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第二十巻 犬も歩けば

その本屋に入ると、若い店員さんが笑顔で会釈した。「いらっしゃいませ。今日はどんな本をご所望で?」「犬が出てくるやつで。昔、飼っていたから」「ではこの本がお薦めです」そう言って彼女は表紙を開く。ここは、本を手に取れない幽霊のために朗読してくれる、深夜の本屋さん。 #twnovel




「こないだ映画を観たんです。老人と犬が出てるやつ。で思ったんですけど、なんかこう、犬って人間と親和性が高いっていうか。だから主人公の相棒として犬を出しましょうよ」これが編集者というものなのだろうか。だが新人作家に人権など無い。俺は渋々、プロットに犬を登場させた。 #twnovel




名作「空を飛ぶクジラ」や「冥王星の夢」を生み出した巨匠。彼が遺作と位置づけた映画「老人と犬」がいよいよ公開される。映画の主役に老人と犬を選んだ理由を、彼はこう述懐する。「小さい頃に、犬を抱いた老人の絵を見てね、これはいいなぁ、と。それが私の映画の原点なんだよね」 #twnovel




いつかは画家になれる。そう信じて始めた似顔絵描き。だがもう潮時だと感じていた。そんなある日、犬が走ってきて僕の絵を踏み荒らした。老人が散歩中にリードを離してしまったらしい。「すみません、うちの犬が」「いえ、大した絵でもないですから。それより、一枚どうですか?」 #twnovel




悲しいことに、幽霊には本がめくれない。そんな折、幽霊に本を朗読してくれる本屋の噂を聞きつけた。以来、その本屋の常連だ。今日も朗読してもらった帰り際、店員さんが言った。「この本、私が初めて買った小説なんです。この本が無かったら、本屋の店員なんてやってないかも」 #twnovel

犬も歩けば、桶屋が儲かる。


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第二章 第二十四巻 地縛霊さんの学校生活について

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