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結界師ビオレッタの幸せな契約結婚  作者: あいら


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10/10

10 (レイナルド視点)

「状況はどうだ?」


「今は小物ばかりのようです」


ビオレッタが倒れた事で結界が消え、

モンスターが領地に侵入してくるようになった。


結界師が体調を崩すと、結界が壊れるのは

よくある事なので、護衛団も必要以上に慌てていない。


替えの結界師を用意などできない。

それだけ結界を張れる者は少ないし、

領地全体にとなると、本当に限られた者だけなのだ。


「それでビオレッタ様のご様子は・・・」


「今の所、大丈夫だという事だ、

 医者と薬師に任せるしかない」


ビオレッタが飲まされたのは、

即死するような劇薬だったが、

3分の1程度しか飲んでいなかった事、

俺がすぐに吐き出させた事により、

何とか持ちこたえるだろうとの事だった。


そもそも、ビオレッタは毒の耐性を持つ体らしく、

それも随分助けられているという。


「結界の張り直しは体調が万全に戻ってからでいい、

 無理はさせるな」


ロベルトは「お任せ下さい」と頭を下げる。


この館に勤める者は、皆ビオレッタに甘い。

大事に大事にしているビオレッタが毒を飲まされたのだ、

相当怒っている事を察しられる。


ビオレッタに毒を飲ませたメリッサという女だが、

ビオレッタの事をまだ平民と同じと思っているようだ、

しかし、伯爵令嬢であり、

俺とも正式に婚約を交わしている、

それ相応の罰を与える事はできるだろう。


「モンスターの討伐に向かう」


「ビオレッタ様の傍におられなくてよろしいのですか?」


「俺がいても治る物でもない、それより領民が傷つく方が、

 ビオレッタが悲しむだろう」


部屋へ向かい、鎧を着る。


ビオレッタが回復するまでだ。

今まで2年、結界がなかった事を思うと、大した事ではない。


「いくぞ!」


ロベルトに見送られて、モンスターがいる地に到着する。


「少しの辛抱だ、

 ただし、無理はするな!自分の命を一番大事にしろ!」


「はい!」


次々と襲うモンスターを討伐していく。

何時間も戦続けていると、感覚がマヒしてくるようだ。


「レイナルド様、お休み下さい」


護衛団に言われ、自分が無自覚に無理をしていた事に気づく。


(俺もまだまだだ)


リーダーを失えば、士気が下がる、

ここは素直に下がる所だと、テントに入る。


「仮眠を取って下さい」


「ああ、そうだな・・・」


そう言って、ベッドに向かった時だった。


「ヘルコンドルが現れました!」


「何?」


ヘルコンドルは大きな鳥型のモンスターで、

一番やっかいなのは火を噴く事だ。


「とにかく街には近づけさせるな!」


護衛団が


「は!」


と言って速足で去っていく。


本当は休みたい所だが、ヘルコンドルが現れたなら、

殲滅しないと。


よろめく体を何とか諭されないように力を入れ立ち上がる。


そして、テントからでて呆然とする。


なんだ、この数は?


空を覆うかのようなヘルコンドルの数に、絶望が襲う。


これは全て撃ち落とすのは無理だ・・・


ヒドラの時もそうだったが、

普通ではないモンスターの動きについ動揺してしまう。

こんな100年に1度あるかないかの事が、

こんな立て続けに起こる物なのか?





その時、空に魔法陣が現れる。




ビオレッタ!




この瞬間、どれほど感謝しただろう。


急激にバランスを失い、

帰っていくヘルコンドルの群れ。


ビオレッタが無事だった事への感謝。

結界を張ってくれた事への感謝。


歓声を上げる警護団を見ながら、美しい結界に見惚れていた。







「お帰りなさい」


屋敷に帰ると、ビオレッタが迎えてくれた。


「無事だったんだな」


「それは私の言葉です」


それは違うと思うが、口にしないでおく。


「この結婚は契約結婚で、

 愛情など不要だと思っていた、

 しかし、どうやら俺はお前を失いたくないらしい」


「それは結界が張れるからでは?」


「いや、それだけではない」


結界を張るといわれても、あの中央教会の女は、

心底嫌だと思った。

いかにビオレッタがいいのかを思い知らされた。


「今は俺の事を何とも思ってない事は分かっている、

 これから口説いて惚れさせる、覚悟しろ」


「えええ?覚悟ですか?」


意味が分かり切ってないビオレッタに微笑みながら、

ビオレッタを抱き上げ、屋敷へと足を踏み入れた。

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