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狼騎士団長をモフりたい!〜モフモフ大好きなのに動物がいない異世界に召喚されました〜  作者: 咲田陽


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34. 浄化


「と、いう訳で、そのどかされた聖岩の下に瘴気の発生源があったんだ」

「な、なるほど……!」

 私は曖昧に返事した。話が壮大すぎて、上手く頭に入って来ない。


 現在私はグレイの腕の中にすっぽりと収まった状態で共に空を飛んでいる。

 今回瘴気の発生源グレイ分かったというので、その経緯を聞いたら、グレイが竜の首を斬り落としていたことが判明した。

 魔力付与した武器を自分用に沢山用意して欲しいと言われたが、まさか全て竜の首切断用だとは思わなんだ。


「それで、瘴気の発生源はなんだったんですか?」

「死体だった。竜の死体」

 グレイが言うには、聖岩の下には巨大な地下空間があったらしい。

 その中央に、腐りかけの、巨大な竜の死体が横たわっていたそうだ。

 その尻尾の部分が紫色に爛れたようになっており、そこから瘴気が発生していたそう。


「だから遺体の尻尾の部分を浄化してもらえれば、瘴気が発生することはなくなると思う」

 グレイがうっそりと微笑んだ。

 一度気持ちを伝えられたと知られたあと、グレイはすぐにそういう砂糖を大きな袋ごとぶちまけたかのような表情をする。

 

 グレイは自分の顔の破壊力を分かってないんだよ!

 私は慌てて視線を逸らすと、話題を探し視線を彷徨わせた。


 今私たちは2人きりではない。

 周りには普通に他の騎士団員たちが編隊飛行しているのだ。


「それで、ええと、こんなに早く向かってるのはなんでなんだっけ?」

「竜が死んだ今、竜の縄張りを奪おうとする新たな魔物が来る可能性が高いから。放っておいて、狂暴化した魔物の無法地帯になっても困る。1番安全な今のうちに行かないと」

 

「そうね。で、聖岩の下に竜の死体があったのは?」

「あの竜は、恐らく御伽話に出てくる、聖女が倒した1番悪い竜だと思う。復活しないように、聖岩を置いていたけど、その力が年月を経て弱まったのかな?」

「そうね、そうだったわ、詳しくありがとう!」

 話題が終わってしまった。

 赤い顔のまま、次に話せる何か真面目な話題がないか、脳内を模索する。

 グレイがそんな私を生暖かい目で見守っているのがなんだか居た堪れない。


 視線を彷徨わせた私は、僅かに漂う紫色のガスの存在に気がついた。慌ててグレイのガスマスクを、グレイの顔に押し付ける。

 

「グレイ!瘴気が発生してきてる!これつけて!」

「……分かったよ」

 グレイは非常に残念そうな顔で、ガスマスクを装着した。


 森を越え、岩肌を越え、数多の奇石群を越えた。

 そしてとうとうグレイが私たちの目の前を指差した。


「見えてきたよ、あれが聖岩と、聖岩が覆っていた穴だ」


 まだまだ大量の紫色の煙を吐き出し続ける穴の中へ、箒に跨ったまま、ゆっくり降下して行く。

 グレイは聖岩と穴しか指摘しなかったが、その隣にはとんでもなく大きな竜の遺体が転がっており、私はそちらの方に気を取られてビクビクしっぱなしであった。


 穴の中を見下ろす。

 中央にはグレイの言っていた通り、外に倒れている竜と同じような形の竜の遺体があった。

 長い首に、太い尻尾。特徴が見事に一致している。

 

「気をつけて降りて」

 地面に近づき、私たちは遺体の側で降りた。


「ティア……できる?」

 ガスマスク越しからでも分かる、心配してくれている表情で、グレイが私の方を見てきた。


 私はグッと力こぶを作ってみせると、瘴気を吐き出している尻尾の前に手を翳した。


 さあ、ありったけの浄化の魔力を込めるときである!

 

 ――――――


 尻尾の部分の浄化は、無事に完了した。


 被害を考えれば呆気ない幕引きだった気がしないでもないが、これ以上悪いことが起こるよりいいだろう。


 ……しかし。

 なんだか引っかかる。以前の聖女が浄化をしたのなら、この尻尾だって瘴気を生み出す原因にはならなかったはずなのだ。

 うーん?と考え、ながらも、再びグレイに抱き抱えられ、地上に戻る。

 今度はグレイが倒した竜の遺体に浄化の魔力をかけるのだ。

 先程見た竜の遺体を、もう1度目にする。

 そして私は閃いた。


「こ、この竜の尻尾、ヒョウモントカゲモドキに似てるんだ!」

「ひょ……?」

 突然叫んだ私にグレイはポカンとした。恐らく意味がわかっていないのだろう。


「ええと、その、ヒョウモントカゲモドキは私のいた世界にいた生き物です。竜とは全く違う、穏やかなヤモリ……あー生き物なのですが、1つの特徴として、尻尾に栄養を貯めているんです」

 なるほど、とグレイが頷いた。


「で、その尻尾、恐ろしい敵を前にしたとき、逃げるために自切することがあるんです!」

「……つまり、その尻尾の部分だけ、聖女が浄化魔法をかけていなかったと」

 今度は私が頷いた。


「はい、もし今回と同じように竜が倒されていたとして……頭と胴体だけに魔力付与したのだとしたら……あの巨大な竜だからこそ、尻尾が切れていても、遠すぎて分からなかった、あるいは自切直後に殺されたとか……あ、でも出血はそれなりにあるかすみません、憶測でペラペラと」

 グレイが横に首を振った。

 

「もう解決したことだしな。何故尻尾から瘴気が出たか、真実は分からない。でも俺たちの時は同じ過ちを繰り返さないようにすればいい。……ティアには無理をさせてしまうかもしれないが、頭、胴体、尻尾の3つの部分に浄化の魔力付与を頼めるだろうか」

 私は待ってましたとばかりににっこり笑ってグレイに見せた。


「もっちろん!」

 

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