」
ああ、君が笑ってくれている。
随分楽しそうだ。
いったい何を始めるんだい?
他の神も身を乗り出す。
ゲーム? リリス・サイナーが? 女王が何を始めようと? 笑っているぞ、恐ろしい。 何も始めるつもりだ。 彼女の快楽のために、また付き合わされるのか。 おいおい、何する気だよ? ふぅん、それはさぞかし面白いんだろうね。 やろうぜ、折角だろ?
五月蝿いなぁ、彼女が喋っているんだよ、黙らないか。
同時になくなる声。
やだなぁ、そこまで怖かったかい。
――――――――――それで、何のゲームをするの?
「人間たちを利用したものなんだ、聞いてくれるか」
勿論だよ。
「名前を――――――――『エレジィゲーム』。異端者たちのゲームだよ」