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第六巻 掌信号

「小虫」 名も分からない小さい虫が机の上を這っている。1ミリずつ、その脚を一生懸命に動かしている。彼にはこの机の上が荒野か砂漠に見えるのだろうか。私は「頑張って生きろよ」と声をかけようとしたが、止めた。どうせ「そんなの当たり前だろ」と返されるのがオチだろうから。 #twnovel




「掌」 今日は何かが変わっただろうか。そう思ったら、掌を開いてじっと見つめてみよう。その掌は昨日とどこが違うだろうか。もちろん分かる訳ない。でもその掌は生きている掌だ。常に細胞は生まれ変わっていき、昨日とはちょこっとだけ違う。それってやっぱり、嬉しいじゃないか。 #twnovel




「鑑定」 俺は「何でも鑑定人」。依頼された物事なら、骨董品だろうが人生の選択だろうが、何でも良し悪しを鑑定するだけの簡単な仕事だ。だけどある日、依頼人からクレームが来た。「あなたはいつも『それは良いことですよ』としか言わないですよね?」「それは良いことですよ」 #twnovel




次にこの故郷へ帰るのはいつになるのだろう。新しく現れた空欄に何を書けばいいのか分からないまま、記憶のページが止めどなく開かれていく。そんな【春】遥か彼方の 【夏】懐かしい日々が、 【秋】空きの目立つ上り列車の車窓から 【冬】浮遊して消えてしまうような気がした。 #twnovel




久し振りに開けた引き出しに、かつて自殺した親友が俺に宛てた遺書が入っていた。「憧れていた、理想は遠くて、ガラスのような僕の心は、とても弱くて脆くてどうして、生まれちゃったんだろうね」そう言えば、なぜ読点がこんな位置にあるのだろう。その瞬間、俺の涙腺は崩壊した。 #twnovel




【お】「おや、もう朝かい?」 【は】早起きな朝陽が、僕を眠りから覚めさせる。 【よ】陽気な挨拶は得意ではないけれど、その交換は背中をそっと押してくれるような気がする。 【う】嘘だと思うなら、さぁ、声に出してご覧よ。 世界はきっと、ちょっとだけ君の方を向くはずさ。 #twnovel





「博士」 この素朴な男は、実は有名な考古学者だ。きっと考古学への情熱を内に秘めているのだろうとばかり、僕は思っていた。「先生はなぜ考古学を?」「昔、ある書簡を見つけてね」「そこには何が?」財宝の在処か、歴史的新事実か? 「片想いに終わった不器用な男の日記なんだ」 #twnovel




【F】不安というのは順応してしまうもので、 【I】いつまでも続く 【N】奈落のように先の見えない夜道を 【D】泥まみれになって僕は駆ける。 【M】もしもその気配に気付いたのなら 【E】笑顔だけでも僕に向けてくれないか? "Find me!" #twnovel




「国」 ついにTwitter上に国ができた。当然、国民同士はTwitterでやり取りをする。参政権もしっかり保障されていて、下手な国より民主主義が徹底している。例えばこんな感じだ。「首相の解任を求める方は、このツイートを公式RT! ※20000RTで成立します」 #twnovel




「兄弟」 兄貴は僕より脚が速くて、背も高い。つまりはカッコいいのだ。そんな兄貴と競争しても、僕はいつも追い越されるばかり。そんな僕の唯一と言っていい楽しみは、毎年大晦日にやって来る。新年が始まると同時に、僕らは並んで競争を始め、皆がそれを祝福してくれるのだ。 #twnovel




「時計台」 僕の街には古くて立派な時計台がある。その時計台には毎朝お爺さんが点検にやって来るのだった。ある日、僕はそのお爺さんに声をかけてみた。「どうも。お仕事に精が出ますね」「いや、全然だよ。この時計なんてワシと同い年なのに、今まで一度も休んでないんだからね」 #twnovel




「愛別離苦」 「僕は必ずまた君に会いに来るからっ!」「絶対……絶対よっ!」「あぁ、絶対だ。それまで待てるかい?」「うん。また会えるって信じてるから」「もう時間だ。行かなきゃ」「ねぇ、電池が切れてもまた会えるわよね?」「それはどうだろう」長針は短針にそう言った。 #twnovel




「とあるTL」 A「やった! ついに念願のノベル賞取りました!」 B「おぉw(*゜o゜*)w」 C「おめでとうございます!」 D「それどこの出版社の賞? 検索しても見当たらないんですが」 A「すみません、長音入れ忘れましたm(__)m」 一同「えっ……!?」 #twnovel




「正午」 「どうせまた正午に会うんだし」そう言って長針は短針と別れた。彼にとって別れは日常茶飯事。人間は別れを悲しむが、それが彼には分からなかった。だが暫くすると、突然長針の脚から力が抜けた。電池が無くなったのだ。そして長針は知った。愛しい人に会えない悲しさを。 #twnovel




「人生」 人生は小説に似ている。小説が人生に似ているのかもしれないが、とにかく似ている。だが「事実は小説よりも奇なり」と言われるように、決定的に違うものでもある。人生は誤字・脱字を直すことも、初めから書き直すことも、この世に留まっていることも、できないのだから。 #twnovel




「不屈」 私には不屈の友人がいる。その体を地面に擦りつけられて、頭を次々叩かれて、それでも自らの仕事を誇りを持ってやり遂げるのである。その小ささを嘲笑うかのようなあだ名で呼ばれても、彼は一向に気にしない。「だってマウスって十二支で一番最初じゃないですか」 #twnovel




「信号」 人もまばらな時間。雨の中、赤信号を待ちながら傘を握っていない手で携帯を開く。気付かないうちにメールが届いていたらしい。差出人は、こないだの入学式で知り合った奴だ。「せっかく大学入ったんだし、俺らでなんか新しいことやらないか?」信号が赤から青に変わった。 #twnovel




「鋏」 「何でも切れるハサミ」というのを買ってみた。試しに嫌な上司との縁を切ると、上司は急な転勤が決まった。そこで私は考えた。自分と社会を切り離せば、法を越えた存在になれるはずだ。そして私は見事に社会との隔絶に成功した。だが無人島での暮らしには慣れそうにない。 #twnovel




キャンプ最終日は、月が出る頃に夕飯の準備となった。火にかけた鍋へ水が注がれ、間もなく良い香りが漂い出した。木のテーブルにはお金に余裕があったから買ったスイカが載っている。食後、土の上に散らばった種からはきっと芽が出るだろう。この「一週間」で育まれた友情のように。 #twnovel




【お】重い指先を動かしてキーボードを叩いてるよりは、 【や】柔らかいベッドに包まれて 【す】好きな人が出てくる夢をお願いしてみよう。 【み】見事に願いが叶ったなら、明日は頑張れるはずさ。 #twnovel

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