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第十一巻 空色の梯子

「新着メール1通」画面に表示が出る。それは久しく音沙汰の無い旧友からの、同窓会を知らせるメールだった。"どんな文面にしたものか"そこで検索窓に「メール 旧友 書き方」と打ち、文章例を探そうとした。ところが画面にはこんな表示が。「それは自分の言葉で書きましょう」 #twnovel




A「酒は良いねぇ! 神様からの贈り物だよ」B「またこんな昼間からお酒飲んじゃって。アル中なんじゃない?」A「うるせぇ。お前だって中毒じゃねぇか!」B「そんなハズないって」A「いや。お前、24時間ツイートしっ放しだろ!」B「……(;・∀・)」C「www RT」 #twnovel




「お疲れ様で~す」「お疲れ」後輩達が仕事から帰って来た。「でも、まさかこんなに忙しいとはね。この仕事がさ」ふと一人が発したその未熟な言葉を、先輩として見過ごす訳にはいかない。「クリスマス以外の日には夢を配る。それが本当の仕事さ。夢がなきゃ、希望も持てないからね」 #twnovel




空色の傘が、風に煽られて早朝の雨空に舞い上がった。それが誰の傘なのかは知らない。なぜ風がそれを舞い上げたのかも知らない。けれど小さな青空が生まれたのを見つけた数人は、その話を会社や学校でするだろう。そうしてできる青空の断片がつながって、きっと青空は生まれるのだ。 #twnovel




建物の解体現場に遭遇した。それは古いコンクリのアパートだったが、今はすっかり瓦礫の山だ。あんな大きな建物を周囲の建物を傷つけること無く壊すその技術は羨ましい。私も巧い壊し方を身につけたいものだ。だがそれにはまず、巧い作り方を身につけなければならないのだろうな。 #twnovel




狸はムンムンと考えていた。あの畑の西瓜が食べたいのだが、そこに番犬がいるのである。でもそこは狸。鳥に化ければいい。笑って化けた狸だったが、すぐに頭を抱えてしまった。翼をばたつかせても、飛ぶ気配がないのだ。そりゃあ当然。鳥だって最初から飛べる訳ではないのだから。 #twnovel




亀は考えていた。もう首を出してもいいだろうか、と。ぼーっとしていたら人に囲まれてしまっていたのだ。首を引っ込めてやり過ごしていたが、そろそろ飽きて帰っただろう。亀は慎重に首を出したが、なんと目の前に人がいた。「再び出すまで14分か。よし、良いデータになるぞ!」 #twnovel




あのシェフの困り顔は気の毒だった。あるホテルのシェフになる審査会を視察に行った時の話だ。審査員が笑顔を見せれば採用となるのだが、ずっと無表情で「おいしい」と言うだけ。「素晴らしいですね、あの動くマネキンは」「無反応に耐えられるシェフが、今は必要ですからね」 #twnovel




「空の段ボール箱です。ご自由にお持ちください」そう書いてあったから、俺はそれを一つ持って帰った。荷物整理に使おうと思ったのだ。しかし、帰ってから開けてみて驚いた。その中に雲が見えたのだ。そう、このダンボール箱は「から」なんかじゃない。「そら」が入っていたのだ。 #twnovel




「そうか、手紙だ」彼はそう呟くと、おもむろに腰を上げてペンを手にした。「ご主人様、メールになさればいいのでは?」「それでは駄目だ。私は心の交流がしたいのだ。貴様のようなロボットと会話しているのは飽きたんだ」「しかし、もう人類はご主人様しかいらっしゃいませんが?」 #twnovel




「地球上の生命は神に逆らってエントロピーを減少させた。だから全ての生命は世界から抹殺されねばならない!」狂ったように叫ぶハイジャック犯。だがそれに異議を唱える乗客がいた。「いや、違うな」「なぜだ?」「人の感情が、こうやってエントロピーを増大させているじゃないか」 #twnovel




彼は誰かの役に立ちたかった。でもなれなかった。だから彼は生まれ変わったら誰かの役に立ちたいと願ったのだ。そして今、彼の生まれ変わった命さえも奪われようとしている。それでも彼は笑っていた。「これでようやく誰かの役に立てるんだ」そうして一匹の実験動物は役目を終えた。 #twnovel




「これはベストセラーを書けるペンなんだよ」それが私の友人であり、ライバルであり、時代に愛された作家と交わした最後の会話だった。今それは形見として私の手元にある。確かに本はよく売れるようになった。「我が友の知られざる過去」そんな本しか書けなくなってしまったが。 #twnovel




―「いい子にしてないとサンタさん来ないわよ」「えぇ~!? でもサンタさんはどこから見てるのさ? こんな家の中まで分かるはずないじゃん!」― 「この子、鋭いな」「バレてないですよね?」「当たり前だ。まさかクリスマスツリーが盗聴のためのダミーだなんて誰も思わんだろ」 #twnovel




「博士! ロボットが完成したんですか?」「そうじゃ」「まさかとは思いますが、電源はコンセントじゃないですよね?」「もちろん。単三電池で動けるぞ」「電池?……、持続時間は?」「なんと365日!」「おぉ、スゴイ!」「ただし電池365本を運んでくれる人間が必要じゃ」 #twnovel




「何かの研究ですか?」その男は樹に登ってカウンターをカチカチとやっていた。「葉っぱの数を数える研究だよ。でも、もう終わりさ」「何枚だったんですか?」「ちょうど200枚」しかし、そうは見えない。「僕はね、何枚数えた時点で声をかけてもらえるかを実験していたんだ」 #twnovel




ついに夢が叶った。タイムマシンの完成だ。早速ダイヤルを未来へ回す。人類の将来はどうなっているのだろう? そして着いたのは、意外にも一面の花畑。暗い未来など何処にもなかったのだ。しかしどうも花の様子がおかしい。花部は人の顔に似ていて、葉は手、根元は脚のように……。 #twnovel




今日は森の動物達の障害物レース。川を越え、谷を渡り、最後に待ち構えていたのは二股の道でした。あっちか、こっちか。どちらかがゴールに近いのですがビリのカメは気付いたのです。「なんだ、真っ直ぐ行けば近いじゃないか」誰が勝ったかって? そりゃあ、お決まりの結末ですよ。 #twnovel




「何をやっているんだい?」「埋蔵金を掘っているんです」「ここにあるの?」「いえ。でもこの地域にあるそうですよ」「ダメだなぁ、君。こういうのは見当をつけてやらないと。でないとそれが君の墓穴になってしまうよ」そう言って古地図を振っていた彼も、やはりダメだったそうだ。 #twnovel




そのリスは木登りが苦手だったが、美味いと噂の木の実がどうしても食べたかった。そこでリスは梯子を作ろうと考えた。でも出来るのは不恰好なものばかり。それでも試行錯誤を重ね、ついに美術品くらい立派な梯子が完成した。早速リスが足をかけると、次の瞬間パキリという音が……。 #twnovel

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