第二章:生徒会長と新たな強敵
「まずい、少しやりすぎた。」
風間 悠真は能力がかなり強化されたとはいえ、自分の能力を解除する方法が、これが問題だったのだ。
「ああああ!」
空中で風に翻弄される二人の悪党を見て、風間 悠真は首謀者ではあったものの、手が出せないでいた。
「もう十分だ!」 「もういい!」
一陣の女声が聞こえてきた。どんな妖術を使ったのか、空中でぐるぐると回っていた二人は瞬時に動きを止められ、地面に激しく叩きつけられた。
「お前、名前はなんて言うんだ!」
その威厳ある様子の女性は、鹿島 小雨。学園の生徒会長だった。
彼女は風間 悠真の襟首を掴み、問い詰めた。
まさにこの連中だ。
自分が虐められている時は、どこにいるのか分からなかったくせに。
自分が厄介事を起こすと、よりによってここにいるのだから。
「ちっ――わたくしは風間 悠真と申します。」
風間 悠真はどうすることもできず、そう答えた。
「風間 悠真だな。私と生徒会まで来い!」
鹿島 小雨は彼を許す気がないようだった。
「くそっ!」
鹿島 小雨に両手を掴まれている以上、今は素直に彼女の言うことを聞くのが賢明だろう。
「終わった、今度こそ風間 悠真は本当に終わりだぞ。」
「そうだよ、相手はあの生徒会長だ。どんな罰を受けるんだろうな。」
人々は口々に囁き合った。
「悠真――」
里見 心愛だけが、彼を静かに心配していた。
その時、不本意に思っていた風間 悠真の目の前に、一つのスクリーンが現れた。
以前見たことのあるシステムスクリーンと、全く同じだった。
そこにははっきりとこう書かれていた。
「対戦相手を撃破、レベルがLV.2に上昇、上昇気流がLV.2に上昇。」
……
「会長!」
生徒会室に入ると、他の生徒会職員たちは自ずと道を空けた。
「お前たちは一旦外へ出ろ!」
鹿島 小雨の声は命令に満ちていた。
「はいっ!」
人々は次々と生徒会室の扉から出て行った。
鹿島 小雨は風間 悠真の手を強引に振り払うと、自ら中央の専用席に座り、足を組み替えた。
「生徒を虐めることに対して、どんな罰があるか知っているか?」
彼女は高圧的に尋ねた。
「知りません!」
風間 悠真も強気だった。もちろん知っていたが、これだけ長い間自分が虐められてきたのに、今になってわざわざこんなことになるとは――。
だが、今の風間 悠真は、もはや簡単に屈するような人間ではなかった。
もし生徒会が彼に手を出そうとするなら、自分も甘く見られるような存在ではないのだ。
鹿島 小雨は眉をわずかにひそめ、風間 悠真の答えに明らかに驚いたようだった。彼女は冷笑し、言った。「知らないだと?ならば教えてやろう。」
彼女は立ち上がり、風間 悠真に罰を与える準備をした。
彼女の手には、既に何らかのエネルギーが集まっていた。
いつでも一撃必殺の準備ができていた。
これは見るからにまずい状況だった。
だが、風間 悠真は既に上昇気流の障壁を全身に張り巡らせ、いつでも応戦する準備ができていた。
その時、突然激しいノックの音が響いた。
鹿島 小雨は不機嫌そうに、既に集めていたエネルギーを収めた。「入れ!」
扉が押し開かれ、一人の生徒会メンバーが慌ただしく入ってきた。彼の顔にはかすかな焦りが浮かんでいた。
彼は素早く風間 悠真に一瞥をくれ、それから鹿島 小雨に向き直り、小声で言った。「会長、大変です、学園で異常事態が発生しました。すぐに対処していただく必要があります。」
鹿島 小雨は一瞬呆気に取られた後、すぐに表情が真剣になった。彼女は立ち上がり、風間 悠真に言った。「今日は見逃してやるが、この件はまだ終わっていないからな。」
そう言い残すと、彼女は慌ただしく生徒会室を後にした。
風間 悠真はほっと息をついた。鹿島 小雨が去っていく後ろ姿を見ながら、心の中に一つの疑問が湧き上がった。学園で異常事態?一体何が起きているのだろう?
彼は生徒会室を出ると、校内には既にざわめきがあることに気づいた。生徒たちは三々五々、口々に議論していた。風間 悠真は状況を探りに行くことにした。
「どなたか、風間 悠真という者はいないか?」
その時、一人の大男が周囲を見渡し、一人ずつ生徒たちに尋ねていた。
「彼なら、生徒会に連れて行かれました――。」
この生徒は、思わず風間 悠真を売ってしまった。
「おお、よかろう!」
大男が手を一振りすると、その生徒は地面に叩きつけられた。
よく見ると、黄間 桐と紅羽 鷹の二人が、得意げに彼の後ろに立っていた。
どうやら彼らの小グループのようだ。この大男が、彼らのリーダー(親玉)なのだろう。
「竜崎 厳、お前、また厄介事を起こしたのか!」
生徒会長の鹿島 小雨が現場に駆けつけ、彼を睨みつけた。
どうやら、竜崎 厳というその大男は、以前からかなりの問題を起こしてきたらしい。
「お前、普段は学校に来ないのに、なぜ今ここにいるんだ?」
「お前には関係ない!」
竜崎 厳の体が突如として大きくなり、約三メートルほどに膨張した。
右手も大幅に巨大化していた。
どうやら、これが彼の能力のようだった。
鹿島 小雨は素早く体勢を整え、竜崎 厳の攻撃に対応する準備をした。彼女は精神を集中させ、自身の超能力を発動させようとした――先ほどのエネルギーを既に再び集め終えていたのだ。
「会長、ここは俺に任せてください!」
問題の解決は、その問題を起こした者に任せるべきです。
風間 悠真が前に出た。
「本気か?確かに彼が探しているのはお前で間違いはないが。」
鹿島 小雨会長は尋ねた。
風間 悠真も分かっていた。
鹿島 小雨が自分の能力で問題を解決できるにもかかわらず、竜崎 厳は彼女を悩ませていた。
それはつまり、竜崎 厳が容易い相手ではないということだ。