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第十四巻 昼寝にマフラーを

電子書籍なんてもう古い。今は「空気書籍」の時代である。空気さえあればどこでも情報を取り込んで読むことが出来るのだ。信じられないって? じゃあ今日の空気ニュースを読んでさしあげよう。なになに、各地で空気を読み込めない現象が発生したため配信停止中? KYだな。 #twnovel




ある惑星で植物が発見された。地球でもよく生育し、綺麗な花もつけることから、一般にも普及したが、元の惑星には他の動物がいないのに花をつける理由が謎だった。そりゃあそうだ。この生命体は花に擬態して人類に近付いたのだから。夜になると彼らは人の目を盗んで動き出し……。 #twnovel




かつて魔法使いの跡継ぎは減少傾向にあった。世間に認知されておらず生活も不安定だったからだ。そこで公式に職業と認められたのは最近のことである。これは画期的なことで、小さな町工場から宇宙船の船外活動まで、あらゆる分野で魔法使いが先駆者になった。唯一、文学を除いては。 #twnovel




カイロ。これを握っただけで、2Fe+O2→2FeOの無機質な反応式が目に浮かぶのは、今日が入試などという忌まわしいイベントの日だからだろう。それにしてもこの温もりは心強い。これも化学反応のお陰だ。これを渡してくれた、いつもは厳しい母のお陰なんかではない。きっと。 #twnovel




まさか科学者だった自分が幽霊になるとはね。だが現実を否定したって何も始まらない。まずは実験だ。手始めに、そこの幽霊を実験台にして化学組成を調べてみよう。--半月後。「最近、この辺は幽霊が出ないなぁ」いい所に人間が来た。早速こいつを幽霊にして実験台としようか。 #twnovel




ボーカロイド音楽は海の向こうにもしっかり届いているらしい。英語版の「歌ってみた」に図らずもハマってしまった。それに英語の勉強にもなるというオマケ付き。良曲を探すには再生数を見ればいい。ほら、これはなかなか上手い……ってドイツ語!?……ドイツ語、勉強しようかな。 #twnovel




この惑星での任務は、全てのヒトの名前を収集することだった。電話帳という記録媒体は便利だったが、それだけでは足りなかった。こうして帰途についているのは高速電子情報網のお陰である。私はそこにサイトという情報集合体を作るだけでよかった。そのタイトルは「姓名判断」。 #twnovel




「ウサギとカメ、どっちが勝つんだろうな」「噂によるとウサギは最近太ったそうじゃないか。もしかしたらカメが勝つかもしれないぞ」「でもさすがにウサギが勝つだろうさ」「おい、見えてきたぞ。あ! カメだ。言った通りじゃないか」「ん? 甲羅に乗ってる白いのは……!?」 #twnovel




「む。居やがったな、三毛猫」「今日は僕が先だね、白猫」「うるさい。そこは俺の昼寝場所だ。どけやい」「しょうがない。譲ってやるよ」「やけに親切だな。理由を言え」「明日、飼い主が引っ越すんだ。今日はそれを伝えにね」「……無性に猫缶が食べたくなった。家に帰るとするか」 #twnovel




どうしよう。泥棒だ。でも今日はご主人様はお疲れのようだから、吠えて起こしてはいけないぞ。でも噛み付く勇気もないし……。そうだ! --おや? この犬、泥棒に甘えてきやがる。可愛いやつだな。よしよし……って、何じゃこりゃ!? 手にべとついて……この匂いは蜂蜜!? #twnovel




「ウワァッ! ヘビだっ!」「おい、カエル。俺はただのヘビじゃない。毒ヘビだぞ」「ハァ? 毒ヘビに擬態してるだけだろ」「えっ……?」「まさかお前、今まで噛み付いたこと無いのか?」「いや、そんな」「じゃあ噛み付いてみろよ」「……どの辺に噛み付けば痛くないかな?」 #twnovel




散歩しているとウシさんに出会った。「おや、ウマさん。もう外に出てもいいのかい? 脚を怪我したんだろう?」「大丈夫だよ。またすぐに走れるようになるってさ」「でも無理をしてはいけないよ」「今くらいしか歩いてゆっくり景色を見られないからね。毎日が発見で楽しいよ」 #twnovel




「空を自由に飛んでみたいな」バッタはそう呟いた。そこにトンボが通りがかった。「じゃあ乗ってみるかい」そしてバッタは初めて飛んだ。「どうだった?」「楽しかったです。でもやっぱり僕はジャンプするくらいがちょうどいいですね。このしっかりした地面の上に立てますから」 #twnovel




溶けない雪というのは、なかなかの発明だった。とりわけ南国の子供達に喜ばれた。それからスキー場の経営者なんかも。開発した研究者は言う。「元々はこんなことに使う予定は無かったんだ」笑顔を浮かべる彼の後ろには、再び白さを取り戻しつつある南極の衛星写真が飾られている。 #twnovel




天気予報の傘のマークはテレビの冗談ではなかった。雪なんかよりもずっと冷たい雨が降っている。クリスマス・レイン。きっと予定がある人達は嘆いていることだろう。でも明日の朝になれば、みんな気付く。路面がツルツルに凍って、ちょっとだけ朝の始まりが遅くなるプレゼントに。 #twnovel




セーターを着るのは面倒臭い。だから寒いのは嫌いだ。そう思いながら殺風景な田圃道を歩いていて、ふと足が止まった。もう仕事なんてしてないくせに案山子が二体に増えていて、お揃いのセーターを着せられていた。あのセーターを着たら、少しは寒さが好きになるのかもしれないな。 #twnovel




放課後。友人と二人でコンビニへ走る。あんまんを買うためだ。冷たくなった手で包みながら「あったかいね」と言って一緒に頬張る。でもうっかり、熱いこし餡のことを忘れていた。「アッチーッ!」「ハハハ、気をつけなきゃダメじゃん。中身が熱いからこそ、外は温かいんだから」 #twnovel




「すまない。集会に遅れてしまって」「いいさ。雑談なんだし」「何の話をしていたんだい?」「コタツの話をね。今朝、暖を取ろうとしたんだが冷たくってさ。さっきスイッチというものを入れればいいと教わったんだ」「そもそもコタツって何だい?」「君は野良猫だから知らないのか」 #twnovel




このところ忙しいから、どうしても帰るのが遅くなってしまう。でも晩御飯は必ず家で食べると約束しているから、子供と先に寝ていても妻は手料理をテーブルに並べておいてくれる。ただ、レンジで温めるにしても心残りがあったのだろう。今日のおでんの鍋はマフラーを巻いていた。 #twnovel




事情聴取が再開した。ちょっと変わった通り魔の容疑者は潤んだ目で訴えた。「なぜ雪玉を投げつけたかって? だから言ってるでしょう? 中にプレゼントが入ってるって趣向なんです。時代に合わせて工夫しろ、って上の人に言われてまして。もう煙突なんてどの家にも無いですし」 #twnovel

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