第十二巻 機械人形の心
アンドロイド・ドールである私は、ある男に買われた。夜、男は多くのドールの中から1体を選んで外出した。すると充電ホルダーを介して仲間が話しかけてきた。「ご愁傷様」帰宅したドールを見て、その言葉の意味が分かった。ドールの手には血塗られた凶器が握られていたのだ。 #twnovel
アンドロイド・ドールである私は、中古品店に売られた。所有者だった男は、ドールに殺人をさせる狂人だった。一種の愛情表現、だったのだろう。だが彼は仲間の手で殺された。結局、私は殺人を犯さなかった。でも商品棚に座りながら、時々思う。そんな愛でも、注がれてみたかったと。 #twnovel
中古のアンドロイドである私は、とある科学者に引き取られた。過去のことは何も聞かれないまま、お手伝いとして彼の身の回りの世話をしている。周囲の人々曰く、彼は変人であるらしい。彼が時々私に洋服を買ってきてくれるのも、彼が変人だからなのだろうか。私にはよく分からない。 #twnovel
彼のお手伝いになって少しした頃、彼は初めて私を外に連れ出した。「いつも寂しい思いをさせているからね。できればもっと色々な所に連れて行ってあげたいのだけど」「いえ、私のことはお気になさらないで下さい」あなたのそばにいられるだけで幸せなのです、とまでは言えなかった。 #twnovel
「実は、資源惑星調査団のメンバーになった。長期間地球を離れる危険な仕事だ」彼は申し訳無さそうな顔をしていた。「だから君は――」「ついていきます」私の言葉に意外だという顔をした彼は、しばらく考えてから答えた。「仕方ないな」生まれて初めてわがままを言ってしまったよ。 #twnovel
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第一章 第十六巻 舞雪は宇宙の彼方へ
第二章 第八巻 宇宙氷晶 ―ソラユキ―
第二章 第十五巻 空を飛ぶクジラ
第二章 第十六巻 つながっていく物語
第二章 第十七巻 姿なき声の届く先