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第十六巻 舞雪は宇宙の彼方へ

夢をお金で買える時代になった。それもそこかしこの自動販売機で売っている。値段はそれなりにするが、気の向くままに転職することも、感動の英雄譚の主人公になることも可能である。ただ、買った夢の包装にはこんな注意書きが書かれている。「夢はお金で買うものではありません」 #twnovel




トレジャーハンターは、今日の成果である黄金の王冠を片手に、雨の降る帰り道を急いでいた。相棒である狼も一緒だ。その時コンビは、雨に打たれて弱っている仔犬に出会った。狼が悲しげに仔犬の顔を舐める。「しょうがないなぁ」翌日、仔犬は王冠のベッドの中で安らかに眠っていた。 #twnovel




タヌキは池の縁に立つ人間を見つけた。しばらく観察していると、人間はおもむろに手を叩いた。すると池中の鯉が集まってくるではないか。これは面白いと、人間がいなくなるのを見計らって、早速タヌキも手を叩く。が、集まる気配は全くない。だって鯉は人間に恋しているのだから。 #twnovel




ヘビは動揺した。巣から卵を盗ろうとするのを親鳥のワシに見つかったのだ。「べっ、別に卵を食べようという訳では……」「なら何故ここにいる?」「あのー、空から落ちてしまって」「確かにヘビは神様でもあるからな。よし、ワシが送って差し上げよう」ワシの嘴がヘビを挟み込んだ。 #twnovel




「野蛮な住人は文明が進まないうちに処分しないとな」遥か彼方からやってきた宇宙船は、レーザーを発射する準備を整えていた。「船長、待ってください。地上に巨大な鏡が見えます」「何? そんな高度な文明を隠していたとは。一旦退却!」--「今年も湖が凍る季節になったねぇ」 #twnovel




ウラシマ効果によって未来の地球に着いた宇宙飛行士達は、笑顔で出迎えられた。「よくぞご無事で」「ありがとう。ところで数千年経っても文明が変わってないのは、なぜでしょう?」「……勘の良い人間は嫌いだよ」「!?」そして彼らは人間に擬態した植物に捕食されてしまった。 #twnovel




明日の約束をしている二羽の鳥がいた。「待ち合わせ場所は時計台でいい?」「時計台?」「ほら、朝と昼と夕方にうるさくなるあれだよ」「へぇ。あれを時計台というのか」さて、翌朝。「おかしいな、そろそろ時間だけど。もしや僕のではダメなのかな?」グ~ッ。彼の腹の虫が鳴った。 #twnovel




不時着した惑星は幻想的だった。なんと雪が上へ向かって浮いていくのだ。きっと無重力空間で形成された結晶が、地殻の中から吹き出すガスによって舞い上げられているのだろう。こんな風に時間が巻き戻せたら嬉しいのだが、やはり掌の中で雪は融けた。融けたら、元には戻らないよな。 #twnovel




検問に引っかかった。「やっぱり、随分とお酒飲んでますね~」「そりゃそうさ。そんなことより俺は幽霊で--」「ちゃんと自覚持ってくださいね。飲酒運転は危険なんですから」「あぁ、それは分かってるけど、ほら脚見て。無いでしょ?」「はいはい」幽霊たちの忘年会の帰りだった。 #twnovel




野良猫たちが雑談をしていた。「色んな人間の家を散歩して観察するのは面白いねぇ。最近まで慌ただしく掃除していたのに、今日はおとなしい」「それは大晦日だからだよ。明日から新年というのになって、初日の出というのを見に行くらしい」「太陽なんて、いつでも綺麗なのにねぇ」 #twnovel




「どうしたの? 落ち込んじゃって」「……何も聞かないで」「そう? じゃあ話したいことはない?」「……上手く話せない」「なら書きなよ。時間をかけて、ゆっくりとさ。悲しみを消せる消しゴムなんて無いけど、幸せを創れるペンなら、そこにあるじゃん。握っちゃえばいいんだよ」 #twnovel




それは”変わり樹”と呼ばれていた。二本の幹が互いに巻き付いているが、その向きが翌日には逆になるのだという。好奇心をかきたてられた旅人は、それを見てみようと、夜にそこへ向かった。だがとうとう旅人は帰って来なかった。そう、それを見た者の”気も変わって”しまうのだ。 #twnovel




幽霊になって、初めて知ったことがある。現世の闇を別の次元へ移す器のような役割が幽霊にあるらしい。これなら蜘蛛の糸が垂れてくるかもしれない地獄の方がマシだっただろう。でも悪いことばかりでもない。人間社会に蝋燭のような明るさがあるのは、我々のお陰だと胸を張れるのだ。 #twnovel




「トンボは、将来宇宙へ生息域を広げる可能性があると考えられています。その証拠に、見てください。彼らの大きな眼は複眼と呼ばれる構造をしていますが、実はこれは進化の途中の姿なのです。もうじき複眼は頭部を覆い、ゆくゆくは酸素を溜めるボンベの役割を果たすでしょう!」 #twnovel




地球は言った。「なぁ火星、小惑星帯を的にしてダーツでもどうだ」「いいけど、距離は俺の方が近いぞ」「ハンデだよ」「なめやがって」--「速報です。明日、巨大隕石が地球に衝突するとのニュースが入りました。NASAの発表によりますと、突然軌道を変えた、とのことで……」 #twnovel




タイムマシンは無理。でも音声だけなら……。僕の理論は正しかった。「もしもし。今は西暦何年ですか?」「はぁ……2525年ですが」話をしてみると相手は同い年だった。「学校はどうですか。まだ黒板消し落としとかありますか?」「そんなのあったんですか? 今は無重力なんで」 #twnovel




「君の文字はね、大きすぎるんだよ」小学校の書き初めで先生に言われた言葉だ。それ以来、私は文字の大きさに人一倍注意を払った。そのお陰か、今では書道家である。ところが先日、同窓会で再会した先生は目を丸くした。「あれは冗談だよ。文句のつけようがなくってね、大文字さん」 #twnovel




「では受賞者の方は壇上へどうぞ」一斉のフラッシュ。だが同時にあがったのは動揺の声だった。「あなたは落選したのでは?」「はい。ですが受賞者本人は覆面作家なので、友人の私が代理を務めます」「ではご本人のコメントはありますか?」「壇上へどうぞ、だそうです」 #d21twnovel




「受賞せよ」愛しき我が君は、そうおっしゃった。元は拾って頂いたこの命。以来、私はいつも与えられてばかりだった。でも私は変わることができた。受賞の報せを伝えた時のあの笑顔。こんな私でも、やっとお役に立てたのだ。「ドッグレースの優勝はチワワのチーちゃんです!」 #d21twnovel




パソコンが変なウイルスに感染したらしい。突然デスクトップに「I LOVE YOU」のテキストが現れたり、バレンタインは壁紙がチョコになったりする。別に害は無いからよかったのだが、こないだついにフリーズしてしまった。キーボードの「i」が取れてしまっただけなのだが。 #twnovel

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