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リリス・サイナーの追憶  作者: Reght(リト)
第一章 少女の転生、神のゲーム
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Is this a close friend?_Ⅰ




 一月二十八日。つまり、翌日。

 入院なんてすることはなく、目の前で正体不明な検査結果を、真剣な表情で語っている医師に対し、私は適当に頷いていた。

 右隣りには金髪に紫の目のハンサムというかダンディな父親――樋代藤次郎(ひしろとうじろう)

 左隣りには橙色の髪に青の目を持つ聖母マリアのような母親――樋代弓佳(ひしろゆみか)

 そして、私の真後ろには、朝から会いに来てくれた越智くん。

 いや、君何故そんなに早く会いに来たんだい。別にいいんだけどさ、その、私の両親に会いたかったって書いている顔をどうかしたらどうだい。

 医師の話が長すぎるため、この愛佳様の完璧な頭脳で纏めると、だ。

 曰く、私のサイナーは女王の力らしい。

 曰く、私のサイナーは【全てを支配し、改変させる】サイナー、らしい。

 曰く、どのサイナーよりも強く、神の力であるらしい。

 曰く、――――。

 こうやって説明すると、やめるタイミングが分からなくなるので、今やめる。

 つまり、だ。

 私は記憶を取り戻したことによって、神であるリリスの力の加護を自動的に貰い、それをサイナーとして自由に使えるようになったらしい。女王とはリリスのことで、今までのようなことが昔に何回もあったらしい。成程、あの女王とか呼ばれている髪様――じゃなくて、神様は、私の他にも人間に力をやったことがあるらしい。

 その都度、加護を貰った人間は一度倒れ、日熊(ひぐま)と呼ばれる、最高神リリスを一番信仰している家系によって助けられているらしい。倒れている私を発見したのも、今度転入してくるその日熊一族の一人だったと。

 【全てを支配し、改変させる】力。私に宿ったサイナー。神の加護により貰ったその力は、他の誰よりも強力で、しかも神の中の一番強い神からの加護。まぁ、一言で言えば最強になったわけである。転生して最強能力貰うとか、転生にての王道とか、まじでいらん。どうせなら越智くんにプレゼントしたいくらいだ。今まで人を騙し続けて、誤魔化し続けたサイナーが貰えたことは、幸運なんだろうけどね。

 それでも、貰った相手が私なら意味がない。

 だって、私はゲームに負けるつもりはない。

 もうすぐ、詳細を言えば一か月後、私は死ぬのだから。

 全てを支配し、――なんて凄い肩書だが、簡単に言ってしまえば、なんでも願いが叶ってしまう力だ。

 ここまで分かれば、この力をくれたリリスの心も分かると言うものだ。



 ――――全てを叶える神の力をやろう。それで親友を探せばいいじゃないか。

 ――――ただし、出来るものならな。



 そう、――挑発である。

 記憶を取り戻したなら早く行動を起こせ。我を楽しませるために、その世界にいるのだから。頭の中で、リリスの幻聴がする。なんと言うか、目障りだ。

 医師の説明が終わり、両親が退室しようとイスから立ち上がった。私の真後ろに立っていた越智くんは、ボーッとしている私の顔を伺っていた。


「ありがとうございましたぁ~」と、弓佳のノンビリとした声。

「いえいえ、私も【祝福の子】とお話しできて光栄でした! またご利用くださいませ」と、妙に畏まった医師の声。


 この世界には、目の色に差別がある。

 赤い目は忌み子と呼ばれ、蔑まれる。

 青い目は祝福の子と呼ばれ、その名の通り祝福される。

 金の目は神の目と呼ばれ、崇拝される。

 私の母、弓佳の目は青色だ。そして、その子供である私は金の目を持っている。私たち樋代家が有名な理由な一つだった。


「では、」ドアを閉める藤次郎。「――それで、今はもう大丈夫なのか、愛佳?」

「ああ、大丈夫さ」視線を越智くんに移す。「それより、こんな朝から出てきてよかったのかい? 越智くんよ」

 医師の説明が長い所為で今は午前十時だが、越智くんが来たのは朝の八時だった。部活がない日にこんな朝早くに出かけるのは、親が心配したんじゃないんだろうか。

「ああ、樋代が死にそうとかてきとうに言って出てきた」

 勝手に殺されたようだね、私は。

 両親が笑っているのでよしとする。


 ――――とりあえず、神への反抗心と、前世との区別をつけるため、一人称を〝僕〟に変えてみようかな。


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