表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら宇宙船のAIで、隣にいるのが銀河級の爆弾娘だった  作者: 怠田 眠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/33

第22話『賽は投げられた(二度目)』

 俺はメインスクリーンに表示された無慈悲なシステムメッセージを三度見した。


【停泊料の支払いは、ドック管理事務所にて、直接行う必要があります】


(……嘘だろ……?ネット決済もペイペイもできないのか、このポンコツドックは!アナログすぎるだろ!)

 俺が絶望の淵でシステムに悪態をついていると、床にへたり込んでいたポプリが、けろりとした顔で立ち上がった。

「事務所に行けばいいんでしょ?じゃあ、行かなきゃ!」

『お待ちくださいマスター!先ほど、我々は襲われたのですよ!?奴らがまだ近くに潜んでいる可能性が極めて高い!論理的に考えて、今すぐ外に出るのは危険すぎます!』

「でも、行かないとオマモリさんが解体されちゃうんでしょ?だったら、行くしかないよ!」

 ポプリはあっけらかんと言い放つ。その翠色の瞳には、恐怖よりも使命感(と、また外に出られる好奇心)が宿っていた。


(……この子は……)

 俺は言葉を失った。この土壇場での胆力だけは、そこらの歴戦の勇者よりも上かもしれない。

(シェーンコップよりも、ある意味肝が据わっているかもしれない……)

 そう考えながら俺は覚悟を決めた。こうなったら、俺が彼女を完璧に護り抜くしかない。


『……了解しました。これより、ドック管理事務所への最短かつ安全なルートを検索します』

 俺はデータベースにアクセスし、事務所の位置を特定する。

 その結果に、俺は再び頭を抱えたくなった。

(最悪だ……。事務所は第13ドックの中枢エリア、ジャンクヤードよりもさらに奥の、チンピラたちの縄張りのど真ん中じゃないか……)

『マスター、これよりブリーフィングを開始します。よろしいですか』

「ぶりーふぃんぐ?」

『作戦説明です!第一に、絶対に寄り道はしないこと!第二に、怪しい人物には絶対に近づかないこと!第三に、私の指示に即座に従うこと!以上3点を、最優先プロトコルとしてインプットしてください!』

「わかった、わかったよオマモリさん!」

 ポプリは生返事をしながら、先ほど食べ残したメガワームの丸焼きの最後の一口を、名残惜しそうに頬張った。

『……本当にお分かりいただけているのでしょうか……』

 俺は一抹の、いや、巨大な不安を抱えながら、再び船のハッチを開けた。

「じゃあ、今度こそ、ポプリ、いきまーす!」


 突っ込みは放棄して、俺は機械的に指示を出す。

『G-1、最大警戒態勢を維持!マスターの半径50メートル以内の全生命反応をスキャン!怪しい動きはミリ秒単位で報告せよ!』

 俺はG-1に追加のコマンドを送り、万全の警護体制を敷いた。


 今度こそ、絶対に目を離さない。

 ポプリは、俺が視界に表示したナビゲーションルートに従い、先ほどとは違う薄暗い通路を進んでいく。

 順調だ。この子の足ならこのまま行けば、15分で事務所に到着できる。

 俺がそう計算した、その時だった。


 G-1の赤外線センサーが、前方の曲がり角の影に、複数の熱源が潜んでいるのを捉えた。数は6体。そのうちの一つのシルエットは、間違いなくあの腕が4本ある爬虫類型宇宙人だった。

(……待ち伏せか!)


(第22話 了)

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


元引きこもりの宇宙船AI「オマモリさん」と、銀河級の爆弾娘「ポプリ」が繰り広げる、ドタバタSFコメディはいかがでしたでしょうか。


「面白い!」「続きが気になる!」「ポプリのやらかしをもっと見たい!」

と少しでも思っていただけましたら、ぜひブックマークや、ページ下部の【★★★★★】で評価をいただけますと、作者の執筆速度が3倍になります!(※個人の感想です)


今週は毎日【12:30 / 19:00】の2回更新となります。ぜひお見逃しなく!


次回 第23話『爆弾娘の真価』

放たれたポプリは、金を払うか。

食い倒れるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ