表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/25

第5話 「姫様は魔法を使えるようです」


「ちなみに私は、帝国人気投票で2年連続1位を獲得している。当然、流行には詳しい訳だが……、この世界はなんなのだ!?」

「うわぁ、なんか某アイドル総選挙みたいなことを言い出した」


「手触りの良い布!精巧に作られた彫像!おいしい食事!どれも非常にワクワクする!!」

「なるほどな。トンデモナイ幸運でたどり着いた夢の世界なら、浮かれるのも分かる」


「だろう!?」

「それはそれとして。おいしい食事ってのはどういう事だ。んー?」



 あ、はしゃぎまくってた王女様が固まった。

 明らかに目が泳いでるし……、こいつ、やりやがったな?



「さっき、『消えた物は私の身体になった』とか言ってたか。どうやら、俺とお前の認識にズレがあったようだな?」

「あ、と……。釈明のチャンスが欲しいのだ」


「ほう。言ってみろ」

「生成されるのは私の身体と触れていた物質。ようするに、衣服付きで転生する訳だが……、すごくお腹が空いている状態なのだ」


「身体は作られるけど、胃の中身は対象外か」

「そうなのだ!健康な体だから活動は出来る。でも、お腹はどんどん減っていく。だって健康だから!!」


「理屈は分かった。だが、どうやって食いもんを探し当てた?ぶっちゃけ、見慣れないパッケージばかりだろ」



 こう言っちゃあれだが、俺の部屋には食材が無い。

 男の一人暮らしなんてコンビニ弁当が基本。

 気まぐれに贅沢したくなった時にスーパーで惣菜を買えば十分だ。


 そんな訳で、俺の部屋にあった食品は日持ちする保存食のみ。

 缶ジュースにレトルト食品、カップラーメン……、機械文化が遅れている異世界に似たような物があるとは思えない。



「私が転生してから10時間ほど経っている。その間に、ちょっと……」

「部屋の中を物色したと?」


「その、すごく美味しかったぞ。それで……、夢中になってしまって食べ過ぎて、後から高級品なのでは?と怖くなったのだ」



 そう言いながら、ベッドの下から食品の残骸を取り出す姫様。

 ビニール袋の中に入っているのは、スポーツドリンクのペットボトルが3本と、バランス栄養クッキーの袋が5つ。あと、ゼリーが2つか。



「結構食ったな」

「だって美味しかったのだ!!」


「あー、まぁ、勝手に食ったことは不問にする。大したもんじゃないし」

「大したことが無い、だと?お茶会で布教するクッキーよりも美味かったこれが!?」


「それより気になるんだが、文字が読めるのはなんでだ?」



 透明なケースに入っているゼリーはともかく、ペットボトルジュースとバランス栄養食を食品と判断できるわけがない。

 手触りはどっちも硬いし、匂いもしない。

 運よくバランス栄養食の袋を開けたとしても……、中身はチョコ風味だ。

 見ず知らずの異世界で発見した、謎の袋に包まれた茶色い固形物を口に入れるとか、正気の沙汰ではない。



「個別魔法による変換には文字も含まれる。そういう概念的な要素に作用するものもあるのだ。当然レアだがな」

「理屈は置いといて……、文字を脳内で変換しているから、読めるし、話せると?」


「変換できない言葉もある。例えば、このクッキーの原材料に書かれている砂糖や小麦粉、カカオやココアは分かる。これらは私の世界にもあるのだろう」

「言葉を置き換えている……、翻訳の方が近いのか?」


「その認識で良いはずだ。全粉乳とか乳化剤とかさっぱり分からん。乳が関係している事は分かるがな」



 アメリカで、寿司や天ぷらが『susi』『tenpura』として定着したように、存在しない言葉は翻訳できないと。

 これ、かなり重要な要素だぞ。

 もしも料理を再現する場合、向こうの世界に食材が存在するかどうか判断できる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ