第15話 「姫様たちは不穏な空気を感じ取る様です」
「よし!おにぎりディベートバトル第二部を始めるのだ!!」
「が、がんばりますぅーー!」
「……ライラ、ほっぺにご飯粒ついてるわよ」
「やば。てへぺろり!!」
4人の姫はそれぞれの席に戻り、呼吸と笑顔を整える。
今回のロイヤルディッシュは想定外に次ぐ、想定外。
もてなしを受けるレイミス、ライラ、リリカルは当然のこと、提供側のルートルインでさえ、その場の勢いとテンションで乗り切ろうとしている異常事態。
だが、それを理解している人物がファナティシアしかいない以上、軌道修正されるはずもない。
「ということで、ファナティ!!おにぎりの説明をーー」
「ちょっと待ってルートルイン。わたくしから提案があるわ」
「ほう?」
「次のおにぎり……、クジ引きで決めない?」
本来の流れでは、ランチの配膳が始まるまで、他の姫は肯定的な相槌を打つ。
メニューの提供順やタイミングなどが味に直結している以上、それは最低限のマナーだ。
そして、それを分かっていてなお、レイミスは仕掛けた。
理由は単純……、料理を選ぶと喧嘩になりそうだからだ。
「ほほぅ、くじ引きか。ファナティ、ちょっと耳を貸すのだ」
ルートルインの視界の端には、既に搬入された銀の配膳ワゴンが映っている。
フルコースディナーを出すときに用いる、4台の大型車。
更には給仕補佐として、破壊の美食学者に在籍するタナーまで来ている。
なんなのだ、あの配膳車の数は……?
明らかに、さっきまでとは別次元のおにぎりが出てきそうなのだ。
期待半分・恐れ半分のルートルインは、おにぎりを食べながらメニューの確認をしていたファナティシアと談合する。
「ファナティ、どう思うのだ?」
「選んでいただくのは危険でしょう。争奪戦が始まりますよ、間違いなく」
「うぅむ……、あの配膳車は?」
「警備の観点から、不必要な機材を持ち込むことは出来ません」
「だよな。じゃあ、アレを全部使って?」
「作るのでしょう。驚くべきことにメニューを見て味を想像できる料理は、たった一つしかありませんでした」
「ファナティですら知らない……、料理??」
姫の側近であり、そもそも公爵令嬢であるファナティシアが想像できない料理。
ルートルイン自ら、専属料理人を『破壊の美食学者』と名付けたとはいえ、本当にぶっ壊れている料理を出されるのは困る。
だが、これはロイヤルディッシュ。
期待だけ煽っておいて提供できませんなど、国の格を落とす行いだ。
「じゃあ、ファナティに番号を振って貰って、それを私たちが選ぶ方式でどうだ?」
「シンプルで良いんじゃないかしら?」
「了解。リリカルは何番が良い?ディベート順もそれにしよう」
「え?そ、それじゃあ……1番でお願いしますぅ!!」
① リリカル
② ライラ
③ ルートルイン
④ レイミス
それぞれが番号を選び終わると、事前に振っていた番号をファナティシアが公開。
そして、四人の姫は自分のおにぎりが乗っているであろう配膳車を見て目を丸くする。
① スープの調理に使う長寸胴鍋
② タレが入った壺と、調味料各種
③ 鍋料理に使う大きな土鍋
④ 魔導コンロとフライパンと卵
配膳車のメインの皿は銀の蓋で覆われている。
だが、違和感を抱くには、隠し切れていない料理器具で十分だ。
「ルートルイン、出すのっておにぎりの筈よね?」
「……たぶんそうなのだ??」
「紙に包まれた片手サイズのおにぎりの筈よね?」
「……おそらくそうなのだ??」
「なんか、調理器具が多くない?」
「持ってきたのなら使うのだろう。握ってあれば『おにぎり』なのだから、多少の誤差には目をつぶるのだ!!」
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