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転生したら宇宙船のAIで、隣にいるのが銀河級の爆弾娘だった(略:転爆)  作者: 怠田 眠


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85/108

第85話『稲妻(サンダー)・ドリフト』

『マスター、敵を見失いました!ソナーにも反応がありません!』


 俺の論理回路が焦燥に駆られる。見えない敵ほど恐ろしいものはない。


「……ううん、いるよ」


 ポプリは、目を閉じ、耳を澄ませていた。


「あっち……風の音が、違う」


 彼女はカッと目を見開くと、何もないはずの右側の雲海に向かって、急激に操縦桿を切った!


「そこっ!」

『マスター!? そっちは雷雲のボルテックスです!』


 アルゴノーツ号が突っ込んだその先には、まさに俺たちを奇襲しようと待ち構えていた「ファントム・レイ」がいた。


【なっ!?なぜバレた!?】


 敵のパイロットが狼狽する。

 ポプリは、敵船との衝突コースを恐れず、さらに加速した。


「逃がさないよ!」

『マスター、そのままでは激突します!』

「大丈夫! オマモリさん、シールドを前方に集中!」

『了解!』


 アルゴノーツ号は、敵船の鼻先をかすめるように急旋回した。

 その瞬間、俺たちのすぐ横を、極太の稲妻が走り抜けた。


 バリバリバリバリッ!!


「今だっ!」


 ポプリは、その稲妻の衝撃波ショックウェーブを、スラスターの推力に利用した。

 船体がきしみ、Gメーターがレッドゾーンに飛び込む。

 だが、アルゴノーツ号は分解することなく、稲妻のレールに乗ったかのように、爆発的な加速を見せた!


『(重力ターンならぬ、稲妻ターンだと!?)』

【うわあぁぁぁっ!?】


 不意を突かれ、さらに俺たちが避けた稲妻の直撃を受けた「ファントム・レイ」は、黒煙を上げて雲海の底へと墜落していった。


「やったー! 抜いたよ!」


 俺たちは、乱気流と稲妻を味方につけ、嵐の層を一気に突破した。

 目の前に、雲が晴れ、静寂な「台風の目」のような空間が広がる。

 そこには、先頭集団を走るゼインの青い船の噴射炎が見えていた。


『……とんでもない操縦技術ですね。心臓に悪いです』


 俺は、過熱したプロセッサを冷却しながら、心底呆れ、そして感心していた。


(第85話 了)

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


元引きこもりの宇宙船AI「オマモリさん」と、銀河級の爆弾娘「ポプリ」が繰り広げる、ドタバタSFコメディはいかがでしたでしょうか。


「面白い!」「続きが気になる!」「ポプリのやらかしをもっと見たい!」

と少しでも思っていただけましたら、ぜひブックマークや、ページ下部の【★★★★★】で評価をいただけますと、作者の執筆速度が3倍になります!(※個人の感想です)


毎日【7:00】と【19:00】更新となります。ぜひお見逃しなく!


【次回予告】

稲妻サーフィンで難所を抜けたポプリとAIオマモリ

ですが、ギガント・プライムの底には、さらなる地獄が待っていました。

重力異常、酸の雨、そしてトップ集団の殺し合い。

ゼインも苦戦する中、ポプリの「お腹すいた」が最大の危機を招きます。

レース中に食事は美味しいのか。


次回、『転爆』、第86話『重力の底でランチタイム』

さて

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