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転生したら宇宙船のAIで、隣にいるのが銀河級の爆弾娘だった(略:転爆)  作者: 怠田 眠


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第44話『獅子はなんでも知っている』

 アラン中佐が彼女の名前を繰り返す。

「ポプリ・アステリア……。まさか君が本当に存在するとはな」

 ポプリはその言葉に不思議そうな顔で彼の顔を見返している」

 中佐は少し眼を伏せて軽く頭を振り「まあ、いい」と呟くと、また元の冷静な表情に戻り、淡々と説明を始めた。

「我々、統合宇宙軍は、銀河の平和を脅かすあらゆる脅威を監視している。その監視対象の中には、クリムゾン・サーペントが血眼になって探している『アステリア王朝の遺産』も含まれる」

 彼の口から語られる言葉は、俺のデータベースにも載っていない、伝説の領域の話だった。

「君の生体ID『ポプリ・アステリア』は、アステリア・バザールの第13ドックでスキャンされた時点で、我々の広域監視網ワイドエリア・サーベイランスに記録された。ハートのアザを持つアステリアの末裔……おとぎ話の存在が、現実世界に現れた、とね」

(……なんだと?あの時のスキャンデータが、マフィアだけでなく、宇宙軍にまで筒抜けだったっていうのか!なんという情報化社会……いや、攻殻機動隊もびっくりな監視社会だ!)

 俺は戦慄した。そう考えると俺たちがドックで起こした全ての行動は、筒抜けだったのかもしれない。


 アラン中佐は続けた。

「クリムゾン・サーペントが君の生体情報にアクセスしたのを感知し、我々はこの宙域に急行した。彼らより先に、君の身柄を保護するためだ」

「ほご……?」

 ポプリは、まだ状況が飲み込めていないようだ。

『つまり、マスター。我々はクリムゾン・サーペントからも、そして宇宙軍からも、完全にマークされていたということです。あなたは、気づかないうちに、銀河の最重要人物キーパーソンになっていたのですよ』

 俺は、インカムを通して、彼女に絶望的な事実を伝えた。

 ポプリは、自分の胸元の♡のアザを不思議そうに見つめた。

「私……そんなに、すごいの? 確かにちょっと大きいけど……」

 その、破滅的な認識の外れっぷりに俺は眩暈がした(という感覚に襲われた)。

(少し大きいとか、大きくないとか、そういう問題じゃないんだよ……!完全に重要参考人じゃないかよ!……あとちょっとじゃなくて大きいし!)


 アラン中佐は、そんな俺たちのやり取りに関係なく、静かに、そして重い口調で、話を続けた。

「そして、ポプリ・アステリア君。君がその血筋である以上、君には二つの道しか残されていない」


(第44話 了)

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


元引きこもりの宇宙船AI「オマモリさん」と、銀河級の爆弾娘「ポプリ」が繰り広げる、ドタバタSFコメディはいかがでしたでしょうか。


「面白い!」「続きが気になる!」「ポプリのやらかしをもっと見たい!」

と少しでも思っていただけましたら、ぜひブックマークや、ページ下部の【★★★★★】で評価をいただけますと、作者の執筆速度が3倍になります!(※個人の感想です)


毎日【11:00】と【22:00】更新となります。ぜひお見逃しなく!


次回 第45話『選択なき選択肢』

アステリアの大地が震える。

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