第10話 「リリカル姫は銀シャケおにぎりで疑念を抱くようです」
「最後はリリカルの番だな!美味しそうな食レポを期待しているぞ!!」
「あ、はい、頑張りますぅ」
うわぁーー!!
やっぱり最後なんて無理ですぅ!!
ルートルインさんはお目目キラキラだし、レイミスさんは可愛らしく笑ってるし、ライラさんは親指を立てて頑張れってジェスチャーしてるしぃ……。
うぅ、こ、こうなったら……、残しておいたおにぎりを食べて、思った感想を勢いよくぶっちゃけるしかないですぅ!!
……い、いきます!はむっ!!
あ、ほふっ……、ふわぁーー!!
ほっかほかなご飯から昇る、濃厚なバターの香り。
シャケのムニエル単体とはまた違う、優しい甘みですぅ。
隠し味にチーズを使っているのでしょうか、口に広がった風味の中に塩味が含まれてますぅ。
しっかり焼いたであろうシャケの切り身は、ふわふわトロトロ。
あかね色の表面は無抵抗で歯を通し、そして、ほぐれた身にはシャケ特有の油がたっぷりと含まれています。
茸の旨味もあいまって……、豊かな食事とはこのことを言うと思いますぅ~~。
「えーと、このおにぎりの具は『銀シャケバターソース』。魚料理としては、ごくごくありふれたものになりますぅ」
ウチは口下手だから、出来るだけ分かりやすく。
具材の紹介をして、それから、お米と合わせたおにぎりとしての評価を。
「だけど、普通のバター焼きではありません。シャケの切り身に小麦粉とバターをまぶしたホイル焼きなんですぅ」
「お米の具に小麦だと……!?」
「ほぐれやすいシャケの切り身とトロトロなバターソースは相性抜群。みずみずしくて濃厚な料理ですぅ」
「でも変ね?そんなに水分が多いのなら、おにぎりがベチャベチャになっちゃうと思うんだけど?」
「えっと、そうならない仕掛けがありましてぇ……、ご飯の表面にバターを塗ってから火で炙り、水分を飛ばしているんですぅ」
「なんということ……。ご飯を異端審問に掛けるなんて、どんな歴史書にも記録がない暴挙」
バターが染みこんだご飯、これだけでも相当なご馳走です。
それに工夫も凄いです。
表面の炙り加減をまばらにすることで、場所によって歯ごたえが違うんですぅ。
食感も、カリッ → モチっ → トロトロ → ジュワー の四重構造になっちゃうんですぅ。
「シャケの付け合わせも美味しいですぅ、ガーリックで炒めたキノコを食べた時とそうでない時で、まるで違う味になりましたぁ」
「な……、なんて贅沢なおにぎりなのだ」
「銀シャケバターソースおにぎりは、一口ごとに味わいが変わるんですぅ。サクサクパイ、濃厚な牛乳、ジューシーな焼き魚、色んな料理を思い出すけど、その、どれとも違う。食べた後でも信じられない美味しさなんですぅ!!」
本当に、銀シャケバターソースは美味しすぎる料理です。
この感動の十分の一でも伝わったら……、きっと、リスナーのみんなも試して笑顔になるはずですぅ。
「……なんというか、口惜しいな」
「えぇ、本当にね。もう一回やり直させて欲しいくらいよ」
「イロモノの僕らとは違う真っ当な食レポ。さすがリリカル。みんなの安心・常識枠」
えぇぇ……っと、その……。
ウチはキャラ付けとかできなくて、だから常識枠というか地味なだけでぇ……。
あ、でも、押し活ポイントが増えてますぅ?
ファンのみんなが喜んでくれたなら、頑張ったかいがありましたぁ!!
リリカルちゃん、ドジっ子可愛い!!と思った方は、ブックマーク・評価をよろしくお願いします!!




