表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リリス・サイナーの追憶  作者: Reght(リト)
第一章 少女の転生、神のゲーム
15/116

川島凛音というヒト科についての記述_Ⅲ




 さて、どうしよう。

 学校の宿題を終わらせると、その後が暇になってしまった。

 夜ご飯と言う名の夜中ご飯は作ってもお腹空いてないし。自習をしようにも、ノートは宿題以外全滅(言わなくてもいいだろうが、勿論イジメ被害である)だし。殺風景な部屋から、趣味なんてものは無いと物語っている。

 寝ようか。――寝られるだろうか。

 布団に潜り込むと、本日二度目の睡眠。まだ睡魔は来ない。

 静かに目を閉じる。まっくら。当たり前だ。

 脳裏に移る光景。今度は前世の記憶じゃない。でも、今世の記憶でもない。小説に出てくるカッコいい空間の名前なんてない。


 ――――そこは、ただただ真っ暗な空間。


 いるのはわたしと〝白〟の神様。

 彼女は、自分を神と言った。疑いはしなかった。元からそういう本が好きで、少し夢見たのと、空間と〝白〟がどこか現実離れしていたから。


 神は言った。お前を転生させてやる、と。

「期限はお前が気付いてから――つまり、思い出してから一か月だ」

 わたしは言った。まだ、朦朧としている意識の中。

「×××××××××××××××××」


 神様としてではなく、〝白〟として、一柱は驚いた。そして、何より動揺していた。それが、どう凄いのはその時わたしは分からなかったが、今になってようやく分かった。神が、リリス・サイナーが動揺したのが、どれほど凄いかを。

 転生したのは、リリス・サイナーが信仰対象とされている、腐ったセカイ。人殺しは捕まらず、誰が殺されてもそいつの知り合いは泣いたりしない。

 怖い。

 素直にそう思った。わたしはサクラを失ってから、――――いや、〝あれ〟を見てからか、死というものに敏感だ。血を見るたびに思い出す光景。〝あれ〟――――×を見たら嫌にでも振り返る記憶。

 あの時は、サクラを庇うなんてことまで気が回らなかった幼少時代。だから余計に恐怖がましただろう、あの恐ろしい、×で××××、サクラの×××××。

 それが、平然として起こっている世界。

 しかも、わたしが生きていたあの世界の、未来。

 嘘だ。これこそが、神に会うより信じられなかったんだ。

確かに、サクラと見た〝あれ〟から、幸せになるなんてなかった。

でも、周りは優しかった。

知り合いの死を悼み、友人が落ち込んでいたなら慰める。それが普通だ。少なくとも、周りになんて言われようとも、それだけは譲れない。

 そんなわたしを嘲笑うかのように、この世界は真逆だ。知り合いの死を当たり前だと思い、友人が落ち込んでいるのは蜜の味。

 そんな中の、神様のゲーム。



 ――――その時の凛音は、物語の結末を知らない。

 それこそ、神のみぞ知る御伽噺だと言うことも。

 だって、一縷の望みだってことぐらい、〝白〟は知っているだろう。



 神は言った。ゲームをしよう。愚かな人間を嘲笑い、アオイサクラにそう言った。

「ゲームに勝てば、お前を殺してやらんこともないぞ」

 〝白〟は言った。ゲームをしよう。今にも幸福を待ち構えている目の前のアカオチルハに、そう言った。

「ゲームに勝てば、お前の願いを叶えてやらんこともないぞ」


 その意味が、物語の結末はオレンジ色のステージに立たされていることに、




    いまだ、気付かないまま――。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
投票にて相手が決まります→「http://enq-maker.com/eDHyfqt」
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ