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第十九巻 雲という道標

その幽霊は人気者が嫌いだった。生前は少ない友人達と教室の陰にいるような、そんな生徒。だから彼は人気歌手を襲うことにした。しかし意外にもその歌手は、ある歌を歌い出した。それを聞いた幽霊は動きが止まった。その曲は生前に友人達と歌っていた、くだらない替え歌だったのだ。 #twnovel




カーテンを引くと流れこんでくる朝の陽射し。ガラスの向こうには遥か彼方、宇宙を外側から包み込むかのような青空。今日は快晴、と思ってベランダに出てみたが、残念、一欠片の雲が蒼穹を邪魔していた。いや、違う。アクセントだ。変わらぬ毎日に抗おうとする、白い帆船だ。 #twnovel




地球のどこかで生まれた雲たちが、流れていくうちに寄り集まって形成されていく、雲河。人々はその淵に生活の場を求め、その上を走る舟は各地を結ぶ交流の架け橋となった。歴史は繰り返す。繰り返してしまう。きっとまたこの文明も終わってしまうのだ。かつて滅んだ地上のように。 #twnovel




私は雲というものを見たことがない。本に書いてあるそれは、白い綿菓子のように悠然と空に浮かんでいるのだという。どうしてもそれが見たい私は、ある日、母に尋ねることにした。「雲ってどこにあるの?」「お空に浮かんでるじゃない。真っ黒になって太陽も青空も隠してるけどね」 #twnovel




「諸君、雲とは何であるかな?」長い顎髭をたくわえた博士の質問に、一番前の学生が答える。「水であります」「そう。しかしあれは水ではあるが、水ではない」「蒸気、のことでありますか?」「いいや、雲は天の言葉でもあるのだ」「?」「雨が来ると云う者が、雲なのだよ」 #twnovel




雲がかくも美しいとは。ひっそりと咲く森の花が、蜘蛛の糸でも曇らぬように。惜しくも敗れて退く者が、よくも、と悔やんで心を押し殺すように。今日も黙々と雲は行く。もくもくと形を変えていく。その儚さを嘆くもよし。その逞しさを呟くもよし。その健気さを心に残しておくもよし。 #twnovel




ここは地の果てか。それとも地獄への入り口か。砂漠で遭難して、すでに幾日かが経っていた。コンパスは無い。土地勘も無い。地図は、あったが砂嵐で無くした。どこへ行けばよいものか。絶望が肩を叩きかけたその時、天から声がした、気がした。飛行機雲が、一直線に伸びていた。 #twnovel




「艦長、本当にこれで隠れられるのですか?」「この惑星の住人は可視光の波長が短いからな。この水塊、雲と言うらしいが、この中に入れば宇宙船は彼らには見えないのさ」「しかし地上から指を指されていますが」「何!?」--「見て、あそこ!」飛行機雲が、一直線に伸びていた。 #twnovel




僕の友人に雲コレクターがいる。世界各地の雲をビニール袋に集めるのが、趣味なのだ。ヒマラヤの頂上の雲、マチュピチュを覆う雲、エンジェルフォールが貫いた雲。彼の旅行譚は、流し聞く分には申し分ない。それは必ず、この言葉で終わる。「一度でいいから『星雲』を捕まえたいね」 #twnovel




「これを探しているのですが」そういって依頼主が見せた写真は、意外すぎる代物だった。「これは……いい青空ですね」「いいえ、そっちじゃなくて雲の方です」「……えっと、つまりこれを探して欲しいと」「はい。全く同じ色・形の雲を。できれば連れてきてくれると嬉しいのですが」 #twnovel



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