表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/32

第23話 「姫様は明日が待ち遠しいようです」


「んっ、ふ、不覚なのだ……、そんな、まさかこんな所で……」

「?」



 飯を食ってひと心地した所で、ルートルインがそわそわし始めた。

 どうやら、さっき見せた炊飯動画が気になるらしい。

 俺が片付けをしている間に丁度いいやと思って見せたんだが、不測の事態が起こったようだ。



「どうした?」

「うむ、もっと動画を見たいのに……」


「見たいのに?」

「ねむい、のだ……」



 あー、現在の時刻11時。

 いつもの睡眠時間を過ぎちゃってるらしいし、ここらが限界か。



「眠いなら寝ろ。ベッド使っていいから」

「うぅ……、だって」


「我慢して見たって覚えられないだろ。観念しろ」

「うぅー。……そうだな、良い子にするって約束したものな」



 雑用をしながらの会話によると、ルートルインの夢旅行は寝ることで意識を切り替える。

 なお身体はそのままで、普通に寝ている時と同じ状態になるとか。


 ルートルインの睡眠時間は、10時→6時の8時間、ということで、起きている時間は16時間。

 体感時間で倍の差があるが、特に支障とかないらしい。



「……んっ、イナト」

「なんだ?」


「おにぎり、美味しかったぞ。いろいろ教えて貰ったことも楽しかった。明日が来るのが待ち遠しいのだ」

「!!おう、良かったじゃねぇか」


「にへっ、じゃあ、おやすみなのだ……」

「おう、おやすみ」



 ルートルインは安物のベッドと布団に文句を言わず、素直に毛布にくるまった。

 姫としての教育を受けている、だが、根本的に良い子みたいだな。



「部屋、暗くするぞ」

「うん……」



 電気の照明を暖色に切り替え、照度も最低に設定。

 眩しくない様にタブレットの明るさを落としつつ、ルートルインが寝付くまで静かに待つ。


 ふぅ……、激動の5時間だったな。

 騒いで怒って笑って、顔の筋肉が随分とほぐれちまったぜ。


 正直に言えば、これでいいのか?という不安はある。

 異世界とか、魔法とか、姫とか、青少年保護法とか……、そういう事じゃない。


 ひと一人の人生を背負う。

 それは本来なら、もっと時間を掛けて覚悟をしてから行うこと。

 伴侶どころか、彼女すらいない俺にとって、子供の保護者になるなんてのは想像すらしていなかった事態だ。


 一応、貯金はそこそこあるし、収入もそれなりだが安定している。

 直ぐに飯を食えなくなる事は無い、だが、二人分の生活費を念頭において行動しなければ、どこかで破綻してしまう。

 せっかくできた友達だ、互いに楽しい生活を送りたい。



「ルートルイン、少し出掛けてくるぞ」

「すー……、すー……」



 確認を兼ねた断りを入れ、部屋を出る。

 タオルや歯ブラシなどの生活雑貨、それと、靴下を多めに買おう。

 ルートルイン用の靴はインターネットで買うとして、それまで使うサンダルのサイズ調整として履かせるためだ。



「明日が来るのが待ち遠しい、か……。俺もだよ」



 道路を歩きながら、一人で物思いにふける。

 今日は金曜日だから明日の出勤はない。

 ……『休み』にならない休日なんて、いつ以来だろう。



「いらっしゃいませー」



 さっきもいた店員が、少し訝し気に挨拶してきた。

 こんな時間に来店する奴はあんまりいないだろうし、不審に思ったんだろうが、まぁいい。


 実際、俺も内心でドキドキしている。

 12時近くにコンビニに行くって、殆ど経験がない。



「……さて」



 必要最低限の生活雑貨しか買わないのは、ルートルインに選ばせたいからだ。

 女の子だからと安易に猫柄や♡柄を買って嫌がられたら困る。

 せっかく金を使うなら、喜んで欲しいし。



「……ッ!!」



 そして、本題。

 俺がドキドキしている真の理由、それは……。



「……。オムライスが無い……だと……」



 こんなバカみてぇな時間におにぎりを買って食う。

 ちっ、そりゃ、品揃えも悪いに決まってる。

 くそぅ、ツナマヨも無ぇじゃねぇか。

読んでくださって、本当にありがとうございます!!

ここまでが、第一章の『日本文化編』で、次話からいよいよ異世界革命編になります!!


「ルートルインかわいい!!」と思って頂けたら、ブックマークや評価で応援して貰えると嬉しいです。

とても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ