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第二巻 「一瞬」

明け方の展望台で朝陽を撮るのが、私の日課だ。その一瞬の煌めきの中に、今日の始まりを喜び、悲しみ、憂い、楽しむ人々の顔が凝縮されているように感じるからだ。地平線が明るんできた。反射的にファインダーを覗く。まだ私は、カメラを通してしか朝陽を受け止められていない。 #twnovel




小鳥がおもむろに羽ばたき、水たまりに波紋が広がる。水面に映る青空には、綿のような白雲が静止している。まるで写真の中のような一瞬の世界に、私は囚われていた。止まった腕時計の針に目を遣る。これを動かせば、時間は再び動き出す。それを止めたのは私。動かすのも私。 #twnovel




休日の昼下がり、大通りから横道に入った隠れ家のような喫茶店で、僕は彼女と他愛のないお喋りをする。このまま時が止まってしまえば、どれだけ幸せなことだろう。そう願いながら、紅茶とケーキを少しずつ時間をかけて口に運ぶ。彼女が微笑みを浮かべる一瞬が、僕の一生の宝物。 #twnovel




地平線を橙に染めながら、陽が沈んでいく。もはや今日という日が終わることを誰も止めることはできない。こうして夕焼けを眺めている俺は、今日に悔いがあるのだろうか。今日を真っ当に生きただろうか。太陽の消えるその一瞬、反射的に「待ってくれ」と手を伸ばした彼は、太陽。 #twnovel




星空に一瞬、流れ星の軌跡が描かれた。あれを見ていた他の誰かは、どんな人だろう。明日を憂う人か。決断を迷っている人か。喜びに浸っている人か。今日の終わりを悲しむ人か。また流れ星が現れ、僕は想像の中でまた誰かと繋がっていく。いつかはそれが現実になると期待して。 #twnovel

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