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第6話 「姫様はお買い物がしたいようです」


「文字が読めるってのは面倒が無くていいな。仕事で疲れてるのに教師の真似事とかやってられないし」

「では、私をこの部屋に置いて貰えるって事で良いんだなっ!?」


「二つの条件を守ればな。⓵ 俺はお前を敬わない。普通の子供……、そうだな。妹と同程度に扱う」



 さっきから意図的にお前って言葉を使っているが、特に怒っている風でもないな?

 養われている立場でも、王族なら敬われて当たり前って思ってないのは好印象だ。



「親族扱いしてくれるのは嬉しいぞ!!だが、こちらの世界の妹は兄に絶対服従とか言わないよな?」

「そんな文化は無い。むしろ、兄は多少の我儘を聞く側だ」



 特に、年の離れたガジェオタの妹なんていると、給料の1割くらいは持っていかれる。

 大学一年になってバイトが解禁された今でこそ落ち着いたが……、って置いといて。



「② 魔法禁止。理由はシンプル、俺はまだ、死にたくない」

「それは流石に、私のことを馬鹿にし過ぎじゃないか?恩人に仇を成すなど、王族どころか、人として下劣であろう!!」



 冗談めかして言ったが、この現代日本には、『社会的な死』というトンデモない地雷が埋まっている。

 俺に危害を加えるつもりがなくとも、魔法を使っている所を見られれば即通報。

 そのまま、未成年者略取ルートに入り、刑務所転生まったなし。



「この世界では、未成年者が問題を起こすと保護者が罪に問われる。それどころか、目立つだけでもリスキーだ」

「そうなのか?金銭を得る手段として、こちらでも配信業をしようと思っていたのだが、ダメか?」


「絶対やめろ。炎上→逮捕の即死コンボだ」



 子供ユーチューバーもそれなりに居るみたいだが、それは親権を持つ親公認だから成り立つこと。

 警察が事情を聴きに来るのはまだ良い方で、ガジェオタの妹に嗅ぎ付けられれば、家庭崩壊待ったなし。


 後は、一人での外出もできるだけ制限したい所だ。

 目立ちたくないのもそうだが、単純に、交通事故などの危険もある。



「何かをする場合は俺に許可を取ってからにしてくれ。あと、止めたことはしないでくれ」

「うむ!許可を取るのは当然だし、常識を身に付けるまでは大人しく言う事を聞くと誓おう。それでだ……、私も条件を奏上したい」


「言ってみろ」

「衣食住の保証と、労働をして対価を得るシステムが欲しい」


「後ろをさせたら犯罪だって言ってるだろ」

「私の身体の価値は5万円だと言っていたな。なら、この世界は貨幣文化なのだろう?私は、お買い物が、したいのだ!!」



 切実な表情で訴えかけてくるルートルイン。

 王女様の癖に現実主義なのは――、なるほどな。

 向こうの世界では貴族子女が流行を作っている、つまり、生まれた瞬間から仕事をしているのか。

 それも、半ば強制される形で。


 ……今の俺よりも、きついじゃねぇか。



「一緒に生活するんだろ、家事をするのは当たり前だろうが」

「それはそうだが……」


「小遣いが欲しいって素直に言え。あんまり多くないが出してやる、月1万円で良いだろ?」

「ほんとか!?そこそこの金額だと察するが、撤回するなら今だけだぞ!?」



 このお姫様、もしかして1万円の価値を正確に理解してる?

 俺が漏らしたのは、消えた食糧=5万円くらいという情報のみ。

 ぶっちゃけ適当に言った言葉だが……、うわぁ、お目目がキラキラしていらっしゃる。



「言っておくけど、使い道は報告させるからな」

「分かったのだ!!暫くは食品が中心だ。なにせ、このクッキーはすごく美味し――きゅるるるる~~」


「……。」

「……。」



 なに今の可愛い悲鳴。

 腹が減っているってのは本当のようだな。



「夕食を買いに行くか」

「う、うむ!!その方が良いようだな!!」



 異世界でも腹が鳴るのは恥ずかしいらしい。

 赤面した少女を連れて出るのはヤバい気もするが……、コンビニに行こう、そうしよう。



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