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第十五巻 折り紙は空を飛ぶ

帆が破れてしまった海賊たちは代わりを他の船から頂戴することにした。「帆をよこせ」「そんなの無いですよ。エンジンで動いてますから」かくしてエンジンを手に入れた海賊たちだったが、これも故障したので他の船を再び襲撃した。「エンジンをよこせ」「この船は反重力装置で……」 #twnovel




「     」「え? 何て言ったんですか?」「だから     」「もう一度お願いします」「分からないかな、     」「失礼ですけど、ふざけてないですよね?」「     ってさっきから言ってるんだけどな~」「全然分かりません」「じゃあ小説にしてお伝えしましょう」 #twnovel




交番に帰ってきた警官は眼を疑った。「何してるんだ?」「折り紙です」緑の折り紙を器用に折り込む部下が、そこにいた。「ちゃんと仕事しろ」「してますよ。ホラできた、サンタさん」「バカにしてるのか!?」「しーっ。家出の子が起きちゃいますよ」こんな日に家出か。なるほどね。 #twnovel




手紙は郵便受けまで取りに行くのが面倒である。そこで手紙取りロボット「テガミ鳥」が開発された。それは広く普及したのだが、実は重大なバグがあった。ある日から、逆に手紙を破ってしまうようになったのだ。「仕方ない。お詫びの手紙を書かないと」それを受け取ったテガミ鳥は…… #twnovel




しまった。エアコンのリモコンの電池が切れてしまったようだ。これでは暖房が入れられないじゃないか。しょうがない。俺はコートを羽織り、さらにマフラーを首に巻きつけた。近くのコンビニまで買いに行くのも、こう寒いと面倒くさい。あれ? 厚着すれば暖かいじゃないか。 #twnovel




ようやく明るい世の中になった。経済から不景気という言葉は消え、不登校やいじめは嘘のように止んだ。難病という言葉は辞書に残っているくらいだ。だが一つだけ困ったことがある。寝る時だ。あまりに明る過ぎて、光吸引機のスイッチを入れないと、ゆっくり眠れやしない。 #twnovel




この夕陽を永遠に残したい。そんな時に便利なのが「光」を保存してくれるサービスだ。連絡すると小人が飛んできて、網ですくって缶詰にしてくれる。これは愛を確かめるために開発されたのだが、実際は違う使い方をされている。あの光はこの程度だったんだ、という証拠になるのだ。 #twnovel




目覚まし時計がおかしい。セットした時間になっても鳴らないのだ。寒くなってきたから、こいつも起きたくないのかもしれない。そんなある朝、惰眠から覚めたが、やはりアラームは鳴っていない。と思いきや、カーテンの隙間から零れた朝陽が当たると……。こいつソーラーだったのか。 #twnovel




「こうして久しぶりに書き初め用紙を目の前にすると嫌なことばかり思い出すなぁ。あの朱色のインクとか」「確かにあれは嫌だよね。でも知ってる? 朱が朱に交わると青くなるんだよ」「本当に?」「赤いのがダブルでW"AKAI"って訳さ」そして奴が書き上げた文字は「青い春」。 #twnovel




初めてサンタから貰ったプレゼントは何だろう? 口にするのは憚られるが、どうにも思い出せない。きっと玩具だろうが、今頃は物置の奥か、焼却炉の灰になったに決まっている。まあ、いいか。どうせサンタがプレゼントするのは、配るのに面倒な玩具なんかじゃなく、喜びだろうから。 #twnovel




「リア充爆発しろ!」「リア充沈黙、爆発を確認」「よっしゃ! 珍しいこともあるものだ」「0時の方向より急速に接近する物体あり!」「特定を急げ!」「これは……”明日”です! 明日が来るとリア充が復活してしまいます」「対策は?」「もう2月14日に期待するしか……」 #twnovel




春、桜の花に未来を感じた。けれどすぐに風で散ってしまった。夏、砂浜に「みんなに幸せを」と書いた。でも途中で波に消えてしまった。秋、紅葉に熱い情熱を思い出した。しかし枯葉は土に還ってしまった。冬、サンタクロースに来年が良い年になるように、と願った。切実に。心から。 #twnovel




電車の中。「今年はホワイトクリスマスじゃなくて残念だね」なんて言ってるカップルがいた。もしそうなら電車にも乗れないだろうに、と愚痴りたくなったが、世の中にはもっと上がいるらしい。そのカップルに一人の男が怒鳴った。「うるせぇ。俺の心の中はとっくに吹雪いてんだよ!」 #twnovel




今日は仕事がやりやすい。サンタの服装をしていればいいのだから。トナカイの着ぐるみでも、まあいい。これなら大通りだって人目を気にせずに堂々と歩ける。ただ袋が大きい分、いつもより欲張ってしまって荷物が重くなるのが玉にキズ。さて、次はどこの家に盗みにはいろうか? #twnovel




「裁判長! 私たちは一番の働き者なのです。スタミナを維持するために毎日トレーニングは欠かせませんし、本番は気温の急激な上下にも身一つで耐えなければなりません。報酬の請求は妥当です!」「異議あり! 私どもは世界中の子供達にプレゼントを運ぶ非営利団体ですから……」 #twnovel




旅の途中、ある村に立ち寄った。広場の大きな樹は色とりどりに装飾されていた。夕刻を過ぎると人々は夜道に出て、笑顔を交わしている。旅をしていて忘れてしまったが、そろそろ年末の時期なのだろう。どれ、一つこの挨拶を。「メリークリスマス!」「え? 今日は七夕ですよ?」 #twnovel




はぐれ仔竜が吹雪の中を彷徨っていた。「お母さん、どこ?」声をあげるが、聞こえるのはビュウゴウと風と雪がぶつかる音ばかり。仔竜はもう瀕死の寸前である。と、その時。「ユキノオー、ゲットだぜ!」その声と共に吹雪は止んだ。こうしてミニリュウは運命のトレーナーと……。 #twnovel




足元に積もった雪に残っているのは、紛れも無い矢印だった。その先にもさらに矢印が見える。そっちへ行けということだろう。融けたら無くなってしまうのだし、行ってみようか。--まさか後悔することになろうとは。矢印の周りに足跡が無いことに、気付いていれば良かったのだが。 #twnovel




「これは何?」仔兎は尋ねた。「それは風船といって、空気を入れると空を飛ぶんだ」狐は人に化けて街に出ているから物知りだ。”ヘリウムガスが必要だけどね”と陰で笑っていたが。それはやはり飛ばなかったけれど、代わりにふかふかの枕になった。その夜、仔兎は空を飛ぶ夢を見た。 #twnovel




蟻はいつか大きくなるのが夢だった。いつもいつも見下げられ、踏みつけられてきたのだから、その思いは並ではない。そんなある日、蟻は大きな象に出会った。「象さんは大きくて良いなぁ」「そうかな。僕は小さくなりたいよ。小さくなれれば、この檻から出て自由に暮らせるからね」 #twnovel


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