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第一巻 「永久の物語」及び雑感

*「永久の物語」


「永久の物語」と題された見知らぬ原稿が、桜の舞う庭に臨む文机に置かれていた。文字を追ううちに引きこまれ、気付けばどれだけ経っただろう。庭を見遣るが、散った桜の花弁は積もっていない。もう少しだけ、と私は再び物語に浸る。桜のように言葉が舞う。とめどなく、とめどなく。 #twnovel




端正な顔をした女が、散った桜の花弁に埋もれた一束の原稿を拾い上げる。さっきまでそれを読んでいたはずの彼の姿は、いつの間にか消えていた。「まだ足りない」散ったばかりの綺麗な花弁を、女は不服そうに踏みつける。「永久の物語」と題されたその小説は、まだ完成しそうにない。 #twnovel




女は、停留所で隣になった老人に語る。「私は作家として心の穴を文字で埋めようとしてきましたが、物足りぬのです」老人の鋭い眼光が女を捉えた。「あなたのような人を待っていた。読む者の魂を喰らう『永久の物語』はご存知かな?」差し出された原稿に、女は嬉々とした目を向ける。 #twnovel




青々とした草原の上で、男は目を覚ました。記憶は欠片も無い。男の中にあるのは、まっさらな原稿用紙に小説を書き殴りたいという衝動だけだった。どれほど時が経ったろう。その小説が完成した時、男は思い出す。それを読んだら小説に食われるのだと。己もそうして食われたのだと。 #twnovel




*雑感


仕事が一段落ついたところで、夕飯を買いに近くのコンビニへと歩く。まだ仕事に終わりは見えない。だが、やがては誰かの役に立つかもしれない。それがちっぽけな僕の今やるべきことなのだと思う。だから今はこんなことしかできないけれど、とレジの横の募金箱にお釣りを落とす。 #twnovel

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