【詩】足跡
掲載日:2026/05/18
憧れのあの人の背中がみえる
草木の壁をかき分けてあの人の元へ
世界が開ける
明るい世界の中
あの人は誰かと話している
左手の指輪
突然足元が崩れ去って落ちていく
暗がりの中を落ちていく
深くて冷たい穴の底
足にまとわりつく重い砂
沈み込んでいくからだ
思うように動けない
だけど砂は全てを呑み込まない
あてもなく足だけは動く
砂の上で静かに瞬く硬いカケラ
一瞬意識が覚める
俯き歩く
不意に気づく
点々と続く誰かの足跡
姿の見えない誰かが同じように歩いている
足跡が淡く光って道のように続いている
果てのない仄暗い世界の中で
灰色の道はどこかへと繋がっている
いつかその先へ
でも今はまだここにいたい
今はまだ
この薄暗い中を彷徨っていたい




