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第四巻 共鳴試験

「助け」 「ありがとう」赤ずきんは頭を下げる。「むしろ俺が助けてもらったんだよ」この子は俺を猟師だと思っているが、実際は俺が銃を持っていただけだ。「どうしてそんなに悲しい顔なの?」いつの間にか頬を熱い滴が伝っていた。「いや、嬉しいんだ」 #twnovel #daihitsu




「希求」 俺のことは人間には見えないはずなのに、なぜか人間は俺を追い求める。時には汚い手を使ってでも、一生懸命に俺を掴もうとする。だが無駄だ。俺を掴むことなんてできやしない。俺はさらにその先にいるのだから。さぁ来い、人間。今日もお前の悪あがきを見ていてやろう。 #twnovel




「月鼈」 僕には優秀な幼馴染がいる。文武両道、品行方正、とにかく何でもできる。比較対象は当然のように僕で「月とスッポンだね」といつも言われる。確かに僕はスッポンのように、ダメ人間の代表だ。だが僕は気付いている。月がそうであるように、彼は最近生きた眼をしていない。 #twnovel




「試験」 入試が今まさに始まった。問題が一体何なのか、この瞬間に明らかになる。カンニングだって、この問題には全く歯が立たないだろう。真っ白な問題用紙には、ただ一列の黒い明朝体が並んでいる。「問.あなたは何のために生きるか?」試験時間は、あと数十年ほど残っている。 #twnovel




「見棄」 コンビニ弁当を広げ、ソースを揚げ物にかける。ソースの袋には僅かに中身が残っているが、もう出ないだろう、とゴミ箱へ放る。さて今日の派遣先はどこだろうか。携帯を広げたところで、ふと気付く。急いで床を這い、ゴミ箱へ手を突っ込んだ。良かった、まだ汚れていない。 #twnovel




「居場所」 この世のどこかに、自分のいるべき場所があるらしい。でもそれはいつも蜃気楼のように消えてしまう。それがイヤで、私は道端で歌い出した。やがて人が集まり、仲間ができた。これも幻だろうか。一人が呟いた。「蜃気楼ってのは幻だけど、その先には本物があるんだよね」 #twnovel




「共鳴」 「今日もアイツウザかった!!」そうツイートすると「大丈夫。明日がありますよ」「そりゃ酷いwww」なんて励ましや同情のリプライが沢山来る。それを呟いたのは、誰あろう俺である。今日もそんな、その場限りの憂さ晴らしを……あれ? 知らないリプライ……!! #twnovel




「再会」 終電を降り、最後に改札を抜けて、出口に伏せている犬へ目を遣る。こいつは毎日主人の帰りを待っているらしい。しかし最後の私が出ると、悲しそうな背中でどこかへ行ってしまうのだった。ところが今日は瞼を閉じて寝ている。まるで主人に会えたかのように嬉しそうな顔で。 #twnovel




「節穴」 「『注文の多い料理店』って面白いよな」学食で昼飯を食べながら、友人が唐突に言ってきた。「まぁな」「だろ? 大人のくせにドアの注文を真に受けるなんてあり得ねぇって」そう語る彼の後ろで、テレビ画面は情報番組を映している。「巷で大ブームの宮沢賢治ですが……」 #twnovel




「願い」 「代打、滝沢」場内アナウンスが響く。俺はゆっくり右打席に入る。明日手術だという難病に侵された少年、山田君との約束を果たす時が来た。一打逆転の大チャンス。初球、大好きなコースに甘い球が来る。だが俺はわざと詰まらせ、内野ゴロにした。ダメですよ、山田さん。 #twnovel




「上隣」 上の階の住人は、音痴な歌を大音量で歌う。発表会が近いならまだしも、半年ずっとこの調子である。今日は頭が痛いから早く寝たいのに、お構いなしだ。だから今日こそは文句を言いに行ってやる。部屋の前に行き、ノックしようとした。が、そこで表札に気付く。「現在空室」 #twnovel




「紛失」 落とし物をしたという拡散希望をよく見かける。でも傍観者のオーラを身に纏い、自分なんかがRTしても役に立たないという正論を懐に忍ばせて、RTすることは無かった。だが今日のは違う。迷うことは無かった。なぜなら、彼が無くしたのは「明日への希望」だったからだ。 #twnovel




「DNA」 センター試験は散々。前期試験もまるで感触が無い。その直後の面談で、担任の生物教師が尋ねてきた。「DNAって何の略か知ってるか?」何でこんな時に、と思いつつも答える。「デオキシリボ核酸ですよね?」「いや、違う。どんな時でも、何があっても、諦めるな」 #twnovel




「葉書」 保健室の先生が俺に相談してきた。毎年恒例の学校郵便で、差出人不明の葉書が来たらしいのだ。それも「好きです」の一言だけ。「可愛いですよね、子供って」彼女はそう言って笑う。だが、文字が小学生にしては綺麗すぎることに気付いていない。やはり手ぬるかったか。 #twnovel




「群れ」 父が新しくメダカを貰って来たので、元から飼っていた水槽に入れてやった。だが群れに入りづらそうにしているので、一匹だけ別の水槽に移してやると、翌日には死んでしまった。そいつを土に埋めながら、俺は放置していたツイッターのパスワードを思い出そうとしている。 #twnovel




「独自」 オリジナルなついのべを書こうと思い立った。まず、ありきたりな言葉は使わないようにした。それでも足らないので、今度は英語で書いた。結局、俺は新しい言語を作って書いた。誰も読めなくたっていい。俺は俺の書きたい物を書くんだ。さて、どうやってツイートしようか。 #twnovel




「体験」 「学びとは体験だ」そんな恩師の言葉を胸に俺は理科教師になった。今日の課題は「対流」。恩師の言葉通り、一人ずつ脚立に登らせて天井の空気が温かいのを体験させていく。すると最後に登った子が不意に尋ねて来た。「きっと今おばあちゃんは、温かくて幸せなんだよね?」 #twnovel




「音痴」 帰り道には、いつもストリートミュージシャンがいる。素人でも分かる音痴なのだが、彼の歌を聞くのが私の日課だった。ある日、淡い期待を漂わせて彼が尋ねて来た。「何で音痴な僕の歌を聞いてくれるんですか?」「私に似ているから、かな」このことは後で呟いておこう。 #twnovel




「形」 友人の家が火事になった。急いで病院へ向かったが、幸いベッドの上の彼は元気そうだった。「無事で何より」「でも、全部無くなっちゃった」「『形ある物いつかは壊れる』って言うだろ」「いや。無いんだ、記憶が」黙ってしまった彼に、俺は言った。「記憶に形なんかないぜ」 #twnovel




「大盛」 我が「大森らーめん」は、名前の通り「大盛」が売りだ。最近は雑誌にも載り、嬉しい悲鳴を上げる毎日を過ごしている。そんなある日、一人の大食いの客が目に留まった。古い友人に似ているのだ。「もしや、大杉か?」すると彼は言った。「多すぎどころか、少なすぎですよ」 #twnovel

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