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第二巻 囁き鼠

「未来」 「本当に将来が見えないよな。せめて一歩先でも分かれば、進んでやるのにさ」食堂を満たして余りある若者の憂いに、仲間が答える。「何言ってんだ。未来は見えないものさ。いや、見ちゃいけないな。だって眩し過ぎるだろ」そうだ、俺もただのバカな学生じゃないか。 #twnovel






「心霊写真」 「見ろよ。心霊写真だ!」「ハァ? そんなワケ……」本当だ。こないだの集合写真に肩から伸びる白い手がハッキリと写り込んでいる。「なぁ、この手何か指してるぞ」「ん? オレの……首か?」数日後、彼は職を失い、自らの命を絶った。クビになり、首を吊ったのだ。 #twnovel






「天象儀」 「大学って人生のプラネタリウムって言うけどさ~」「おいおい、それを言うなら『モラトリアム』だろ」「あっ、そだね」コイツはいつもそうだ。知識を披露したがるくせに、どこか抜けている。でも、よくよく考えてみれば、今回はあながち間違いとも言えないよな。 #twnovel






「Q&A」 Qは叫んだ。「叩かれることに甘んずる。こんな運命を嘆かなくてどうしろというんだ!」Aが答える。「お前はまだ良い方だろう? 俺の方が叩かれる頻度が多いんだから」ちなみにこの140字で、Qは3回、Aは40回叩かれた。 #twnovel






「交代」 また変な会話を聞いてしまった。「あ~、疲れた」「やっと交代ですね」「Kさんは良いよねぇ。担当期間短いし、オイシイ位置だし」「いえいえ。Mさんだって世界中で祝って貰ってるじゃないですか。私の場合、恨まれる方が多いんですよ」睦月の次は……何だったっけか。 #twnovel






「タグ」 別の奴らも、バカな会話をしている。「なぁ、 #twnovel って知ってるか?」「知ってるよ。Twitter小説を書くときに付けるハッシュタグだよね」「じゃあさ、なぜそんなこと聞いたと思う?」「う~ん、分かんないなぁ」「俺とお前のこの会話がTwitter小説だからだよ」






「記憶喪失」 「ん~、ココはどこ?」「ココは潜水艦だよ。ホラ、ちゃんと操縦して!」乗務員だろうか。女が俺に指示する。咄嗟にレバーを掴み、岩を回避する。が、今度は巨大海底生物! 「何なんだ、一体!」「やっぱランドよりシーの方が楽しいね!」 #twnovel #monogatari






「狼男」 狼男は何とか電車に間に合った。周りの人間は一斉に驚きの表情を向けたが、すぐに元のように座り直した。普段ならできないが、今日は助かった。空いている席に何気なく座り、おじさん達の会話に耳を傾ける。「今じゃハロウィンも年中行事の一つだな」 #twnovel #daihitsu






「論争」 小学生はどちらかというとイヌ派らしい。この話をするといつも笑われるのだが、真面目な話だ。義務教育の時期、とりわけ小学生は「規則に従順であれ」と指導されているのが、その原因ではないだろうか。その証拠に、大学生は見事にネコ派なのだ。 #twnovel #daihitsu






「甥」 甥は後悔しているのだろう。さっき買ってやった玩具を、寂しい顔で見つめている。「やっぱり別の方が良かったか? 今なら戻って返品だってできるぞ?」「いいよ。だって僕、大人だから」ハハ~ン。さては、俺が先週リストラされたことを聞いたな? #twnovel #daihitsu






「楽団」 一通り差し入れを配ってから発表する。「『ひいて』ばかりなので、弦楽器の皆さんにはオマケで『押寿司』です!」その後しばらく練習を見ていると、一人落ち込んでいる奴がいる。「しまった」彼はピアニストへ渡すのを忘れていたことに気付いた。 #daihitsu #twnovel






「暖」 「お、暖かいな」「おかえり。エアコンついてるからね」「『働かせている』の間違いだろ?」「人聞きの悪いこと言わないでよ」「じゃあ、エアコン聞きの悪いこと言うんじゃねぇよ。『ストップ、温暖化』って思いながら働かされて、板挟みになってるかもしれないんだぜ?」 #twnovel






「鼠」 ネズミはドアノブを掴んだ。閉じ込められた仲間たちが、じっと見守っている。「とぅぉりゃあぁっ!」ガチャンっ。ドアが開いた。仲間たちは御礼と共に四方八方へ逃げ散る。「先生! 天才遺伝子を導入したマウスが逃げ出しました! 実験成功です!」 #daihitsu #twnovel






「姫」 お姫様はいつの間にか姿を消していた。「こっちよ」さっきまで傍にいた彼女は、洋館の二階から僕を見下ろしていた。「まさか」「あら、気付いた?」彼女の髪が妖しく揺れる。「幽霊の噂は本当だったんだ」「失礼ね。双子の妹の私が隠れてただけよ」 #twnovel #daihitsu






「チェンジ」 「テストの前日って、突然模様替えしたくなるよね」「……したんだ?」「悪い?」そこで教室のドアが開く。一瞬で喧騒が消えた。いつも固く結ばれている先生の口が開く。「今日はテスト……の予定だったが、模様替えしてたらテストが完成しなかったので延期にします」 #twnovel






「見落とし」 忙しい時に限って整理したくなる。「俺は何をせずにここまで来てしまったのだろう」そんな問いに反応するように、隙間に落ちた紙切れが視界に入る。一年前、独り暮らしを始める時に両親から渡された「やることリスト」だ。「俺は誰のお陰でここまで来れたのだろう」 #twnovel






「過敏」 「おはよう、蜂さん」名前を知らない彼は毎朝お辞儀してくれる。「こんにちは」「こんばんは」いつもお辞儀してくれる彼に、ある日尋ねてみた。「あなたは日本人?」「いいえ。お辞儀をするのは似てますが、違います。紛らわしくてすみません」そう言って彼は頭を下げた。 #twnovel






「酸」 テスト後の教室は、戦況を交換し合う生徒で溢れる。「酸素って画数多いから嫌いなんだよねぇ」「そうそう、特にテストの時とか面倒だよね。誰がこんな名前にしたんだか」そんな会話には、天から声が届いているのを忘れてはならない。「『acid』を訳した奴に言ってくれ」 #twnovel






「メシア」 隣の家族連れの会話に、突如耳が反応した。「お父さん。僕はどうやって生まれて来たの?」随分と答えづらい質問をする子だ。と思ったが、父親はためらう素振りを見せない。さすがだ。「お前はお姉ちゃんを助けるために生まれて来たんだよ」どうやら親に似たらしい。 #twnovel






「囁き」 最近、部屋に一人でいると、妖精のような声が何度も聞こえてくる。何故だろう。今日も、耳元で囁いている。「絶対に見ることのできない悪魔って、何だと思う?」「う~ん、お手上げ」「それはねぇ……睡魔だよ。姿を見られたくないから、人間の瞼を重くさせるんだって」 #twnovel

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