第14話 「お姫様は陥落しそうです」
「ふむ、昆布の見た目は知っているものと大差ないな。どれ……」
おにぎりに慣れて来たらしく、躊躇なく昆布の所までかぶりつく。
そして、もぐもぐすること30秒。
唇を舌で舐め取ったルートルインが、深い笑みを零す。
「すごく濃いのだな。この昆布とやらは」
「口に合わなかったか?」
「そんなことはない。むしろ素晴らしいくらいなのだが……、そうか、出汁だものな」
「出汁?」
「私の国では、海藻は出汁として使うのが一般的だ。だが、それをそのまま食せば味が濃いのは道理!感服したぞ!!」
そういえば、昆布の味付けって『何味?』と聞かれても困るな。
なるほど、あの甘しょっぱいのは昆布そのものの旨味か。
「好きな人には溜まらぬだろうな、昆布は。父上なら毎日食べるんじゃないか?」
「昆布教信者かよ。というか、国王に面白ステータス付けていいのか?」
「いいのだ。さて、お待ちかねの唐揚げマヨ……、期待しているぞ!!」
ルートルイン的には、マヨ > 昆布 ならしい。
まぁ、初めて食べたマヨの魔力は強烈だから仕方がない。
「これは、鶏肉か?」
「さっきも言ったが、唐揚げは鶏肉を油で揚げる料理だ。で、それをマヨソースで和えてある。食感はしっとり」
「想像が難しい、食べてみるのが手っ取り早いであろう。はむぅっんんっー!!!!」
唐揚げマヨ、それはもはや戦略兵器。
マヨが持つ強烈な旨味を動力に打ち出された唐揚げ砲弾が、舌を蹂躙する。
「は、半端じゃないのだ……」
「美味いだろ?」
「想像を絶する美味しさだぞ。塩味と甘みが一緒に襲って来て、その後に辛みとまろやかさが押し寄せる。そして最後に旨味だ。鶏肉とお米の2種類の旨味がじゅわーって!!じゅわーーってなった!!」
よし、クリティカルヒット。
ルートルイン城、陥落の危機!!
「食後の余韻すら完璧だ。少量の唐辛子が良いアクセントになって、マヨの濃厚さを洗い流す。だから、二口目も美味しく食べられてしまう!!はむ!!」
「海苔の触感も良いよな。パリッ → もちっ →じゅわー!の連続コンボ」
「参ったな。唐揚げマヨは最後にするべきだった。どうして警告してくれないのだ、イナト!!」
「確かに人気だが、残りのおにぎりだって負けちゃいない。むしろ、俺的にはここからが本番まである」
「なん……、だと……?」
「残りはご飯そのものに味を付けた調理おにぎり。米の可能性を広げるって意味じゃ、こっちの方が上だろ」
白米+おかずの組み合わせは王道だが、味が想像しやすいという欠点がある。
結局、白米を美味しく食べる為の料理だから、濃いめの味付けにされてるし。
「今までのは白いパン+スープの組み合わせみたいなもんだろ?」
「確かに。だが、バリエーションは段違いだ」
「で、ここからはパンそのものに味を付けたもの、ピザは分かるか?」
「大好物なのだ!!」
チーズやバター、トマトケチャップがあるのならと思ったが……、やっぱりピザはあるか。
料理の品質自体は日本と大差ないレベルっぽいし、同じピザで勝負したら負けもあり得そう。
だが、炊飯すら知らなかったお子様が、オムライスに勝てるはずがない。
「次、オムライス行くか?」
「待つのだ。一度ここで、舌をリセットしたい」
「唐揚げ強すぎ?」
「うむ!イナトの言葉を信じない訳ではないが、念には念を入れるのだ!!」
このお姫様、鋭い。
確かに調理おにぎりは味が繊細、薄いと言い換えてもいい。
唐揚げマヨの強烈な風味の後じゃ、物足りなく感じる可能性がある。
「じゃ、お茶と豚汁行くか。ほれ」
「ありがとうなのだ!!」




