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第二十三章:守護者との邂逅


システムから提供された精密な座標を頼りに、風間 悠真は彼のチームを率いて、学園の禁断の地へと続く入口を発見した。


そこは異常区域の最深部に隠された古き通路であり、歪んだエネルギーと変異した植物に覆い隠されていたため、システムの誘導なしには、その存在を知ることすら不可能だっただろう。


通路の入口には、異常区域のものより遥かに濃密で抑圧的なエネルギー波動が充満しており、まるで深い眠りについた巨獣が低く唸っているかのようだった。


空気は冷たく湿り、幾千もの歳月を経て封印されたかのような腐朽の匂いを運んでいた。


通路は粗削りな巨石で築かれ、壁には苔と未知の符文がびっしりと貼り付いており、微かな青い光を放ち、神秘的で不気味な雰囲気を醸し出していた。


「ここが禁断の地の入口?なんだかゾクゾクするわ。」艾莉絲は思わず首をすくめた。


口では刺激的だと言いつつも、そこから放たれる圧倒的な気配に、彼女は一抹の不安を覚えていた。


里見 心愛は風間 悠真の背中にぴったりと密着し、瞳には懸念の色が混じりながらも、それ以上に彼への揺るぎない信頼を浮かべていた。


一方、烈火 如歌と姫月 星華は厳粛な表情を崩さず、通路の奥深くから伝わる巨大な危険を肌で感じ取っていた。


通信機からは、朝霧 璃子のわずかに緊張した声が響いた。「風間 悠真さん、禁断の地に入りましたね!


ここのエネルギー波動は非常に不安定で、しかも強力な未知のエネルギー反応があります!くれぐれも注意してください!」


「心配するな、朝霧。」風間 悠真は淡々と応じた。


彼は通路の入口に立ち止まり、禁断の地が放つ古の気配を全身で受け止めながら、体内のシステムと【法則感知】を活発に作動させ、周囲の環境を細かく分析した。


「システム、禁断の地内部の構造とエネルギー分布をスキャンしろ。」彼は思考の中で指令を下した。


「ピッ!禁断の地内部をスキャン中です……構造は複雑で、大量のエネルギー・トラップと空間の歪みが存在します……さらに強大なエネルギー生命体の反応を検知しました……スキャン完了。」


システムの詳細なスキャン結果は、風間 悠真の脳内に立体的な地図を構築した。


そこには通路の経路、エネルギー・トラップの位置、そして――強大なエネルギー生命体の居場所がはっきりと示されていた。


「やはり罠があるか。」風間 悠真の目には、全てを見通したような理解の色が浮かんだ。


学園の禁断の地である以上、何の防衛策も講じられていないはずがないのだ。


「皆、気をつけろ。通路にはエネルギー・トラップが仕掛けられている。」風間 悠真は注意を促した。


「私の後に続いて歩け。無闇に何も触るな。」


彼は先頭を歩き、その一歩一歩はシステムの緻密な計算に基づいていた。


地面や壁に隠されたエネルギー・トラップを巧みに回避していく。


それらは高圧電流、腐食性の液体、あるいは小規模な空間の歪みを引き起こすものなど多種多様だったが、風間 悠真の【法則感知】とシステムの誘導の前では、全てが存在しないかのようだった。


里見 心愛、烈火 如歌、艾莉絲、姫月 星華は彼にぴったりと追従した。


彼女たちは周囲の異常なエネルギーの揺らぎを感じることはできても、風間 悠真ほど明確に罠の存在を把握することはできなかった。


彼への信頼は極限に達しており、その誘導に完全に身を委ねていた。


通路は曲がりくねりながら下方へ続き、奥へ進むほど、空気は冷たさを増し、圧迫感も強烈になった。


壁の符文は頻繁に瞬きを始め、あたかも何らかの古き力が呼び起こされているかのようだった。


およそ三十分ほど進んだだろうか。


彼らは広大な地下空間へとたどり着いた。


そこはもはや狭い通路ではなく、円形をした広々とした大広間だった。


中央には巨大な石台がそびえ立ち、その上空には、柔らかな光を放つエネルギー・オーブが浮かんでいた。


風間 悠真は、それこそが古き封印の一部であろうことを察した。


しかし、彼らが大広間に足を踏み入れたその瞬間、周囲の符文が一斉に眩い光を放ち、ホール全体のエネルギー波動が狂暴に荒れ狂い始めた!


「警報!強大なエネルギー反応を検知!非認証の侵入者!」冷たく威厳ある声が、ホール全体に響き渡った。


その声は、まるで全方向から迫ってくるかのようだった。


直後、石台の上のエネルギー・オーブが強烈な光を放ち、眩い光の柱となって大広間の中央に集束した。


その光柱の中から、一つの高大な人影がゆっくりと実体化していく。


それは純粋なエネルギーだけで構成された人影で、古めかしい戦甲を纏い、巨大なエネルギー・ランスを手にしていた。


その顔立ちは曖昧模糊としていたが、金色に輝く双眸は、見る者に畏怖を感じさせる威圧感を放っていた。


彼から発せられるエネルギー波動はあまりにも強大で、烈火 如歌、艾莉絲、姫月 星華の三人は呼吸すら困難になるほどだった。


「禁断の地に踏み入る者は、死を!」エネルギーの影は低い咆哮を上げた。


その声は、まるで巨大な鐘の響きのようにホール全体を揺るがした。


「これは……ガーディアン?!」姫月 星華の顔色が変わった。


彼女の感知では、目の前のこのエネルギー生命体は、SS級超能力者の力を遥かに凌駕し、これまでの変異ロードよりも桁違いに強大だった。


「強大なエネルギー生命体!学園創設者のエネルギー波動と極めて高い同源性があります!」通信機からの朝霧 璃子の声は、驚きに満ちていた。


「彼は、学園創設者によって残された……守護者である可能性が高いです!」


学園創設者が遺したガーディアン!


風間 悠真は、目の前のこの強大なエネルギーの影を見つめた。


その目には探求の光が閃く。


これが古き封印を守護する存在なのか?


その実力は、間違いなく学園内の頂点に位置していた。


「奴らを止めろ!封印に近づけるな!」ガーディアンが命令を下した。


周囲の壁に、さらに多くの符文が光を放ち始めた。


幾筋ものエネルギー・ビームが壁から射出され、風間 悠真たちに襲いかかる!


同時に、大広間の床にも符文が浮かび上がり、彼らを閉じ込めようとエネルギー・ケージを形成し始めた。


「罠に注意して!」里見 心愛が警告した。


「任せて!」艾莉絲は全身に雷を閃かせ、広範囲の雷撃を放ち、エネルギー・ビームとケージを破壊しようと試みた。


烈火 如歌も灼熱の炎を解き放ち、襲い来るエネルギー攻撃を焼き払おうとした。


姫月 星華は拳を振り抜き、【崩撃】を用いて、彼女たちを拘束しようとするエネルギー・ケージを粉砕した。


しかし、ガーディアンの力はあまりにも強大だった。


彼が持つエネルギー・ランスが一閃すると、巨大なエネルギー波が横薙ぎに放たれ、艾莉絲と烈火 如歌の攻撃は瞬時に無力化され、二人を後退させた。


同時に、彼の体は極限の速さで閃光のように移動し、一瞬で姫月 星華の目の前に出現し、エネルギー・ランスを真っ直ぐに突き出した!


「危ない!」里見 心愛が叫びを上げた。


姫月 星華に回避する時間はない。


彼女は歯を食いしばり、全身の【崩撃】を両腕に凝縮させ、その一撃を受け止めようと試みた。


「ドォン――!」


巨大なエネルギー衝撃波が大広間に炸裂した。


姫月 星華は呻き声を上げ、その体は砲弾のように吹き飛ばされ、壁に激しく叩きつけられた後、一筋の鮮血を吐き出した。


「姫月 星華!」里見 心愛が驚きの声を上げ、即座に彼女の元へ駆け寄って治療を開始した。


艾莉絲と烈火 如歌も攻撃を中断し、心配そうに姫月 星華に視線を向けた。


ガーディアンは容赦なく、風間 悠真を見据えた。


その目に冷酷な殺意を閃かせる。


目の前のこの少年こそがチームの核であり、自分にとって最大の脅威であると、彼は正確に理解していたのだ。


「お前の力は強力だが、この地において、私に勝つことは不可能だ!」ガーディアンは低く咆哮した。


エネルギー・ランスを掲げ、その穂先には恐るべきエネルギーが凝縮され、風間 悠真を真っ直ぐに指し示した!


風間 悠真は動じることなくその場に立ち、倒れた姫月 星華と、自分に向かってくるガーディアンを見据えた。


その瞳は冷たい光を宿す。


このガーディアンが、禁断の地に入って以来遭遇した最強の敵であることを、彼は知っていた。


それでも、彼の心に恐れは微塵もなかった。


「そうか?それはどうかな。」風間 悠真は静かに言い放った。


その瞬間、彼の体内の超能力とシステムの力が完全に爆発した!


彼は手を上げたが、派手な技は何も使わず、ただ体内の力を掌に凝縮させただけだった。


「【法則感知】!」


風間 悠真の感知能力は瞬時に大広間全体を覆い尽くした。


彼はガーディアンの体内のエネルギー流動、そのエネルギー構造の弱点、さらには周囲の禁断の地のエネルギーとの接続方法までもを鮮明に「視て」いた。


「なるほどな……」風間 悠真の口元に、薄く笑みが浮かんだ。


このガーディアンは強大ではあるが、決して無敵ではない。


彼は【法則感知】と【エネルギー変換】を組み合わせ、体内の気流エネルギーを瞬時に特殊な波動へと変換し、それをガーディアン目掛けて放った!


崩壊ディゾルブ!」


その無形の波動は、瞬時にガーディアンのエネルギー体を貫通した。


「何だと!?」ガーディアンは驚愕の声を上げた。


自らのエネルギー体が不安定になり、今にも崩壊しそうになっているのを感じたのだ!


彼が誇るエネルギーの掌握力が、風間 悠真の前で全く通用しないとは!


風間 悠真は躊躇しなかった。


彼は一歩前へ踏み出し、その目には揺るぎない自信の光が宿っていた。


「お前が守るものは、もしかしたら私の素性に関わるのかもしれない。」風間 悠真は告げた。


「ここで立ち止まるつもりはない。」


彼は手を掲げ、体内の力を極限まで凝縮させ、ガーディアンに致命的な一撃を放つ準備をした。


禁断の地深部、守護者と風間 悠真の、初めての激突だった!

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