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第二十四巻 地縛霊さんの学校生活について

地縛霊さんの日常を、少しばかり覗いてみよう。

「この問題が解ける人は?」私は一番に手を挙げた。他に手は挙がらない。「じゃあこの問題は宿題にします」そう言うと、教師は次の章へ話を進めた。彼らに私は見えていない。この学校の地縛霊だからだ。私は教師の前で胸を張る。「どうです。10回も聞けば私だって解けるんですよ」 #twnovel




幽霊になると、相手が必要なことができない。この学校にもう一人地縛霊がいればいいのにと思う。いっそ地縛霊を増やしてやろうかと考えていた、そんなある日。校舎裏で一人、野球のボールを壁に投げ続ける生徒を見つけた。急げ!バッティングセンターごっこの絶好のチャンスだ! #twnovel




人のいない時に生物室を訪ねてみた。幽霊の特権である。カエルやメダカたちは、相変わらず水槽の中でのんびりしていた。どんなに悲劇的で未来がなかったとしても、そこに日常があるということを彼らは知っている。そのたくましさに励まされたかったから、ここに来たくなったのかな。 #twnovel




地縛霊になってからは、生前は来たこともなかった図書室で暇つぶしすることも多くなった。ただし幽霊だから、誰かが開いている本しか読めない。私が物語を理解できたのは、図書委員のあの子が何度も繰り返し読んでいる犬の小説くらいのものだ。もしや彼女は私のために? まさかね。 #twnovel




チャイムの音とともに私は教室へ飛び込んだ。幽霊になっても、いつも必ずこの授業には出るようにしている。別に出席をとられている訳ではない。私はただ、かつての同級生が教師として活躍する姿を眺めていたいだけなのだ。教室の後ろでそんな言い訳をしながら、私は遅い初恋に浸る。 #twnovel

幽霊に生き方を学ぶのも、悪くない。


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第一章 第十三巻 放課後の猫

第二章 第十巻 逸脱者たちの行進

第二章 第二十巻 犬も歩けば

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