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第二十一章:力の源泉へ

異常区域の奥深く、空気中に漂う血生臭さと変異エネルギーの気配は、なかなか消えなかった。


地面には、変異怪物たちの残骸が山と積み重なり、先ほどの一方的な殺戮を無言で物語っていた。


里見 心愛、烈火 如歌、艾莉絲、そして姫月 星華は風間 悠真の背後に立ち、その穏やかな後ろ姿を見つめながら、未だ驚愕と崇拝の念を拭いきれずにいた。


まさか一人の人間がここまで強くなり、独力で、これほど巨大で強大な怪物群を一瞬にして掃討できるとは、彼女たちは夢にも思わなかったのだ。


朝霧 璃子の声が通信機から届いた。


信じられないというような震えを帯びていた。「エネルギー波動が……完全に消滅しました!


全ての変異怪物、瞬時に消滅しました!


風間 悠真さん、あなたの力は……私の理解の範囲を超えています。


彼らの体内にあった異常エネルギーも、急速に消え去っています……」


風間 悠真はその場に立ち尽くし、表情は平静で、まるで取るに足らない些細なことをしたかのように見えた。


彼は地面に横たわる変異怪物たちの残骸に視線を向け、その目には探求の光が宿っていた。


これらの怪物は消滅したが、体内に残された異常エネルギーは、彼にとって特別な意味を持っていたのだ。


「これらの変異怪物、体内のエネルギー構成が非常に特殊だ。」風間 悠真は脳内でシステムに言った。


「システム、彼らのエネルギーを吸収することは可能か?」


「ピッ!異常エネルギーを感知。宿主のエネルギーと同源性が極めて高いです。


システム経験値またはエネルギーポイントに変換して吸収可能です!」


システムの通知に、風間 悠真の心に喜びが湧き上がった。


やはり!


この異常エネルギーは、彼の体内の力と同源だというのか!


これはつまり、彼がそれらを吸収することで実力を向上させられるだけでなく、異常事態や自身の力に関するさらなる情報を得られる可能性をも意味していた。


「吸収を開始する!」風間 悠真はためらうことなく指令を下した。


目に見えない吸引力が風間 悠真の体内から放たれ、まるで底なし沼のようだった。


地面に残された変異怪物の残骸は急速に干からび、全ての血肉と水分を失い、純粋なエネルギー流となって、まるで全ての流れが海に帰るように風間 悠真へと押し寄せた。


彼は、精純で狂暴なエネルギーの奔流が体内に流れ込み、システムによって迅速に吸収・変換されていくのを感じた。


この感覚は非常に奇妙だった。


力が満ちる心地よさと、エネルギーが強引に剥奪されるような異様な感覚が同時にあった。


だが風間 悠真は知っていた。


このエネルギーが、彼にとって有益な力へと変換されているのだと。


彼は、体内の力が再び向上したのを感じた。


そのみなぎる感覚は、以前よりもさらに強く、システム経験値バーも肉眼で確認できる速度で急上昇し、まるで上限がないかのようだった。


「ピッ!宿主、異常エネルギーの吸収に成功しました!」

「ピッ!宿主、経験値10000点を獲得しました!」

「ピッ!宿主、エネルギーポイント5000点を獲得しました!」

「ピッ!宿主、経験値が上限に達しました。レベルアップ中です!」

「ピッ!宿主、レベルがLV.7に上昇しました!」


一連のシステム通知音が風間 悠真の脳内で炸裂し、彼を狂喜させた。


わずか一団の変異怪物のエネルギーを吸収しただけで、彼は二レベルも上昇したのだ!


LV.6から直接LV.7へ跳躍した!


このレベルアップ速度は、まさに常軌を逸していた!


さらに、彼は大量のエネルギーポイントも獲得し、今後のシステムショップでの交換に期待を膨らませた。


だが、風間 悠真をさらに興奮させたのは、システムからの次の通知だった。


「ピッ!宿主のレベル上昇を検知。システムコア機能が解放されます!」

「ピッ!システムはバージョンアップ中です……」

「ピッ!バージョンアップ完了!システム権限が中級に上昇しました!」

「ピッ!宿主、新機能:【エネルギー変換】、【法則分析】を解放しました!」

「ピッ!宿主、システムショップ権限が高級に上昇しました!」


システムが再びアップグレードしたのだ!


しかも、聞くだけで極めて強力そうな、全く新しい二つの機能が解放された!


【エネルギー変換】:吸収した様々なエネルギーを、宿主が必要とする特定のエネルギー形式に変換し、エネルギー利用効率を向上させる。


【法則分析】:世に存在する様々な法則をより深く分析し、理解できる。異常エネルギーに秘められた古き法則情報も含む。能力の向上に伴い、分析精度と速度が大幅に増加する。


これら二つの機能、特に【法則分析】は、風間 悠真に今後の探索において圧倒的な自信を与えた。


これがあれば、彼は異常エネルギーの本質をさらに深く理解し、古き封印の秘密を解き明かし、さらには……彼自身の力の真の源を解析できるだろう!


そして、システムショップ権限が高級に上昇したことは、まさに思いがけない喜びだった。


高級権限は、さらに強力で、想像を絶する能力やアイテムを交換できることを彼は知っていたのだ!


風間 悠真がシステムアップグレードによってもたらされた巨大な驚きに浸っている間にも、彼の隊員たちは彼から放たれる変化に気づいていた。


彼らは、風間 悠真から放たれる気配が、以前よりもさらに強大で、より深遠になっているのを感じ取った。


「風間 悠真様……また強くなりましたか?」艾莉絲は思わず尋ねた。


その目には崇拝の念が満ちていた。


風間 悠真は微かに微笑んで頷いた。


「ああ、怪物のエネルギーをいくつか吸収して、実力が上がった。」


彼はシステムの詳細を説明しなかった。


それは彼の最大の秘密だったからだ。


「これらの変異怪物のエネルギーを、吸収できるとは!?」朝霧 璃子の声が通信機から届いた。


強い探求欲を帯びていた。「風間 悠真さん、あなたの能力は……本当に神秘的です!


いくつかサンプルを採取して研究させていただけませんか?」


「もちろん構わない。」風間 悠真は言った。


「だが、これらの残骸のエネルギーはほとんど吸収し尽くしてしまった。次に変異怪物に遭遇したら、新鮮なサンプルを採取して構わない。」


「やった!」朝霧 璃子は興奮して言った。


「これは異常エネルギーの本質を研究する上で、非常に役立ちます!」


風間 悠真は異常区域の奥深くに視線を向けた。


その目には探求の光が宿っていた。


システムの解析と新しく解放された機能は、彼に異常事態の根源をより明確に認識させた。


古き封印の下には、彼と同源の古きエネルギーが隠されており、それが彼の力の源泉であり、同時に異常事態の元凶である可能性が極めて高かった。


「システム、【法則分析】機能を使って、古き封印の位置をより正確に特定できるか?」風間 悠真は脳内で尋ねた。


「ピッ!【法則分析】を用いて異常エネルギー波動の追跡遡源そげんを行っています……」

「ピッ!特定に成功しました!異常エネルギーの源泉は学園地下最深部に位置し、座標は宿主の脳内地図にマークされました。」


正確な座標が風間 悠真の脳内地図に表示され、学園地下最深部の一点を指し示した。


そこが、古き封印の存在する場所なのだ!


「行くぞ。」風間 悠真は淡々とそう言った。


そして異常区域のさらに奥深くへと足を踏み出した。


彼のチームはその後ろにぴたりと続き、その目には未知への好奇心と、揺るぎない風間 悠真への信頼が宿っていた。


彼らがこれから向かう場所は、学園で最も危険な禁断の地、計り知れない秘密と危険が隠された場所だった。

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