表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

2

「えっと馬車はちょっと今すぐは・・・」


明るい茶色の若い男性がしどろもどろに答える。


結界を張る場所は魔力が高い土地が選ばれる、

そこに行くのは本来馬車なのだが、

日がほぼ落ち、暗いと危険との事だった。


「私、馬、乗れます」


「ふん、じゃあついてこい」


レイナルド様が黒い馬にひょいと乗り、

すぐに出ようとする。


それを止めたのは初老の男性だった。


「レイナルド様、護衛は必要です。

 警備団が来るまでお待ちください」


「ちっ」


と不満気にしたものの、レイナルド様は馬を落ち着かせる。


(このおじいちゃん強い!

 ちゃんと意見言えるし、レイナルド様もそれを

 聞くという事は、信頼されている人なのね!)


「あの...お名前聞いてよろしいですか?」


おずおずと初老の男性に話しかける。


「これは遅くなって申し訳ございません、

 私、家令を務めておりますロベルトと申します」


「ロベルトさん、よろしくお願いします」


そう言って頭を下げたら、驚いた顔をされた。


(あれ?ロベルトさんには全力で媚びようと思ったのバレた?)


そんな事を考えていたら、鎧に身を纏った男性が、

10人やってきた。


「これから結界を張りにいく、ついてこい!」


レイナルド様の言葉に


「はい」


と統制がとれた返事が返される。


警備団と聞いたので、もっとフランクかと思っていたら、

がっちりした組織のようだった。


私は来た時の服のまま、結界師の白いローブの衣装で、

ひらりと馬に乗る。


「よろしくね」


馬の首をなでてやると、嬉しそうにヒヒンと鳴いた。


私とレイナルド様、10人の警備団の男性、

12人で馬を走らせる。


レイナルド様をトップに前に4人私を挟んで、

後ろに6人警備団の人がついた。


しばらく走らせていると、

後ろを走っていた警備団の1人が私に並走し、

声をかけてきた。


「大丈夫ですか?」


「え?」


「レイナルド様、かなりのスピードで馬を

 走らせておられます、

 ご負担ではございませんか?」


どうやら私を気遣ってくれたらしい。


(優しい~なんていい人!

 今までなら、グズ!と罵声が飛んでくる所なのに)


私は余裕を見せる為に、笑顔で答える。


「大丈夫です!ありがとうございます」


並走していた警備団の人は礼をして、

また私の後ろへと下がっていった。


(こんないい人達がいるなんて!

 ますますしっかり結界を張らないと!)


私は気持ちが浮上するのを感じながら、

馬を走らせていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ