第6話 「ルートルイン姫はベーコンプロパガンダを仕掛けるようです」
※今回はアスパラペッパーベーコンおにぎりを初めて食べた 『ルートルインの視点』 である為、彼女の心情で語る一人称で描写しています!
「姫しか知らない秘密の調味料マヨ。んーバズりそうね!!」
「国民みんな興味津々?レイミスのポイント凄いことになってる」
「はわわ……、1500万ポイント超えてますぅ!!」
うむうむ、良い反応なのだ!
レイミスの反応はもとより、配信を見ている国民の反響が思ってたよりも多いぞ!!
ギオンコロニ帝国で普及しているテンプレートの数は、おおよそ5000万枚。
現在のレイミスのポイントは1500万。
私が900万ポイント、ライラ350万ポイント、リリカル300万ポイントで、合計3050万か。
通常の投票率は8割の4000万前後と考えると、いつもの様子見組もポイントを入れている。
それだけ、おにぎりとマヨが国民の興味を引いているということだ。
この時点で大成功だな!!
「さて、次のディベートは私の番だな。早く語りたくてうずうずしていたぞ!!」
「ふふ、貴女はアスパラペッパーベーコンでしたわね?」
「含みがありそうな表情だな、レイミス」
「いえいえ、大したことじゃありませんことよ。ただ、とてもポピュラーな具材だと思いまして」
確かに、アスパラペッパーベーコンは味の想像がしやすい。
ロイヤルディッシュにも、メインの付け合わせとして何度か登場しているからな。
だが、私の料理人を舐めて貰っては困る!!
さぁ、次はレイミスたちがよだれを垂らす番だ、覚悟すると良いのだ!!
「レイミスともあろうものが、ただのアスパラペッパーベーコンだと思っているとはな」
「んな!?」
「まったくもって杞憂だぞ。だってこのおにぎりは……、ビックリするくらい塩辛い!!」
「えっ!?!?」
そう、このおにぎりは、とーーても塩辛い。
一瞬、「ついに壊れたか、キザラ」と思ったくらいに、塩辛い。
今、思い出しても舌がピリピリするし、よだれもいっぱい出ているぞ!!
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「では、みんなでおにぎりを手に持ってーー、いただきます!!」
「「「いただきまーす!!」」」
よしよし、私の掛け声に合わせて、皆一斉におにぎりにかぶりついたな。
『塩おにぎりを先に提供するぞ、その方が映える』
そんなキザラの助言の通り、既におにぎりに興味津々なようだ。
それにしても、早速マヨを使ったおにぎりが出てきたのは良いが……、普通に私が食べたかったぞ。
アスパラペッパーベーコンが悪いという訳ではないのだが、朝食べたマヨコーントーストの衝撃が強すぎた。
あんなの、エビと絡めたら美味すぎるに決まってる。
他のおにぎりとのパワーバランスを考えない暴挙、絶対にキザラの犯行だな。
「さて……、はむっ」
おにぎりのご飯粒は銀色ピカピカ。
流石に炊き立てだけあって、コンビニおにぎりには無い艶があるな。
おー、ほくほく!!
日本のお米よりも粘り気が少ない分、口の中で一気に解け……。
……。
…………辛っっっっ。かはぁっ!!?
何なのだこの辛さは!?
ペッパーの粒をそのまま噛み砕いたかのよう!!
なんてことだ、味が濃すぎる、ご飯で――。
……んー!!
もしかしてこれは、ご飯を引き立てる為にワザとしているのか!?
塩辛い味付けにすることで、はむっ、ご飯が美味しい!!
だめだ、口が止まらぬ!!
はむっ、はふはふっ、もぐ、はむはむっ、もぐもぐぅ!!
「んー!んまいのだ!!ベーコンとアスパラが……っと、いけないいけない。食レポは後でだぞ!!」
なんという暴力的美味!!
ペッパーの刺激が、ベーコンの濃縮された旨味が、アスパラガスの苦みが、私の舌を容赦なく攻撃する!!
もうだめだ、堕ちる――、そう思った瞬間に轟いた、増援軍『ご飯』の喚声!!
それは、一滴の希望。
まるで劇場にいるかのようなドラマティックな食体験、これは凄いぞ!!
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「ビックリするくらい塩辛いって……、美味しいの?それ」
「はっはっは、言わなくても分かっている筈なのだ」
「それは……」
「そう、ご飯には、味の濃い具材がとっても良く合うのだーー!!」
パン食文化が基本のこの世界において、味が濃すぎる料理は忌避されやすい。
理由は単純、『パンには水分がほとんど含まれていない』からだ。
「既におにぎりを食べたみんななら分かると思うが、ご飯にはかなりの水分が含まれている」
「えぇ、硬いお米がモチモチになるくらいだもの」
「だからこそ、味の濃い具材と共に食べるご飯の量を調整することで、自分好みの味付けに調整できるのだ!!」
「なんですって!?」
これはパンには無い、ご飯だけがもつ優位性だ。
例えば、濃すぎるスープにパンを浸したとて、『スープ味のパン』が生まれるだけだ。
極論、スープに小麦の風味が足されるだけであり、味が分かりづらくなることはあっても、薄まることは無い。
「ご飯が口の中ではじけた瞬間、ベーコンが持つ強すぎる旨味が一瞬で洗い流される。お米が持つ水分によってだ!!」
「濃い味付けは美味しい、これは世界の真理。聖典にも書いておく」
「そして、また食べたくなる。ご飯→ベーコン→ご飯→アスパラ→ご飯……、まさしく、おにぎりが無くなるまで続く無限コンボ!」
「途中でティータイムを挟んでも良さそうですぅ」
「体験したくはないか!?鼻腔内で炸裂するペッパー爆弾を!!舌の上で踊るベーコンの旨味濁流を!!」
「それは……、美味しそうだわ」
「シンプルが故に究極!!単純だからこそ過不足の無い旨味の暴力!!これこそがご飯!これこそが新時代の幕開け、さぁさぁ、みなの者、その手でアスパラペッパーベーコンを掴み取るのだ!!」
レイミスのオーロラエビマヨも美味いのだろう。
だが、アスパラペッパーベーコンも強烈な旨味を持つおにぎり!!
むしろ、大人にはこっちの方が人気になるかもしれぬ。
国王主催の夜会では、味の濃い料理のリクエストの方が多いからな!!




