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「ようこそいらっしゃいました、修道女のレアと申します」


「今日はよろしくお願い致します」


私はぺこりと頭を下げる。


領主の妻の役目に、

孤児院の慰問は大事な仕事とされていて今日訪れている。


(うわ~、領地中の孤児が集められているだけあって、

 予想以上に大きくて、凄い建物です~)


応接室に通されて、レアの話を聞く、

特に現状問題はなく、

子供にも食料が行き渡り、感謝しているとの事だった。


孤児院には大きな庭園もあり、

普段食べる野菜を育てたり、薬草を育てたり、

豚も飼っていて、自給自足で生活ができている。


貴重な薬草を育てては、

それを薬師に売り、孤児の服を買ったりしているようだ。


孤児院の土地など建物も維持や、

本は領地の予算が組まれ、

子供達が伸び伸び育つよう、配慮されている。


「それでは、子供達を見て回っていいですか?」


当然のように言うと、修道女達は慌てだした。


「何か問題でも?」


「い・・・いえ、問題はないのですが・・・・

 今まで孤児に触れあおうとなさる方はいらっしゃらな

 かったので・・・・」


「駄目ですか?」


「いえ!とんでもない!お願い致します」


私はレアに連れられ、子供達がいる所に向かう。


小さな赤ん坊から、10歳は超えているであろう、

大きな子供達まで、

走り回り、絵を描いたり、本を読んだり、

思い思いに過ごしている。


その表情は明るく、親がいない暗さはまったく感じられない、

レア達の愛情をたっぷり受け、

安心して暮らしている事が感じられる。


(思っていたよりいい環境ですね)


本棚に、絵本から数学の本まで並べられているのを見て、

きちんと教育もされているのだと感じられる。


文房具はないが、ペンやインクは大商人か

貴族しか使わないので、仕方ない所だろう。

そのせいか、地面の砂場に文字の練習をした後があった。


「このお姉ちゃん誰?」


いかにもわんぱくと言った、男の子がやってきた。


レアは驚いて、男の子の頭を下げる。


「申し訳ございません、ビオレッタ様!

 まだ子供!礼儀も分かっておりませんでして!」


私は男の子の前にかがみこむ、


「お姉ちゃんはビオレッタだよ、よろしくね」


「ふうん、シスターが様で呼んでるって事は偉い人?」


「偉いかどうかは分からないけど、

 ここの領主の奥さんになる予定なの」


「へえ!だったら、俺が大きくなったら、

 守ってやるよ!護衛団のに入るんだから!」


「よろしくお願いします」


レア達ははらはらと見守っている。


「将来の夢を語れる、ここはいい所ですね」


その言葉に、レア達は心底安心したようだった。





そのまま奥に進むと、数人の大人の女性が、

子供に何かを教えていた。


「あれは?」


「レース編みです、手に職があれば、

 収入の足しにもできますので、

 手先が器用な子に教えているんです」


「へえ」


そうして、器用にレースが編まれていくのを見る。


(王都で貴族が手にするのと遜色ないですねぇ)


その高度な技術に素直に驚いていた。





「ねえ、お姉ちゃん偉い人?」


「偉いかどうか分からないけど、何かな?」


6歳ぐらいの男の子がやってきた、


「僕、牛肉が食べたい・・・」


「牛肉食べれないの?」


レアが慌てる。


そんなレアを制止して、男の子の言葉に耳を貸す。


「ハムばかりなんだ・・・あきちゃったよ」


「そうなのね」


「申し訳ございません、ビオレッタ様!

 ハムが食べれるだけでも、

 平民としては恵まれているのですが、

 子供達はそれが分からなくて・・・」


「いえ、いいのですよ、育ちだかりの男の子なら、

 牛肉を食べたくなっても当然ですから・・・」


とは言え、牛肉は高級品だ、

そうそう孤児院で食べれる物でない事も、

十分理解している。


(何とかなればいいのですけどねぇ)

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