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第十巻 星々の駅

振り返る。誰もいない。そんなはずはない。一体何処に消えたというのだろう。ほんの数秒の出来事である。そもそも彼らが俺の後ろからいなくなるなんて、ルール上ありえない話だ。拭えぬ不安を隅に置いて、俺は仕方なく次のフェイズに移ることにした。「だ~るまさんが、こ~ろんだ」 #twnovel




「なぁ、あれって動いてるんだよな」隣にいる友人は、夜空を埋め尽くす星々を指さして言った。「星が動いて見えるのは地球が回っているからだよ。学校で習ったろ」でもそれで納得していないようだ。「いや、動いてるよ。揺れ動いてる。自分が他の星より劣ってるんじゃないかって」 #twnovel




「毎日必ず新聞紙を買っていく大学生がいるんだけどね、それがとても不思議でさ、選ぶ新聞がいつも違うんだ」「それなら、明日その客が来たときに『羊と馬ならどっちが好きですか?』って聞いてみなよ」さて翌日。それを聞いた客はこう言った。「私は馬毛の筆の方が好きですね」 #twnovel




「金を出せ!」夜のコンビニに目出し帽を被った男が来店した。怯えるアルバイト。俺の他に客はいない。普段ならこんなことをする人間じゃないが仕方がない。そっと背後から近付き、力を込めて殴ってやった。「お前のせいで、俺たちが強盗に入れなくなっちまったじゃねぇか!!」 #twnovel




妹の誕生日プレゼントを買うのを手伝って欲しい、と言う友人とコンビニへ行った。すると何を思ったか、彼はカゴに次々とアイスを入れだした。「買い過ぎじゃないか?」「当たりのアイスをあげるのさ」「でもどれが当たりか分かるのかよ」「当たりの棒で、またアイスを作るんだよ」 #twnovel




「『コンビニ』って何の略か知ってるか?」「コンビニンス……??」「違うよ。『"こん"にちわ、いらっしゃいませ。"ビニ"ール袋はご利用ですか?』の略さ」その二人がレジへ行くと、店員はわざとらしく言った。「ようこそ、いらっしゃいませ。当店は袋が有料となっております」 #twnovel




大きな熊に出会ってしまった。「食ってやる!」「待て。俺を食うより賢いやり方があるぜ」「どうするんだ?」「俺の服をやるから、それを着て村へ行くんだ。誰もお前を熊とは思わんぞ」「それは良い」シメシメと思っていると、熊の中から一人の男が。「この着ぐるみも飽きてたんだ」 #twnovel




「君は猟師かい?」村の長老らしき人物が、俺に声をかけてきた。「一応は」「実は最近この村に奇妙な熊が現れてな」「奇妙、と言うと?」「人も犬も襲わないくせに、金やら宝石やらを盗っていくんじゃ」「あぁ、それならもう大丈夫でしょう」あなたの真珠は高く売れましたよ。 #twnovel




「時間をください」俺の前にレジに並んでいた男は、商品も持たずにそう言った。「かしこまりました」店員もすました顔で答える。「どのくらいお買い上げになりますか?」「あるだけお願いします」一体この店は何なんだ。すると男は懐から何かを取り出した。それは綺麗な指輪だった。 #twnovel




「ロゼッタストーンってどこにあるの?」「大英博物館だよ」「じゃあ、そこには前のホークスの選手のユニフォームとかも飾ってあるのかな」「ソフトバンク博物館ならすぐに建っちゃいそうだけどな」 #twnovel #twnvday




「【ロ】ゼッタストーンなんてお題さ、Wikiでも見なきゃ【ゼッタ】イ書けねぇっての。でもWiki見ると【ス】グ書ける代わりにネタ元が透けて見えるだろ? だったら【トーン】ダウンしたっていいから、最初から知ってる範囲で書いたって良いと思わねぇ?」 #twnovel #twnvday




信じられないだろうけど、さっき河童が川で溺れていたんだ。河童なんている訳がないし、そもそも溺れる妖怪じゃないだろ? でも仕方がないから手を差し伸べたんだ。すると何て言ったと思う? 「助けるなんてヒドイ人間だ」って言うんだぜ? だから言ってやったさ。「俺は死神だ」 #twnovel




都会の大学に通うことになった。一人暮らしだ。私は駅のホームで、未来圏に吹く自由な風を妄想していた。しかし重い荷物が肩に食い込んで痛い。まるで地元に縛りつけようとする呪縛のようだ。私は最初それを払おうとしたが、思い直した。これはきっと、自分に乗せられた思いなのだ。 #twnovel




ドアを開く。人を吐き出す。人を飲み込む。ドアを閉じる。まるで工場の生産ラインのようだ。いや、とっくに電車は人を支配しているのだ。電車が無ければ社会は停止してしまう。なぜ人は自分の足で歩こうとしないのだろうな。その鳩は、飛び方を教えるように駅のホームを後にした。 #twnovel




何年前のことだろうか。思い出すのは辛いからしない。この駅の改札が彼女との最後の別れの場所だ。しかしここに帰ってくれば、という期待は儚いものだった。まさか廃線になっていたとは。そこでふと、置いてある花瓶に気がついた。活き活きとしたラベンダーの花が、そこにあった。 #twnovel




まさかこんなことになっていようとは。そこはまさしく近代的な駅だった。しかも改札はカードをかざす方式。なぜか飛び降り防止の柵まである。しかしカードは向こうに忘れたし、お金も無い。どうしようか? 「それでは三途の川線、『こっち』駅発『あっち』駅行き、発車致しま~す」 #twnovel




駅で、子供が大人切符を買おうとしているのを見た。変なお兄さんにされたくはなかったが、買う前に教えたほうが良い。「それ、大人切符だよ」「いいんだよ、これで」バカにするような言い方が癪に障ったが、その子の行く先を見て納得した。お婆さんが、その子にお礼を言っていた。 #twnovel




「なぜ自分は駅に来たのだろう」それに内なる答えが返ってくる。「部活の遠征だからさ」「でも自分は補欠じゃないか。行ったって意味が無い」それに答えは出てこない。その時、誰かの会話が耳に入った。「やっぱ無人駅って嫌だよな」「だね。誰かが一人いるだけでも違うのに」 #twnovel




駅のホームの向こう側。月明かりに照らされて、孤独なベンチが佇んでいる。それをずっと眺めていると、神秘的なオーラに包まれているようで心地いい。しかしふと気付くと、何とあと一歩でホームから落ちる所だった。はっとして視線を戻すと、そこには月明かりだけが残されていた。 #twnovel




私の父は「駅は人生だ」と言うのが口癖だ。でも私は駅が嫌い。あの混線するような人混みが嫌なのだ。そんなある日、私は落とした切符を見知らぬ人に拾ってもらった。その人とは偶然同じ大学で話が弾んだが、それ以来会っていない。今、私は父の口癖の意味が分かった気がしている。 #twnovel

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