第三十巻 受験のお供にロボットはいかが?
机に向かう受験生のみなさまへ。
どうして受験勉強しなければならないの?親は志望校に文句をつけるし、友達はみんな違う大学を受験する。私自身、大学で何かがしたい訳ではない。「ペンが一分間止まりました。あなたのポエムをアドレス帳全員に送信しますか?」受験対策用ロボットの声で、私は慌ててペンを動かす。 #twnovel
「今日の勉強時間ランキングは、クラス中34位です。もう受験勉強をやめますか?」受験対策ロボットが、私をじっと見る。「勉強は量よりも質なの!」「そうですか。ではお疲れ様でした」そしてロボットは、寂しそうに机の上で体育座りをした。分かったよ、次はもう少し頑張るから。 #twnovel
最近、勉強する習慣がついてきた。これも受験対策ロボットのお陰だ。でも油断は禁物。ふと気付くと寝落ちしていた。はっとしてロボットを見るが、ペナルティが課された様子はない。むしろ見守ってくれていたようだ。意外と優しいな、と撫でようとして気付く。こいつ、電池切れか。 #twnovel
「受験対策ロボット?そんな古いの使ってるの?」電話の向こうで、友達は笑っていた。多分、悪意はない。「バーチャルアバターなら、個人に合った受験対策も柔軟にしてくれるよ?」そう言われても、私に乗り換える気など無い。だってコイツは、父からの珍しいプレゼントなのだから。 #twnovel
不安に駆られた私は、家を出る前に受験対策ロボットを起動した。「おはようございます。今日はセンター試験です。遅刻にはご注意を」「……うまくいくかな?」その呟きに、ロボットは答える。「ご安心下さい。あなた様の努力は、私がよく存じております。きっとうまくいきますよ」 #twnovel
受験は乗り越えるべきハードルではなく、知らない世界を見るためのジャンプ台なのですよ。