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第2話 「幼女が養って欲しそうに、こちらを見ている」

 

「却下に決まってるだろ、そんなもん。ぶっちゃけ、見知らぬ少女が部屋にいるだけでも、かなーりアウト」

「それはなぜだ?」


「この国の法律だと、保護者の同意なく未成年者を泊めたり連れ回したりすると罰せられる。悪い事を考える大人もいるって事だ」

「ほほぅ?では、私をメイドとして雇ってくれるアウトローな大人もいるという事だな?」


「まぁ、いるだろうよ。この日本には想像を絶する思考回路な奴が結構な確率でいるし」

「これも何かの縁だ。その想像を絶する変態とやらになってみないか?」


「濁した表現のド真中をぶち抜いてきやがったな、この幼女!?」



 しれっと王族とか言ってやがったし、現実を知らない夢見がちな子供かと思ったが……、結構なレベルで変態を理解してそうだな、この子。

 少なくとも、『幼女にメイドの格好をさせて何でも言うことを聞かせる』と『変態』が結びついている。



「立場上、歯に物を着せて喋ることに慣れていなくてな。正直ですまん」

「変態になれって言ってくるのを正直とは言わない」


「それは冗談だ。だが、私はどうしても、この世界の文化を知りたい。その為にできる事は何でもするというのは本当だぞ!!」



 何でもするって言われてもな。

 何かをさせたら即通報、刑務所転生待ったなし、これが日本のクオリティ。



「あー、大真面目に異世界から来たってのを信じるとして……、俺にできる事は何もないな。結局、リスクが高すぎる」

「リスクか。確かに、リスク管理を疎かにするのは愚者の行いだ。だが、本当にそれでいいのか?」


「何が言いたい?」

「キミは、人生を楽しんでいるのだろうか?」


「……は?」

「勝手な邪推だが、私にはそうは見えない。リスクを恐れた結果、挑戦からも逃げてないか?毎日同じことを繰り返すあまり、笑顔を忘れているんじゃないか?」


「……。」

「少なくとも、私はキミに変化を与えることが出来る。価値観が違うからな、それはもう、刺激的な毎日になるはずだ。きっと楽しいぞ!私との生活は!!」



 ……笑顔か。

 そういえば、最後に笑ったのっていつだったっけ。


 学生の頃は、そこそこ笑っていた気がする。

 だが、社会人になると仕事に真剣に取り組むばかりで、冗談を言う暇もなかった。

 会社の雰囲気は物静かで、雑談をする文化すら殆どないしな。


 朝起きて、仕事に行って、帰って来て、コンビニで買った飯を食って、掃除や洗濯をして、風呂に入って、そうすればもう、23時近く。

 後は適当にスマホを弄って……、そんな毎日の繰り返しを、俺はもう、何年も、何年も。



「俺が悪い大人だったらどうするつもりだ?」

「ならば私も一緒に悪人になろう。そうすれば、キミだけが罰せられることはない」



 一緒に悪人になるか、ははっ、そりゃいいな。

 相手に危害を加える犯罪は論外だが、モラルや良識、マナーばかりを気にする良い人だけを演じたって、楽しい人生は送れない。


 見知らぬ幼女と一緒に生活して、誰かに迷惑が掛かるのか?

 減るのは俺の貯金のみ、その代償として手に入るのは……、一緒に笑ってくれる友達、か。



「……はぁ、で、俺に何をして欲しいんだ?」

「!!では、お互いに自己紹介をするべきだな!!」




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