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いつか深海に眠るとしても  作者: 丘上
第一章 エドゥー星系
14/33

14.傭兵



 片付けを終えてみると、宙賊のアジトはほとんど人がいなかった。軍属だったせいか組織は細部まで役割分担されてるって思い込みがあったかも。マフィアの一部が機体武器弾薬の支援を受けてコッソリ作ったアジトはこんなもんか。重力の軽い環境も身体に悪いし、別にここで一生寝泊まりするわけでもなく、ここはたんなるチンピラの営業所。本部と家はSSかコロニーなのね。


 というわけで数人のチンピラはサクッと排除して制圧完了。管理の杜撰な武器庫というかロッカールームみたいな部屋からテキトーに銃を貰って三十人の娘に配ればそれなりに怖い集団になる。二百人分はないしいらない。衛生科、兵站科、通信科、参謀科、整備科など、全員後方支援の学生だけど、最低限の戦闘訓練は受けている。あんまりアプリを詰め込むな、って方針だから敵に基地を制圧された場合のシミュレーションだの、射撃訓練くらいだけどね。だから誘拐されて一週間経っても規律が乱れない、とも言える。心構えは立派な兵士ね。流石は全員士官候補生。


 マフィアの実働部隊は戦闘機に乗ってた人くらいだったみたい。アジトに残っていたのは人質の見張り役と通信手、あとは麻薬の栽培関係者ってとこらしい。そう麻薬、やっぱりあった。ここだけで生産しているとは思えないけど、重力制御やら人工灯やらエアコン完備やら、ほぼ自動化された広い空間にプランターを置いたスチールラックがずらっと並ぶ。私は麻薬に無知だからひょっとしたら野菜かも知れないけど、だとしてもチンピラが農家にジョブチェンジするわけではないから心は痛まない。撤収する前に配電盤にタイマー爆弾をセットしといた。


 一足先にグリンカンビに帰り、輸送機に乗り換えて全員回収。演習中、つまりGスーツを着用中の事件だったから、あれこれ用意しなくて済んだのは助かる。宇宙船はこれがないと、居住空間以外は危ない。まぁ酸素ありの広間だからヘルメットは外せたとはいえ、ずっとGスーツで過ごした彼女たちの苦労を思うと同情はする。

 

 「本当にグリンカンビ。一体なにが……?」


 輸送機から下ろすと独り言が聞こえた。全員ヘルメットを被っているから顔は分からないけど背丈で公女。


 「とりあえず居住区に案内するからついて来て。シャワーだのスーツの洗浄だのしたいでしょ。細々としたことはおいおい整えましょ」


 店員も誰もいないからゴーストタウン風になっちゃってるけど、呆れたことにこの船にはショッピングモールもある。遊ぶ気しかないやんって映画館やゲーセンや公園やフィールドアスレチックもある。客室の少ない豪華客船は豪華が突き抜けている。多分最初のコンセプトは避難用なんだけど、王族が逃げることを考えるのはどうなん? ってプライドが疼いて誤魔化そうとした結果がこういう船なのね。まぁ連中の思考はさておき、二百人分の衣服や盗られた端末の代わりすら含めて生活必需品は全て手に入るのは便利。


 案内ついでに私も自室に戻り、Gスーツを脱いで洗濯機に入れる。シャワーを浴びて出ると乾燥したスーツを取り出しベッドに放り、普通のワンピに着替えた。出かける前にベッドに放った服は散乱してなかった。ちょっと宇宙感を期待していたのにガッカリ。ちなみに軍隊はこういうところが異常に神経質だから、集団行動はなにもかもがキッチリしてないとダメな性格だから、軍人のプライベートは神経質か大雑把の二極に分かれる。


 艦橋に詰めてるシュヴァインことボア兄さんに頼み、端末経由で艦内放送を使い、ファストフードで腹ごしらえをしてから映画館に集合を呼びかけた。二百人が集まって話しを聞きやすく、必需品を揃えるための施設に近いここが適切に思える。


 学生とはいえみんな軍属だから集団行動は慣れたもの。班単位で足並み揃えてすべきことをするでしょう。

 艦内の至る所、廊下の天井付近にホログラムの掲示板が現れて食事可能なエリアを案内している。こういうのは気の利くバスティンの仕業かしら。

 私も食事を兼ねて現場に顔を出しておこう、と同エリアに向かうとシーバやシェファーたちがバスティンの指示を受けて甲斐甲斐しくお手伝いをしていた。


 「ありがとう、貴女たちも昨日の今日なんだからゆっくりしてていいのよ」

 「ウス、でも……、姐さん、オレらなにかの役に立てるっスか?」


 ああ、捨てられるとか心配してるのか。いい加減時間が欲しいわね。コミュニケーションをおろそかにしたらすれ違いそう。


 「シーバ、それに貴女たちも聞きなさい。あのコたちは全員後方支援に特化してる。貴女たちには戦闘部隊、私の背中を守ってもらう役目を期待しているの。三年後くらいには一人前になってもらう。訓練は少しずつ厳しくしていくつもりだから、他人を気にしている暇なんてなくなるわよ」

 「姐さんのように? すんげぇ無茶ぶりされてるような……」

 「んなわけないでしょ。私みたいなのが何人もいたら戦争がなくなるわ。結果論と言ってしまえばそうだけど、血筋も性格も能力も関係なく、戦場は最後まで生き残った人が〝強い〟のよ。貴女たちはスラムで生き残った。それってほとんどの兵士にもない強さなんだから、自信を持ちなさい」


 スラムくらい兵士は暴力で生き残りそう? 手足の一本を失っても? このコたちの本能はそういう強さなのよ。なにも持たなくても心は折れずに生きる意志。才能や筋肉や凶器を根拠に強がる私たちとは根本的に違う。そう、ある意味私より強い。


 ちらほらやって来た娘たちに声をかけて、山積みにした食料のあるスペースを教える。数人が分かればあとは伝達していく。

 私もひとつ掴み、モイスチャーに入れてチンしてテーブルに運ぶ。まだ不慣れなシーバたちも見様見真似で苦戦しながら近くに座った。フフ、私を取られそうで不安って? カワイイ。

 ああ、モイスチャー? これ説明メンドイわね。フリーズドライの食品をもとに戻す機械のこと。中に入れた乾燥した塊を一瞬浮かせていい塩梅の霧を吹き掛けてフンっと気圧をかけて出来上がり? 詳しくは知らんけど。フリーズドライって始めはお湯で戻したんだっけ? これが進歩のチカラよっ。


 みんな大好きいいことあっるっぞー、な(ミスト)ドーナツを頬張りバニラシェイクをストローでジュルジュルすする。王家仕様のくせにジャンクフードを用意してあるのはポイント高いわね。

 思い出してボア兄さんに連絡してみる。


 「艦橋から出られないならなんか持って行く?」


 『バスティンが差し入れしてくれるから大丈夫。それよりラッテ、俺、胃が痛ぇよ』


 ラ俺胃とか変なミーム作らないでよ。


 「そういえばもうひとりが静かね」


 『なんかスゲー不機嫌になってどっか行ったぞ』


 「あー、多分、多分だけど、軍隊の非合法部隊ってプロ中のプロで固めたメイン兵装が光学兵器な艦隊、ってストライクなロマン設定を持ちながら、蓋を開けたら棒立ちしたまま瞬殺されて夢を壊されたんじゃね?」


 なんで当たったのに効かねーんだよぉ、とか叫びながらレーザーを乱射したり、光より速いものなどこの世にないわっ、はぁ? 避けただとぉぉ、とかドヤって爆散する通信が聞きたかったんでしょね。ガチで知らんわ。それやったらやったで素人中の素人じゃん。プロだから詰んだって判断が速くて諦めた、とも受け取れるのよ。


 『そんな理由? ヒゲのない艦長なんて不粋って俺いきなりキレられた理由それなの?』


 「ああうんドンマイ」


 他愛のない話をしていたらアーフリタム公女もしれっと近寄り私の隣りを見て、空きがないから対面に座った。えぇ……、コイツら私を巡ってどうとかなりそ? そういうのイランのだけど。


 「アーフリタム公女って言いにくいからアビャーナに変えるわね」

 「アビャーナですね。了解しました」

 「受け入れ早っ。オレもだったけどお貴族様もそんなノリなんスね」

 「親しい仲に愛称は普通ではなくて?」

 「あぁまぁそういう受け取り方でもいいけど、現時点では貴女たちは行方不明、ということにします。宙賊への攻撃なんて誰も知らないから、しばらく各方面には混乱してもらいましょ」

 「宇宙に出て即座に武力っ! カッケーっス。早く一緒に出撃してぇっス」

 「操縦以前に身体作りが優先よ」

 「あの、どこをどうしたらラ、ラッテ様が助けにくる流れが生まれたのでしょうか」

 「フフ、家族しか使わない愛称聞こえたの。いいけど。経緯は映画館に集まってからまとめて話すわね」


 この二人、特に仲介も必要ないか。シーバなんて公女とかまるで気にしてないわね。それをいったら私もだけど。

 シーバは黒髪を肩口で雑に切った感じ。手入れしたいわね。アーモンドアイ、日焼けした小麦色の肌、今はガリガリで成長が遅れてるけど、すぐに育って表情豊かな愛くるしいスポーティ美少女に変身しそう。百六十未満の身長とむしろ希少価値が高いとも言える胸が育つのかは知らん。

 アビャーナは腰まで届く青髪に蒼い瞳、ちょっと不健康に感じるほどの色白。ちんまくて胸は余計スゴく見える。表情は硬くて変化に乏しいクールビューティ。ネットではその美少女プリンセスなステータスもさることながら、伊達メガネの人気が凄かった。この娘の本体はメガネ論とか語られていた。捕まればいいのに。


 対称的な二人が仲良くなれるといいわね。なんか空中に火花が見えるのは錯覚に決まってるいつの時代のラブコメやってんのよ。


 三十分ほどおしゃべりしながら回りを見ていた。軍属といっても天性がどんくさい人っているからね。それは別に悪いことではなく適所が違うってだけだけど、自分の適所って分かんないこと多い。何人か食事が遅れている娘がいたけど、切羽詰まった雰囲気がなくて安心した。まぁこの娘たち全員がついさっきまで自決するしかないって追い詰められて解放されてもうギスってたら女社会終わってるか。一秒遅れたから分隊員連帯責任で腕立て百回始めぃぃや、とかってノリが戦闘部隊のほうはあるあるでさ。一人が遅れると全員死ぬリスクがある前線はだから時間にうるさく、だから遅い者は弾かれる。ウチは整備の家系だから暑苦しいノリはなかったな。私は部下に腕立てとか強要しなかったわよ。遅刻の罰はその時テキトーに思いついた恥ずかし系で。「好きなアリの名を全力で叫びなさい」「はい、いいえ、ひとつも思いつきません」「サハラギンアリぃぃ、とか咄嗟に作って叫べる柔らか脳に鍛えなさい」「はい、検索したらそのアリ実在します」「あらミラクル」とか雑談で済ますわ。この会話が時間の無駄よね。


 放送で伝えた通り、食べ終えてティータイムするハイソサエティな娘たちを映画館に誘導して、私はスクリーンの前に立った。館内は明かりをつけて、円滑に話が進むかもかとサポート役として、シーバとアビャーナを両脇に侍らせて、経緯を説明した。


 極力端的に。父、ウッドストック伯爵に不正の疑いがかかり、父は自決したこと。あからさまな奸計だから残った家族の私たち三兄妹は潜水艇で隣国コリアンテのスラムに逃亡して、シーバたちを舎弟にしたこと。エクス王国から政治犯引き渡しの要請を受けたコリアンテ軍部の分隊を返り討ちにしたこと。一部とはいえコリアンテ軍過激派が暴走し、私たちが身を潜めるスラムごと艦隊二個師団による絨毯爆撃で殲滅しようと集結したこと。私がコリアンテの基地から戦闘機をパクって二個師団を殺られる前に殺ったこと。そのまま軍部の暴走を世間に暴露したら革命になりそうな騒ぎになったこと。革命イコール王族全員退場になりたくないならグリンカンビが欲しいとおねだりしたら快くプレゼントされたこと。スラムのヨットハーバーを所有するマフィアはエクスに麻薬を流していて、裏は国の指図によるエクスへの破壊工作だったこと。同じ手口で宙賊も怪しい。ニドミスタンの公女誘拐の意図を探ると、そもそもの主犯はニドミスタン公国王太子陣営と判明したこと。コイツらの計画は、将来エクスと戦争をするにあたって、エースの私と整備主任の父がいるウッドストック家が取り潰しになるよう工作したこと。エクスを挟んで隣りのコリアンテ王家に接触し、エクスへの破壊工作を促しつつ、コリアンテ王家も分裂するよう工作していたこと。その過程でコリアンテの手駒として働く宙賊を利用して、コリアンテとニドミスタンの非合法部隊も紛れ込ませ、エクスの士官候補生の殺害と、将来の政敵になりそうなアーフリタム公女と麾下を誘拐して、最低でも社会的に潰そうとしたこと。私が起こした革命騒ぎで悪事が露見するリスクを恐れて、公女暗殺に動いたこと。もろもろ気に食わない私がぶち壊してイマココ。


 「なんでしょう……、波乱万丈が過ぎませんか?」

 「ちなみに実家を出てから五十時間くらい経ったわ」

 「ラッテ様の時空は歪んでる?」

 「痺れるっス」

 「あと所々、基地から戦闘機をパクるとか、二個師団をひとりで殺るとか、上手く想像出来ないお話が……? 二国の非合法部隊とやらも潰したのですよね。もろもろ四文字で片付けちゃってますが」

 「憧れるっス」


 ざわつく館内。頭の中を整理してまだ質問しようとしたアビャーナを遮るように照明が落ちた。そして館内後方の壁から淡い光が照射されて、スクリーン手前にホログラムの巨大なマップ、惑星カダナ南半球が浮かんで横回転。当然BGMも流れる。いつもより音響良いじゃないってやかましいわ。身体にライトが被って邪魔。いち早く察した私はシーバとアビャーナを連れて前列客席へ。


 『それではブリーフィングを始める』


 巨大マップの隣りに巨大なプー兄さんが現れた。ちょっと声が巨人っぽくこもってるのが芸が細かい。


 『ラティシス、お前の読みが当たった。ニドミスタンはピザーラガクンに宣戦布告する。およそ十二時間後、現地時間の朝九時だ』


 「なっ!」


 館内中から押し殺した悲鳴が上がり、アビャーナも動揺した。


 『約四十年前、サンドーミ公爵がピザーラガクンから独立を宣言、ニドミスタン公国を建国した。国土は狭いが鉱物資源が豊富なおかげで経済的には優位に立てたが、軍事的には常に不安を抱えてきた』


 「先代にして初代、お祖父様の足跡です。ウチは資源があって人口が少ないせいで社会保障は万全の、住みたい国ランキング上位を維持する環境が自慢ではありますが、北に隣接するピザーラガクンとは険悪な関係がなくならないことがウィークポイントでした。それでも近年は彼の国は政治不信が深刻らしく、立て続けに三つの地区が独立運動を……、まさか」

 「そう。エクスとコリアンテ、どちらの王族にも裏で接触して工作するのがニドミスタン王太子の得意技らしいから、そりゃ一番厄介なピザーラガクンにも同じことやってるでしょ」


 なんつーか小賢しいわね。王室外交履き違えてない?


 『王太子の大戦略は見えたな。第一にピザーラガクンの軍事力を潰しきって表向きは平和裏の統一。国の分裂はあっても合併はほぼないのに、相当な野心家じゃないか』


 一国が世界を滅ぼしうる状況で、国を吸収なんて追い詰める考えは危ないのよね。あくまで交渉の優劣として戦争を利用しないと。おそらくピザーラガクンの国力を著しく落とせば、ピザーラガクン国内の王家に対する評価が地に落ちる。そこまで場を整えて以前のようにひとつの国になろう、と煽動すれば世論は乗っかる、てとこかな。

 付け加えておくと、こういう戦争が始まる時は、無関係の第三国たちも全力で注視する。万が一にも追い詰められてヤケをおこしてルール無視の暴走、なんて事態を見逃すわけにはいかないから。その兆候があれば躊躇なく世界中が協力して問題国家をこの世から消すことになる。まぁそれが分かってるから常識的に考えて、万が一がおこりそうになったとしても、国内のほぼ全員が問題児を消すだろうけど。


 『第二に統一を果たした後、軍事力の不安が消えた環境を背景にエクス王国に戦争を仕掛けて勝利、あわよくばコリアンテにも勝利して、惑星カダナの盟主とかって歴史に名を刻むとか、そんな目的か?』


 「……王太子の長男と次男は名声欲が強めです。ウチは長女のマーテサクヤ姉さんが才女として名高く、だからこそ彼女は軋轢を嫌って影を薄くして文化貢献のような地味な活動をしているのですが、それでも兄たちはコンプレックスが強いらしくて。結果を出して大物ぶりたい心根が見え透いているというか」

 「自分を高めても勝てないから他者の足を引っ張る、トップの器じゃないわね。奸計大いに結構だけど、コイツのやり方は無駄に敵を作りまくって自滅するオチが確定してんじゃん情けない」


 今見えてるだけでも三国の王家と自分の身内、無限増殖と言ってもいいくらい悪意をばらまくとか、トップが無能は悪とはまさにこういうことね。エクスと同じ。こんなヤツを次代の大公に指名した現大公が一番悪い。だから滅ぶべくして滅ぶ。


 『王太子陣営は、非合法部隊の壊滅と公女と麾下の救出には気付いていない。コリアンテ内の不穏分子が排除されて治世が安定しそうなこと。それに伴い自分たちの工作がどこから露見するか分からないリスクが発生したこと。これら想定外の事態を受けて計画を前倒し、ピザーラガクン潰しを決行する、という流れだ』


 「統一までもっていくには辛勝ではなく完勝する必要があるはずだけど、可能なの?」

 「そうですね……。勝つだけならかなり勝算は高いと思います。ピザーラガクンとしては、反旗を翻した地区が呼応した場合に備えて戦力を分散させるはずなので、戦力を集中出来るニドミスタンのほうが有利なのは確かです。ただ、完勝はどうかと。軍部トップの次男は精神論を口にするアレなので今ごろ不敵に笑ってそうですが」


 『モブの名を覚える気はないからお前とお前とお前、それとお前』


 「壁を指差して誰のことですか?」

 「ホログラムに同期してるけど縮尺が違うから操作がズレてるのよ」


 『お前らの親に連絡をつけて裏からマーテサクヤ公女に話を通した。ニドミスタンは詰んだ。悪足掻きしてダメージを増やすか、最小限に抑える行動をとるか、端的に言うとラティシスの敵に回るか従うか選べ、と。結果彼女は服従して現在反王太子陣営を作成中だ』


 「うわぁ」

 「え? そんな大事なことを独断で、正気ですか」


 『ハッ、この報告待ち人間が』


 「えーと、それ悪口ですか」

 「指示待たない人間は怖いよね」


 部下が指示待ちなのは当たり前。指示待ち人間を悪く言う上司がいたら、ソイツが的確な指示を出せない無能上司の証明なのよ。特に仲良くもない人から察しろと言われるのと同じ。そっちが伝える努力をしなさい。


 『お前たちの家を中心に派閥を作る。全員かどうかまでは知らん。他の兄妹は王太子の派閥とかって家もあるだろうしな。陣営の人選はマーテサクヤ次第だ。後は、ラティシス、お前が好きに暴れろ』


 「了解。宇宙船と兵器と後方支援の人材は揃ったし、もう始めてもいいかな。私、これからは傭兵稼業に就きます」

 「傭兵……、っスか?」

 「もう誰の下にもつかない。我慢もしない。ムカつく相手は片っ端からぶっ飛ばす。この腕を高く買わせる、星団中から恐れられる傭兵団を起ち上げます」

 「おぉー、姐さんに一生、一生ついて行くっス」

 「なんだか自由すぎて夢みたい。もちろん誠心誠意、お仕えします」

 「不肖、このバスティンにもなんなりとご命令を」

 「「「「団長、よろしくお願いします(おなしゃース)」」」」


 『うう、ラッテ、ほどほどに、ほどほどに行こう、なっ?』

 『傭兵団……、ロマンがあるじゃないか。名は?』


 「アタナシア・レミングス」


 好意が無限増殖する不滅の特攻ネズミ軍団に震えろ銀河。



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