第三十四巻 マリオネットの涙の跡に
それは誕生から始まる物語。
ノォトを開け、ピノッキオ。いいか。ここに書いてある微分方程式を解いてみろ?そォ、正解だ。じゃあ黒板にチョォクでリンゴの絵を描け。あァ、これはリンゴだな。やればできるじゃないか。こんな私でも、やればできるのだ。ハハハッ、上手くいったゾ!遂にアンドロイドは完成した! #twnovel
お前が世界初のアンドロイドねぇ。ま、良しとしよう。名前は……センスが無いねぇ。いいかい、お前は今日からマリオだ。マリオネットのマリオだ。良い名だろ?感謝しな。お前はウチが買い取ったんだ。タレントとして使えなきゃ、そうだね、切断マジックショーでもやってもらおうか。 #twnovel
あら、私にお手紙?どれどれ……。もしかしてあなた、私にラブレターを書いたの?キャハハハハハハ、何言ってんのコイツ。馬鹿じゃない?あんたはアンドロイドなの。おとなしく私の玩具になってればいいのよ。はぁ、なんかもう飽きちゃったわ。あとでお父様に処分して頂きましょう。 #twnovel
僕は、世界で初めて造られたアンドロイド。今は廃棄場のスクラップに埋もれています。僕は思うんです。アンドロイドが夢を見てもいいじゃないかって。スクラップから這い出ると、僕の目に溜まっていた雨水が零れ落ちました。僕は、世界で初めて泣いたアンドロイドかもしれませんね。 #twnovel
さぁ、みんな。今日の紙芝居は、世界で初めて造られたアンドロイドのお話だ。その頃は、当然アンドロイドの権利なんて無かったからね。彼は見世物小屋で働いたり、子供の玩具にされたりした挙句、捨てられてしまった。うん、そうだよ。みんなが知ってる彼の功績は、この後のお話さ。 #twnovel
彼の涙は、もう誰も知らない。